【KAC20232】怪獣がやってきた。

リュウ

第1話 【KAC20232】怪獣がやってきた。

「もう少しで、ご飯よ」

 ママの声が聞こえる。

 でも、ボクはそれどころじゃない。

 怪獣が、やって来ている。

 ガオーガオーッと鳴き声を上げながらだ。

 ちょっと、怖い。

 すでに、黄色と緑の葉っぱみたいなのが入ったビー玉が怪獣に飲み込まれたところだ。

 怪獣は止まらない。

 ガチャ玉やコダックやピカチュウ、マンボウやタコが今、食べられたところだ。

 船まで、食べようとしている。

 このままでは、僕がせっかくブロックで作った家までも飲み込まれる。

 やばい、なんとかしなくては。

 硬い積み木で止めよう。

 僕は、四角や丸や円柱の積み木を怪獣の前に置いた。

 簡単に積み木を倒し、飲み込んでしまった。

 怪獣のお腹は膨らんでいる。

 次に自動車を試そう。

 カッコいいスポーツカーを転がす。

 勢いよく怪獣にぶつかる。怪獣はなんともない。

 テレビで見たセサミストリートのクッキーモンスターの様に次々と飲み込んでいく。

 パトカー、消防車、はしご車、クレーン車まで、次々と飲み込んでいく。

「戦車だ!」

 ボクは、リモコンの戦車を向かわせた。戦車は、あっという間にひっくり返され、飲み込まれた。

「そうだ、ロボットがあったんだ。いけ、ガンダム!」

 怪獣の前にガンダムとバズ・ライトイヤーやウルトラセブンを置いたが、怪獣は表情も変えずに飲み込む。

 でも、お腹が膨れている。最初より大きく大きくなっている。

 このまま、食べさせれば、絵本でみた赤ずきんの狼のように動けなくなるのではないかと思った。

 でかいものを食べさせよう。

 そうだ、ぬいぐるみだ。

 お爺ちゃんやお祖母ちゃんやパパやママに買ってもらったぬいぐるみを投入する。

 クジラ、ラッコ、白黒のカッコいいシャチ、ゾウ、ライオン、タヌキ、パンダ、特大のクマのぬいぐるみだ。

 どうだ。

 怪獣は、まだ腹ペコのようだ。すべて飲み込まれた。

 

 ボクが行くしかないのか?

 ボクは、仮面ライダーのベルトを腰につける。

「ヘンシン!」

 これで、ボクは仮面ライダーになった。

 ライダーキックだ。

 しかし、怪獣は強かった。

 ボクの蹴りが効かない。パンチも効かない。

 怪獣の手が伸びて、ボクを捕まえる。

 持ち上げられる。

「はなせぇ!」

 高く持ち上げられたボクは、あるところに着地した。

 そこは、食事用の子ども椅子だった。

「はい、オムライスよ」

 と、ママが、テーブルにボクの好きなオムライスを置いた。


 振り向くと、怪獣のぬいぐるみにおもちゃを詰め込んでいるパパがいた。

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