ナナナナは本を探す。~四九書店での一幕~

常闇の霊夜

七百七十七分の七


「暇だし本でも読むかな」


七倍七なななな七七しちしち』は、本を読もうとしていた。彼はいわゆる拳法家と言う奴で、よく修行の為に体を動かしているのだが、今日はあいにく体を休める日。仕方ないので、本屋に来ていた。


「やぁ七七くん。今日は何の用だい?」


「あぁ店主さん。今日は本を探しに来たんですよ」


 ここの本屋の店主とは、かなりの古い仲。昔から師匠と共にここにやってきており、顔なじみ……ともまた違う感じである。そんな訳で、早速適当な本を探す七七。


「お、コレ面白そうだな」


 本のタイトルは『ラッキーセブンで見る運勢の見方』という本。運と言うのは、生まれてこの方信じちゃいないが、こういう本は楽しみなのでよく立ち読みしている。


「値段は……」


 買おうと決め、値段を確認する七七。値段は税込み777円だった。何か運命的な物を感じる七七は、この本だけを持って店主に渡す。


「コレください」


「あいよ。ブックカバーはいるかね?」


「あぁ、もう読んじゃうんで大丈夫です」


 買う本は決まったので、それ以外の本も無いかなと探してみる。相変わらず、古臭い埃の被った本ばかり。だがこれも味なのだろうなぁ、と思いながら、背表紙に溜まった埃を払いのけ、ペラペラと分厚い小説を開く。


「おっ」


 適当に開いたページが、七十七ページだった。そこには七人目の仲間が出来るシーンが書かれており、段落も七つであった。そこからペラペラと呼んで行き、本格的に腰を下ろして読みたいと思うようになった。


「これも良いね。買っちゃおうかな?」


 裏を見ると、値段は七万円。中々お高い本。見なかったことにして本棚に戻しつつ、店主の元へ戻る。


「ほれ。ところで、今日七人目のお客じゃよお主」


「そうなんですね。と言うか、七人も来てたんですね」


「そこは言わんでくれよ」


 店主は苦笑するようにそう言い、本を手渡す。


「じゃあ、また来てくれよ?」


「えぇ。もちろんです」

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ナナナナは本を探す。~四九書店での一幕~ 常闇の霊夜 @kakinatireiya

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