米川くんのひとりごと ~本屋編~

篠崎 時博

米川くんのひとりごと 本屋編

 ——本屋ってなんだかいいよね。

 

 図書館ももちろん好き。

 でもさ、本屋とワクワク度合いがちょっと違う。

 だってさ、ほら、気づいたら新しいものが出てきてる。それもたくさん。

 

 図書館はたくさんの人が少ない本を長く大切に読むところだから。

 

 でも、本屋は違う。常に「新しい」がある。

「新しい」はなんだかワクワクする。


 人間は「新しいもの・知らないもの」にどこか惹かれるのかもしれない。きっと僕はそのうちの1人なんだろうな。

 

 図書館も新書はあるし、読んでない本はもちろん自分にとっては常に「新しい」とは思うよ。

 

 ……なんか本屋ばっかり褒めてるな。

 別に本屋を贔屓ひいきしてるんじゃないよ。

 

 図書館もいいところはある。

 

 図書館でいいのは、あの匂い。古くて、たくさん知識が詰まったあの匂い。

 たまらないよね……。

 変態っぽく思われるかな。


 あとはやっぱり長い間何度も読まれた本がたくさんあること。当たり前と言えば当たり前。

 でもさ、1冊の本がどれだけたくさんの人たちの手に渡って読まれたか。

 それを想像すると、図書館には「ロマン」を感じるんだ。

 

 あ、図書館との違い、まだあった。

 

 図書館にはポップがないんだ。

「これがオススメ」とか「読んだら号泣、間違いなし」とかね。

 図書館だって司書のおすすめコーナーはあるけど、本屋ほどは主張が強くない。まぁ、「売る」のが目的じゃないんだからなんだけど。


 本屋も図書館もどちらも好き。


 本が好き。

 でも四角は嫌い。四角は痛いから。あと三角も。

 丸は好き。丸は痛くない。丸は優しい。


 ……あ、形のイメージに関する本ってないかな。ないよね。というかどうやって探そうか。


「デザイン」なら美術に関するコーナーかな。それとも、「見る人の想像」によるものなら心理系かな。


 今いる場所からどっちのコーナーが近いかな。どっちの——。



「何かお探しですか?」

 

 店員がいぶかしげな表情でこちらを見た。

 

「いえ、なんでも」

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