パパ上様日記 ~私の思い出のぬいぐるみ~ KAC20232

ともはっと

私の思い出のぬいぐるみ

「ねぇ、ままー」

「パパ、な。いやパパ上、な?」


 娘が私を呼ぶ。

 相変わらず私のことをママと呼ぶこの娘、ぷらいすれす。

 そんな娘が私に声をかけてきた理由は、どんどんとお上手になっていく自分のお絵描きをみせようとして。

 そのお絵描きを切り取り、中身に綿っぽいなにかを詰めてテープで背面のお絵描きをテープでくっつければ、あら不思議、パイプロイドならぬ紙ロイド。ペーパークラフトの出来上がり。


 でもね、娘よ。

 パパはお風呂に入ろうと全裸なんだ。

 今は冬。リビングまで全裸で戻ってその工作品を見せられている私。


 でも、寒さに凍えながらも、どや顔する娘を褒めるのは忘れない。

 娘の天使の笑顔はぷらいすれす。私の裸もぷらいすれす。


「そのうちタオルで作る。あまったタオルの再利用」

「なるほど、エコってやつか。そう言えば小さい頃、パパの姉さまがタオルでぬいぐるみ作ってたな」

「そんなのあるの?」

「今度実家に行ったときに見てみるといい。うさぎとかあったはず」


 家族はぬいぐるみが大好きだ。

 今度私の実家である富山王国に帰省したときにでも是非みせてやろう。

 妻曰く。どうやってこんなに精巧に作られてるのかと言わしめた一品だ。


「なにいってんのあんた。この家にも同じのあるじゃない」

「……どこに?」

「あんたの書斎に。結婚式の時からずっと家にあるうさぎの夫婦のぬいぐるみ。あれもタオル生地で作られたぬいぐるみよ。結婚祝いでもらったやつ。あんたの書斎に飾ってあるけど」


 まさか忘れたのかと疑う腕組みの妻。

 まさか忘れるわけないだろうと冷や汗たらたらの私。

 興味が失せてお絵描きに勤しむ娘。



 ゆっくりと私はリビングに座り込む。

 その姿は、正座。

 そしてゆっくりと、額が地に付くまで伏せ、三つ指ついてその場で頭を垂れる。



 その姿から発せられる言葉は一つ。



「申し訳ございませんでした」





 へへっ。床が冷たいぜ。





 今日も我が家は




          平和だ。

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パパ上様日記 ~私の思い出のぬいぐるみ~ KAC20232 ともはっと @tomohut

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