1.5頭身の心情

136君

1.5頭身の心情

 ここはプラスチックケースの中。ガヤガヤとした音楽が外から聞こえてくるが、俺たちにはそんなスポットライトは当たらない。当たるとするならば、カップルたちの甘い風くらい。


 今日は5人、俺の友達が持って帰られた。悲しいけどそういう使命だから。


 そして次は俺の番。そんな俺の体勢は…


 涅槃像。


 おい店員!絶対チョイス間違ってるだろ!誰か取ってくれ!恥ずかしくなってきた!


 おっ、カップルが来たぞ!そこに300円を入れて…300円!?ここは「1回で取ってやる!」じゃねぇのかよ!まぁいい付き合ってやろう。


 そうだ。俺の上にアームを持っていって…ちゃんと掴めよ…おいなんか嫌な予感がするぞ!アームが股間で止まるじゃねぇか!おい!やめろ〜!


「おふん♡」


1.5頭身のキュートなクマさんのクマさんとケツを同時につまむなや!持ち上げられてたら俺、どうなってたか分からないぞ!


 2回目だな。ちゃんと取ってくれよ。次は腰の辺りか。あー、床がどんどん遠くなっていく…このままあの穴まで…


「でー!」


くっそ〜、あとちょっとだったのに。あとこの体勢よく見た事あるな。


「クソお世話になりました!」


ちゃうちゃう!すぐそこやん!早く取ってくれ!


 見えないけど、マシンの音が聞こえてくる。3回目だな。あれ?首の辺りに冷たい感触が…もしかして…


「おゔぇ!」


締まる締まる締まる!早く離せ!よしそのまま穴に…


「いだー!」


おいおい、どこ引っ掛けてんだよ!頭だけ穴の中とか器用すぎだろ!いっそ落としてくれ〜!


 次ラストだかんな。そうそう、俺の脇腹から…そっちのアームが脇腹なら、こっちは…


「痛ででで!」


目潰しすんなや!ここまでしたんなら落とせよ!


「痛っ!」


ふぅ、天井があんなにも高い。


 あれ?おい、店員何しやがる?そこに入れてどうするつもりだ?さっきのカップルは…あ…


「ほかのやつ持ってやがる。」


しょうがねぇな…


「ただいま!」

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