ぬいぐるみが主の家
マチュピチュ 剣之助
怪しい家
「ねえ、近所に急に変わった家ができたという噂知っている?」
同級生の美穂が、帰り際に太郎に話しかける。
「え、どんな家ができたの?」
太郎は少し驚いて、詳細を訪ねる。
「何か、普通の家とは違った素材でできた少し小さな家みたいよ。どのような人が住んでいるかまったく誰も知らないけど、時々叫び声のようなものが聞こえるらしいわ」
美穂は少し怖がった様子で話しているが、太郎はその話を聞いて
「え、気になる!今から一緒に見に行こうよ」
太郎は、
「やっぱり帰らない・・・?なぜかわからないけど薄暗くて気味が悪いよ・・・」
噂の家を前にして、美穂は一段と
「ここまで来たのだから、もう少し見てみようよ。中も
人が住んでいるとは到底思えない家であったため、太郎は思い切って家の敷地内まで入って行った。
「ちょっと太郎くん・・・」
呼び止める美穂の声は、なぜかとても小さく、遠くにいるかのようであった。
すると、玄関のそばに一つの人形が落ちていた。
「あ、これ・・・」
太郎が小さいころ大切にしていたパンダのぬいぐるみとそっくりなものが落ちていた。
「この人形と同じもの、小さいときとても大事にしていたな。そういえば5年前くらいにいらないから捨てたんだっけ」
そう思いながら、何気なくパンダの人形を手に取った。
「え・・・」
太郎は思わず声を失った。人形を捨てる前、太郎はパンダの右足に緑色のペンキをつけていた。それとまったく同じものが、今太郎の持ち上げた人形についていたのだ。
「ふふ・・・」
急に手にしたぬいぐるみから声が聞こえてきた気がした。
「ぎゃーーー」
それと同時に家の中からなぜか美穂の叫び声が聞こえた。
ぬいぐるみが主の家 マチュピチュ 剣之助 @kiio_askym
★で称える
この小説が面白かったら★をつけてください。おすすめレビューも書けます。
カクヨムを、もっと楽しもう
カクヨムにユーザー登録すると、この小説を他の読者へ★やレビューでおすすめできます。気になる小説や作者の更新チェックに便利なフォロー機能もお試しください。
新規ユーザー登録(無料)簡単に登録できます
この小説のタグ
同じコレクションの次の小説
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます