ウラシマ効果の見え方
光の速さに近い速度で移動する宇宙船の中では時間の流れ方が遅くなります。
その時間の遅れ具合は√(1ーv^2)で求めることができます。(vは光速との比)
たとえば光速の0.8倍の速度で移動する宇宙船のなかでは時間の流れ方が0.6倍になります。
√(1-0.64)=√0.36=0.6だから。
なので、宇宙船が地球から8光年先まで進むには10年かかりますが、船内では6年しかかからないことになります。この現象をウラシマ効果と呼びます。
しかし、実際の見え方としてはこれとは違ったことになります。
出発地の地球の視点では、宇宙船が8光年先に到着したのが見えるのは、8光年先から光が届く18年後です。
なので出発から18年後までの間に、宇宙船内で6年時間が進むように見えるので、時間の進み方は6/18≒0.33倍とさらに遅く見えます。
逆に、8光年先にいる人が宇宙船の出発を見ていたとして、見えるのは出発から8年後。そこから2年で宇宙船が到着するわけなので、2年で宇宙船内では6年の時間が進むことになり、時間の進み方は遅くなるのではなく早くなる。そしてその進み方は通常の3倍にもなってしまいます。赤い宇宙船でしょうか。
では、宇宙船から8光年先を見たらどうなるかというと、まず出発時に見える目的地は8年前で、到着まで10年かかります。なので、出発から到着までの船内時間6年の間に、目的地では18年の時間が経過するように見えることになり、こちらも3倍になってしまいます。
まとめると相手が遠ざかるときにはウラシマ効果よりもさらに遅くなるように見え、相手が近づいてくるときは逆に時間の流れが速くなるように見える、というわけです。
* * * * *
小説の設定というよりは科学エッセイのネタみたいな感じですが、これを元に何か書けないかと考えたけど思いつかなかったので、忘れないように事実だけをまとめたものです。
見え方と書いていますが、相手からの通信を受けるのでも同じことです。
この遠ざかると遅くなり、近づくと早くなる現象についてはブルーバックス「SF相対論」入門にも書いてあります。(103ページ付近)
設定フィクション ノソン @NOSON
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