第10話 太陽光は照らし出す
洞窟もぶっ壊れ、ゴブリンは全滅、捕えていた女性たちは全員解放。ゴブリン側の圧倒的敗北である。
女性たちは回復魔法で肉体は回復しても、精神の方はまだ回復していない。
『アダムはともかく、悪いがこれ以上の干渉は俺にはできない。あなた方にも未来があるように俺もこの世界でやりたいことがある。またどこかで会ったら挨拶くらいはしてやるさ』
桃太郎はそう言うと馬車から去りキジコの方を向く
『女神キジコ!』
桃太郎はキジコを呼んだ。
『桃寺よく聞け!ワシ戦いへの臆病を克服したぞい!』
キジコは自信満々に言う。だってワシ頑張ったもん
『そうか...』
すると桃太郎は突然キジコに対して刀を投げた。
びっくりしたキジコは身構え魔法陣を展開するが、刀はキジコに掠ることなく岩壁に刺さった
『な、なにするんじゃあぁぁあ!?』
キジコは怒った。しかし桃太郎は意外な返答をする
『どうやら克服したのは本当らしいな。』
『はぁ?』
『今の俺の攻撃に対しおまえはかまえのポーズだけじゃなく魔法陣も出した。うん確かに物怖じ克服したなぁ。褒めてやる』
『桃寺ぁ』
キジコはなんだか嬉しくなった
『だがまだまだ全然ダメだ。そもそもがクソ雑魚すぎる。功労はしたが結果は出していない』
『ぐぬぬ、確かに...』
『だからこそより沢山の戦闘経験が必要だ。そうしたらおまえはもっと強くなる、戦闘経験で強くなることは俺が実証済みだから間違いない。』
『実証済み?桃寺はいわゆる現代人で、今までモンスターと戦う機会なんてないのに実証済みってなんか矛盾してないか』
キジコはふと疑問に思う。
『何故お主はそんなに戦闘慣れしとるんじゃ』
キジコはそう問うと桃太郎は
『ゲームだ』
と答えた。
『はっ、ゲーム?』
『VRMMOをやりこんだからな。あれはいいぞ、モンスターがあたかもリアルに襲ってくる。モンスターに食われる描写も搭載されていたからリアリティがヤバかった』
『えっ、じゃあゲームのおかげで戦闘慣れしてる、と』
『そういうことだな』
たかだかゲームで克服したのかよ桃太郎、なんかそれ嫌だ、もっと壮絶なものが欲しい
『それに理由になってない、お主は何故強いのじゃ、お主の強さはいったい何故なんじゃ』
『だから何度も言っているだろ、鳥が空を飛べて魚が泳げる見たく、至極当たり前として俺は強い、強いて言うなら俺は“強いの権化“だ』
『...あ、あぁ』
それが理由になるのかねとは思ったが、これ以上聞いても何も出はしないだろう。キジコは彼の強さの秘密についてこれ以上の深入りはしないことにした。
『大丈夫かいマウリ』
『アダム様、えぇなんとか。すみませんゴブリンシャーマンに手も足も出ず不甲斐ない、です...』
『それについては酷い言い方をするが鍛え不足だとしか言いようがない。まぁしかし生きていてよかった、褒美に肩を揉んであげよう』
アダムはマウリの肩をほぐす
『そこまでしなくても...』
『フフフ遠慮はいらないさ』
その様子を見たキジコはとあることを思う
(うわぁ〜セクハラじゃ)
しかし部下を見捨てず、褒美を与え、時には厳しくするアダムはまさに神なんじゃろうな
『おいアダム』
桃太郎がアダムを呼ぶ。
『なんだね桃寺くん』
『ゴブリン退治の勝負の件忘れてないよなぁ』
『あぁそう言えばそんなこと僕が提案していたっけか。いいよ君の勝ちで、実際君が1番倒していたし』
独特なポーズをとるアダム。
『ふんぅ、当然だな。』
口元がニヤッとする桃太郎。
『雑用は無しとしてやる、君たちは強い。君たちパーティ名はなんなんだい?』
『(キジコ)パーティ名?』
『冒険者パーティ名があればいざ名が有名になった時気持ちがいいぞ。ちなみに僕らは“アダムズファミリー“』
『お化け一家かよ』
『アーハッハァ!んなの既に決まっている、
桃太郎連合だ!』
桃太郎はそう断言した
『えぇーー、なんか嫌じゃそのパーティ名』
あっさり決まったパーティ名、嫌すぎる。悪趣味にも程があるチーム名だ。しかも桃太郎連合って、複数の桃太郎が結束したみたいな名前じゃないか
『うるさいぞ女神、俺がリーダーだ』
『あぁもうわかった、そういうことにしといてやるわこの横柄クソ狂人がっ!』
『そんなことよりアダム、今すぐでいいから俺とマジバトルしよう』
『絶対嫌だね、クレイジーな君と戦ったら周りの被害がえげつないもん』
『じゃあまた今度だ』
『もう怖いよこの人』
太陽の日の光が彼ら4人と女性たちを照らす。ちょっとした希望が人間に力をくれる。女性たちの顔からは僅かに微笑んでいるような気がした
桃寺桃太郎は異世界で暴れたい〜現世に飽きた桃太郎はえげつないやり口で異世界転移に成功。女オトモを引き連れて、いざ尋常にモンスター退治〜 チン毛パイナップル @horijinpo
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