漂流書店 ~逢魔刻古書店~

美袋和仁

第1話 漂流書店 ~逢魔刻古書店~


「ふふっ、今日も来ましたぁ」


「.....毎度あり?」


 なぜに疑問符か。御得意様でしょ? アタシ。


 ほーんっとしたまま煙管を咥える店主に、女子高生は生意気な眼をすがめた。


 この店の店主は、ぽやぽやした雰囲気の男性で、ボサボサな髪を目元が見えないくらいに伸ばした得体の知れない人物である。

 一概に黒とも言い難い複雑な色彩の髪。光の加減で藍にも見えるその綺麗な髪に、女子高生は思わず指を突っ込みたい衝動に駆られた。


 いや、それはダメだろう。まるで変態ではないか。


 わきわき動く指を必死に押さえ込み、少女は本を物色する。

 彼女の名前は穂積ナナ。当年とって十七歳のピチピチなJKである。

 おっとりとした店主に出逢って三ヶ月ほど。恋に恋する御年頃な彼女は、仄かな恋心を彼に抱いていた。

 大人の貫禄を通り越したような落ち着き。少し年寄り臭くはあるが、その包容感が心地好いナナは、いそいそとあしげくこの店に通う。


 元々読書好きの彼女は、ある日、古めかしい幟の立つこの屋を見つけた。


 通いなれた道で初めて気づいた本屋。和風の平屋建てな建物は、昔懐かしい古書の香りで満ちている。


 こんな処に店なんてあったっけ?


 訝しみつつも、彼女は古びた扉を開けて、恐る恐る中に踏み込む。そして絶句。

 射し込む光に塵の舞う店内。彼女は厳かにも思える静謐な雰囲気に息を呑んだ。

 柱一つにしても磨かれた光沢をたたえ、天井で交差する太い梁。まるで異次元にでも迷い込んだ気分になる佇まい。


 わくわくと胸を躍らせるナナの前に現れたのが冒頭の店主である。


「あれ? お客とは珍しいな。いらっしゃい」


 珍しい?


 仮にも書店を営む人物の言葉ではない。

 無造作に髪をかきあげ、気だるげな仕草で煙管を燻らせる男性に、やや警戒心を抱きつつも読みたいという誘惑に勝てず、ナナは思う存分古書を漁った。


 えーっ? クイーンの初版? えっ? マジ? こっちはキングじゃん、うっそーっ! 図書館でも見ないよ、これっ!


 電子書籍が席巻する昨今の本事情だが、やはり現代に復刻されていない本も多い。ナナは好きな作家の作品を目にして色めきたつ。

 特に古い書籍は、こうした古書でしか手に入らない。

 版権やリサイクルの観点から色々と物議を醸しはするが、やはりこういった店の存在はありがたいと本気で思うナナ。


 購入した人が貸したって売ったって出版社や著者には新刊の段階で適切な収入が入っているはずなのに。古美術や物品リサイクルなんかは問題にしないくせに、本やゲームとかだけやり玉にあがってんのは納得いかないよなぁ。

 まあ、知的財産とか色々あるんだろうとは思うけど? レンタルなわけじゃなく買ったんだから、その後どうしようと購入者の自由じゃん?


 こうして読みたい本に出逢える感動。どれだけ欲しても手に入らない本だってあるのだ。読み手としては売ってくれた人に感謝しかない。

 買い漁るナナの脳内クレームは口から駄々漏れだったらしく、大量の戦利品をカウンターに運んだ彼女を店主の男性は苦笑いで迎えた。


「.....思う処は分かるけど。嬉しいねぇ、喜んでもらえて」


「え?」


 そこでようやくナナは、思っていたことが口から漏れていた事に気付き、顔を赤面させる。

 

「はいよ、三千二百円ね。これはオマケ」


 ナナが受け取った紙袋に、店主がひょいっと何かを入れた。

 なんだろう? と覗き込んだナナの目に映ったのは小さな栞。

 不思議な花が押し花にされた栞を手にして、彼女は満面の笑みを浮かべた。


「ありがとうっ」


「.....また、よろしく」


 ふっと笑い、彼女を見送る店主。


 ここからナナは、不思議な古書店通いを始めた。


 三日と空けずにやってくる彼女に呆れた眼差しを向け、それでも無下にはせず、世間話程度はする店主。

 名前を尋ねるのも馴れ馴れしい気がして、ナナは彼を兄さんと呼んだ。

 彼の方も馴染みすぎなくらい彼女を信用しており、時々留守番を頼んで出掛けたりもする。


 .....無用心過ぎんかね?


 そう思いもするナナだったが、感情が乏しい店主が帰宅すると非常に御機嫌な様子を見て、押し黙る。

 

 惚れた弱みだわ。ま、留守番くらい、どうってこともないしね。


 そんなこんなで日々が過ぎ、カウンター横の安楽椅子を定位置に決めたナナは、すっかり店の一部になっていた。


「こういうお店って助かるんだよねぇ。ねぇ? 図書館警察とかドロレスボーンとか入らないかな? 兄さん」


「また、渋いところを。.....無くはないね。俺の私物で良ければ貸すよ?」


 持ってるんかーいっ!!


 目は口ほどにモノを言う。


 涎を垂らさんばかりな勢いで詰め寄るナナに戦きつつ、店主の男性は頷いた。


「キングなら全作ある。他も色々..... ざっと三千冊くらい?」


 うっそーんっ! 羨ま過ぎるっ!!


 ナナだって、今時の女子高生にしては本を持っている方だと思うが、精々二百あるかないか。それでも大きな本棚ギッシリ並んでいるのに、店主の蔵書はその十倍以上あるという。

 

 だが、それも有りかとナナは店内を見渡した。


 視界一杯を占める本の海。本棚だけでなく壁一面の棚は天井まで届くうえ、カラカラと移動する梯子を使わねば取れないくらい、びっしりと本が並べられている。

 どれも手入れが良く、手にしても全く汚い感じは受けない。この店内だけでも数万冊はあるだろう。

 これだけ本に愛着を見せる店主だ。個人の蔵書だって大したモノに違いない。


「.....良いなぁ。ちょっとした図書館クラスだよね、この店。羨ましい。ここで暮らしたいよ」


 はあっと嘆息するナナ。


 だが次の瞬間、その言葉に反応し、店主の雰囲気が変る。


「.....本気で?」


「へ?」


 ぶわりと溢れ出る冷たい何か。豹変した店主に驚き、ナナは眼をしばたたかせた。

 つ.....っと音もなく滑るように歩く店主の髪が宙に波打ち、前髪で隠れていた双眸が落ちる陰の中で煌めいている。

 そこには血色の瞳。爛々と輝くソレに気圧され、ナナは数歩後ずさった。


「本気で、この店で暮らしたい? 本気なら譲るよ?」


 仄昏い光を宿す瞳に呑まれ、絶句したままなナナの左右に店主は両手を着いた。

 壁と店主の腕に挟まれ、ようやくナナは我に返る。


 これって壁ドンってやつ? いや、そうじゃないっ! ソレだけど、問題はソコじゃないっ!!


「いやっ! 違うの、言ってみただけっ! アタシに店主なんて務まらないよっ!」


 うぇぇえーんっと泣きそうな顔で叫ぶ彼女を見て、ふっと店主の身体から力が抜ける。やや臥せ目がちな顔でナナを見つめ、彼はいつもの柔らかな雰囲気に戻った。


「そう..... だよね。うん。ごめんな。脅かしちゃったかな?」


 完全にビビった面持ちのナナ。その頭を撫でて彼は細く長い溜め息をつき、酷く切なげな顔で呟く。


「お帰りよ。.....もう、ここには来ない方が良いね」


 何を言われたか分からない。


 呆然とするナナを店から送り出して、店主は閉店の札を扉にかけた。

 間の抜けた顔をし、ナナは致し方なく帰路につく。


 この時、彼女は初めて店の持つ違和感に気がついて、はっと振り返った。


 古すぎるのだ。


 昔懐かしいでは済まない細かい部位。瓦屋根から始まり、木製の鎧戸。十字の格子が入った窓にはまるのは磨りガラス。

 窓枠や扉にも金属は使われておらず、唯一見える位置にある金属といえば蝶番くらい。

 

 ここを始めて訪れた時に感じた異次元感。それに改めて背筋を凍らせ、ナナは自宅へと駆け出した。


 .....怖い、怖い、怖いっ!


 倒つまろびつ、家にたどり着いた彼女は布団に飛び込み、掛け布団ごと丸まりガタガタと震えだす。


 あの時、辺りに満ちた妖しげな雰囲気。店主の波打つ髪と血色の瞳。


 どう考えたって異常事態じゃんっ?! ありがとうございますっ!! おかわりはいらない、勘弁してっ?!


 うわあぁぁっと声をくぐもらせてのたうつ女子高生。


 おかしいと思ったさぁ。あの通学路で、通い慣れたあの道で、今まで見たこともない本屋を見つけるなんて。


 なのに、そのおかしさに自分は気づかなかった。建物の古さや、店主の異常性にも、並んだ本のラインナップが自分好みであったことも。

 なにもかもが出来すぎである。まるで用意された暖かな巣でもあるかのように。


 .....獲物がかかるのを待ち受けていた? 妖怪? 人外? あの人、何者なの?


 悶々と布団にくるまり、落ち着いてきたナナの耳に不思議な音が聞こえる。

 ガラスを合わせるように透き通った甲高い音。それは机に飾っている栞から聞こえた。

 ホタルのように淡く光る栞。あの妖しい店主から貰った栞がなぜか恐ろしくもなく、ナナは布団から這い出してソレを手に取った。


 途端に流れ込む歓喜。


 胸が熱くなるように沸き上がる嬉しさがナナの身体を満たしていく。


 これは?


 チリンと鳴る栞は、彼女の前にある風景を映し出した。


「これって..... アタシ?」


 見慣れた古書店の内装。ソコにいるのは、あの日のナナだった。

 夢中で本を漁る彼女の背後で、慈愛に満ちた面持ちを隠してもいない店主。心の底からの歓びがナナにも伝わってきた。

 その後も訪れ続けたナナを全力で歓待する彼。


 この気持ちは偽りではない。そう確信する。


 和やかな交流を重ねる二人。そして栞は今日を映し出した。

 ナナを送り出して項垂れる店主。ずるずると壁にそって頽おれる彼は、小刻みに肩を震わせている。


 .....泣いてる?


 しばらくナナが見守る中、彼は立ち上がり扉に鍵をかけた。


「.....無理。彼女を犠牲には出来ない。.....ここも終わる。また流れて.....一人か」


 犠牲? 流れて? 何のこと?


 彼を憎からず想っていたナナは、突然、理解した。どうしてか分からないが、すとんっと悪い予感が胸に落ちてきた。本能が鳴らす野生の警鐘。


 彼がいなくなってしまうと。


 そう思ったら、いてもたってもいられず、身体を逆流していく焦燥感に煽られ、ナナは家を飛び出していく。


 一人、臍を噛んでいるだろう店主の元へと。


 


「.....なんで?」


 けたたましく店の扉を叩きまくられ、何事かと扉を開けた彼は目の前の現実が理解出来ない。

 そこには送り出したはずの少女が立っていた。

 息せききって駆けてきたらしい彼女は大きく肩を揺らし、真摯な眼差しで店主を見上げる。そして例の栞を突き出した。


「これっ.....が、見せてくれたのっ! 怖くて逃げちゃったけどっ! .....話せるなら、話してよ」


 彼女が何を言いたいのか理解し、彼は今にも泣き出しそうな顔でナナを店の中に招き入れた。




「どこから話そうか。あれは多分、今から百年以上前だと思う」


 落ち着かない風情の店主は、何度も舌で唇を湿らせながら、とつとつとここまでの経緯を語る。

 大半はナナの想像どおりだった。この店は生き物みたいなモノで、店主を得るために、その人好みな書籍を自ら並べるのだという。

 この店の店主になり得る者にだけ、この店の扉が開かれた。

 

 そんな古書店の罠に彼も囚われたのだ。


 明治中期。彼はある人物の書生をやっていた。そしてナナと同じように、この古書店を見つけたらしい。

 古い文献や書籍の溢れるこの店に、ナナ同様彼も溺れ、前の店主だった女性に傾倒していった。

 あの手この手で誘惑され、骨抜きにされた黒歴史を赤裸々に語る彼。

 

「.....けど、それは罠だったんだよ。あの女は自由になるために俺を利用しただけなんだ」


 この店の名前は逢魔刻古書店。夢と現の狭間を漂う、時の牢獄のような場所だった。

 この網に囚われた者は店から一歩も出る事が出来ず、時折移動する店と共に時代や世界を越えて流されていく。

 ここから解放されるためには、新たな生け贄を捧げるしかない。


「ここに誰か別な人間がいる時だけ..... この店の店主は外に出られる。.....つまり、店主を交代出来るんだよ」


 そう。それで前の店主だった女性は、彼を置き去りにして店から逃げ出した。彼が気づいた時は後の祭り。この古書店に閉じ込められてしまう。

 泣こうが喚こうが、椅子を叩きつけても開かない扉。新たな店主足り得る人間が扉に手をかけるまで、彼は孤独な牢獄の虜囚となった。


「これも問答無用なわけではなくてね。相手から言質をとらなくてはいけないんだ。ここで暮らしても良いとね」


 それを聞き、あっとナナは目を見開く。


 だからさっき、彼は念を押してきたのか。危なかった。


「この店で暮らす限り、咽も渇かないしお腹も減らない。やれることは読書か眠ることくらい。歳をとることもなく、ただ悠久を漂う虜囚となる。.....俺は。あさましくも、それを君に押し付けようと考えたんだよ」


 深く項垂れる店主に、ナナは複雑な憐憫を抱いた。

 彼とて騙し討ちのように押し付けられた口だろう。今までの生活から無理やり引き離されて人生を台無しにされたに違いない。

 そんな彼の前で、軽口とはいえナナはほざいたのだ。ここで暮らしたいと。

 彼にすれば千載一遇のチャンス。期待したとして何が悪かろうか。

 しかも彼は騙し討ちや無理強いはしなかった。もう、ここに来ない方が良いとまで言ってくれた。自分に降りかかった理不尽を恨みはしても、それに揺らぐ己を律しナナを守ろうとしてくれたのだ。

 今までだって、留守番とかで外に出掛けていたのに、必ず戻ってきてくれた。逃げようと思えば逃げられただろうに。


 誠実な人だと思う。


 こんな人に、この先出逢えるだろうか。


 大まかな経緯を聞いたナナは、無言で店を出た。


 それに安堵して、後ろ髪を引きちぎる店主がいるとも知らずに。




「そろそろ動くかな」


 東雲色の空を磨りガラス越しに見つめ、店主は気だるげに煙管を燻らせる。

 また長い放浪が始まるだけ。今までと変りはしない。

 一時の至福に溺れた自分が情けなくはあるのだが。


 彼は自嘲気味に笑う。


 いきなり飛び込んできた少女。快活な笑顔に一瞬で落とされた。

 長く人に触れていなかったせいもあろうが、読書傾向が似通っていたこともあり、彼は瞬く間にナナの虜となる。


 .....幸せだった。何も話さなくても心地好い無言の空間。ペラペラと頁をめくる音が響くだけの穏やかな一時が、やたらと心に染みた。


 泣けるほどの至福をもらった。それで十分だ。


 肺に淀む空気を細く吐き出しつつ、来るべき時を静かに待っていた彼の背後で、大きな音をたてて扉が開く。


「兄さん、宜しくっ! アタシが代わるよっ!」


 満面の笑みで立つナナを見て、店主は全身を凍りつかせた。


「な.....っ! 馬鹿っ! すぐに店から出ろっ! 捕まるぞっ!!」


 慌ててナナを追い出そうとする店主の手を掴み、彼女は至極真面目な顔で彼を見据えた。


「いいのっ! 兄さん、ずっと頑張ってきたんじゃん。そろそろ自由になってもいいと思うの」


「絶対、後悔するからっ! やめとけっ! 頼むっ!」


 全身を震わせて懇願する店主。一度は代わろうと考えたものの、少なくない愛情を彼女に抱く彼は、とてもじゃないがナナをこの牢獄に閉じ込めたくない。


 だが、彼は知らない。彼女も同じ想いでいることを。


「なら二人で居たら良いんだよ。二人なら寂しくないっしょ?」


 にっと笑うナナ。


 それを唖然と見つめる店主を余所に、白々とした夜明けにつれて昇ってきた朝陽が古書店を照らす。

 射しそむる陽光に淡く発光し、ゆらゆらと陽炎のように揺らいだ古書店は現れた時同様、ふわりと跡形もなく消え失せた。


 時代の狭間を漂う、逢魔刻古書店。


 今日は、貴方の住む街に彼らが行くかもしれません。




「.....本当に良かったのか?」


 心配げな面持ちの店主は、漂い出した店の中で、ナナに御茶を出した。

 不思議な古書店は電気もガスも水道も通っている。どういう理屈かなんて聞くだけ野暮だろう。ライフラインがあるのは僥倖だと、ナナは彼に自分の生い立ちを話した。


 ナナは両親を失い親戚の家に居候していたのである。

 別に虐待とか悲惨なことがあったわけではないが、やはり余所の人間という疎外感は拭えない。

 いずれ高校を卒業したら、即一人立ちするつもりであった。


「だから、ここを交代しても良いと思ってさ。このご時世だし、職を探すのも大変だもの。渡りに船だわ」


 にぱーっと笑うナナを信じられない眼差しで見つめ、店主は改めて彼女の手を取り、己の額に額づけた。


「ごめん、不謹慎だとは思うんだけど..... 今、すっごく嬉しい。てっきり怖がられたかと」


 無言で店を出ていった彼女の後ろ姿に、思わず胸をひきつらせた彼。


「あ~、こっちこそ、ごめん。家を出るにしても突然消えたら犯罪とか心配されるっしょ? だから置き手紙してきたさ。一人立ちの目処がたったから家を出ますって。心配しないでって」


 今までナナが外泊やら頻繁にしても、何も言わなかった親戚だ。彼女がいなくなったところで、心配もなにもすまい。


「どこに流されるのか知らないけど、出ていきたくなったらいつでも出ていってね? 後はアタシが任されるよ」


「.....逆効果」


「え?」


 はにかむように苦笑し、店主はナナの手の甲に口付ける。


「君がいるなら出ていくわけないじゃないか。ここが今日から我が家だよ」


 朗らかに笑う彼の瞳からは血色が失せ、ただの黒い瞳に戻っていた。そして思いついたことを淡々と述べる。


「ここに一人しか居ない場合は外に出られないが、二人いてどちらかが店にいるなら、もう片方は出掛けられるだろう?」


「あ、そうだったね」


 散々ナナに留守番をさせて、彼は店の外に出掛けていた。そういう理屈なのならば納得だ。


「なら、普通に暮らせるじゃないか。ここで楽しく」


 御互いに、にま~っと悪びれた笑みを浮かべ、二人は額をくっ付け合って破顔した。


 孤独に嘆いた日々が終わる。


 永遠を約束された二人は永く幸せに暮らした。


 ある世界の自暴自棄で偏屈な錬金術師と店主を交代するまで。


 かくあれかしと微笑む二人の未来に乾杯♪

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