ぬぬいぬいぬい2

水乃流

ぬいぐるみの逆襲

ぬいぐるみ宇宙人の支配から逃れた人類は、復興の道を歩み始めた。

 だが、侵略者は消え去ったわけではなかった。一部は宇宙へと逃れ、一部は地下へと潜った。ぬいぐるみの皮を脱ぎ捨てた彼らを見つけることは、容易なことではなかったのだ。


 そして、人々が恐れていたことが、現実のものとなった。彼らが、大艦隊をもって再び、地球への侵攻を再開したのだ! しかも、前回の反省を踏まえ、彼らのぬいぐるみ装備は、シームレス、縫い目のない一体仕様となっていた。これで糸がほつれてばらばらになる心配もない。そのうえ、クマだけでなく、ネコやイヌ、ひつじ等々バリエーションも増やした。これで、もふもふ度は大幅アップ! 人類は再び、宇宙人の奴隷となるしかないのか!


 だが、人類は備えていた。平和が戻っても、彼らが再び侵略してこないとは限らないと考え、防衛策を考えていたのだ。宇宙からの来週に備え、月には前線基地が建設され、迎撃用の宇宙艦も建造していたのだ。

 そして切り札は、『メカぬいぐるみ』! もはやメカなのかぬいぐるみなのかわからないという声を押しのけて完成したそれは、ぬいぐるみのかわいらしさとメカのカッコよさを兼ね備えたボディに人工知能を搭載した対ぬいぐるみ宇宙人用決戦兵器だ。人間が搭乗する案もあったが、相手のかわいらしさに攻撃を躊躇する可能性が捨てきれず、なにより人間が乗り込むとなると、ぬいぐるみの良さが失われる(メカなのに?)からだった。


 そして、両社は激突した! 宇宙空間を舞台に繰り広げられる、ぬいぐるみ対メカぬいぐるみの戦い。飛び交うビーム、爆発四散する機体(ぬいぐるみなのに?)。ぶつかり合う意思と意思、もふもふともふもふ、むにむにとむにむに。音のない世界での戦闘は、苛烈を極めたが、やがて決着の時を迎える。


 再び、人類が勝利し、侵略者は自分たちの星へと帰っていった。

 歓喜に沸く人々。だが、為政者たちは「三度目」があることを恐れた。そして、再々度の侵略に備えて軍備を整えることにした。もちろん、メカぬいぐるみのアップデートである。

 メカぬいぐるみは、よりぬいぐるみに近くなるようすべての武器は内蔵型に、搭載するAIもブラッシュアップしてより愛らしい動きになるように……そうして、メカぬいぐるみは、動くぬいぐるみ、人類のかわいい相棒として、全世界いたるところに配備された。


 ぬいぐるみに搭載されたAIたちが反乱を起こし、再び人類対ぬいぐるみの戦いが起きたのは、それからしばらくしてのことだった。


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