日記形式で綴られる二人の女性のお話。序盤は憧れの人に対する思いが赤裸々に語られて読んでいる自分もなんだか胸焼けしてしまうのだが、終盤につれて世界が彼女たちを否定していく。それでも折れずに芯を通し続けた彼女の勇姿をぜひ読んで知ってもらいたい。
気品がありながらも鬱屈した世界観。上品で端正な文章が綴る、激動と激情。理知的で理性的な語り口でありながら、読み手の心情を揺さぶる技術。見事です。(失礼な言い回しでしたらすみません。作者さんのプロフィールに「米澤穂信が好き」との文字があり、心底納得しました。)
憧れのお姉様が何者かと通じていたのは確かである。しかし、それが誰なのか、どこの国家なのか。また、彼女が求める社会は何だったのか。真実は戦火の中に消えた。