復讐☆アナタに☆教訓

おともミー@カエル

第1話 ちがう、これじゃない

 それはちょうど今くらいの時期。

 決算前で、仕事も忙しくて連日残業続きで。

 夜の9時を過ぎたあたりで、やってらんねーわとPCを強制終了。昼も食べ損ねていたから、最近お決まりになっている会社近くのイタリアンファミレスへ。

 疲れていたのか何となくワイン飲みたくなって、ドリアと赤ワインをオーダー。空きっ腹にワイン飲んだから酔いが回るのも早い。でも、ふわふわしていい気分。

 寒い今の時期、電車がくるまで駅中の本屋で待機するのも最近の習慣。


 あ、そーいえば、お気に入りの作家の新刊が出ていたな~と、新刊平積みコーナーへ。ああ、あったあった。

 くせで積まれた2番目を引き出し、会計へ。

 レジに出すと、いつもの店員が言わずともカバーをかけてくれた。

 電車に乗り、寝過ごさないよう、新刊を読もうと開く。


 ・・・?


 なんだこれ。

 

 紙カバーを外して、そして慌ててまたカバーをかけ直す。


 待ちに待った好きな作家の新刊の担当絵師とは思えない、18禁バリバリなエロスな表紙。

 ムッチムチな女の三器(胸・太腿・尻)をこれでもかッ!ってくらい強調した三人の女性が、絡み合って悩まし気な視線をこちらに向けている。

 

 いや、絡むこの関節の曲がり具合無理だろ。この絵師デッサン勉強しなおしたほうが、いいんじゃね?

 ちょっと、待て。


 ゆっくり、扉絵を開く。


 『復讐三人娘~ギトギトでムフフなお仕置きを、ア・ナ・タに♡』


 「グフっ!」


 電車の中で、食べたドリアとワインが逆流しそうになり、思わず口を覆って咳をするふりをする。

 ちくしょう、誰だこんなイタズラしたのは。

 思い返しはっとする。そういえば酔っ払っていたけど、わたしが平積みの本を取った場所は黒かった。すなわち、18禁エリア。

 誰かが間違えてたまたま新刊をそこの平積みに置いたのか?2番目など抜かずちゃんと見ればよかった。

 いや店員の兄ちゃん、頼むから言ってくれ・・・ああこれじゃ言いづらいか。


 エロスの平積みに新刊を置いた客が悪いのか。

 絶対間違っているよと思いつつ、指摘しなかった店員が悪いのか。

 そもそも、二冊目を故意に引き抜き、タイトル確認せずに買ったわたしが悪いのか。

 いや、脳みそ疲労するほど残業続きの会社が悪いんだな。


 そう自分に言い聞かせ。

 でも、

 

 "間違えて買っちゃいましたぁ♡わたしったら、てへっ"


 なんてノリ、いまのわたしには到底できる芸当ではないから、返品交換は諦めることにした。

 あの店員、真面目そうだしな。


 結局、購入したエロ小説は・・・

 読みましたよ。結構面白かったデスよ。表紙はグロかったけど。

 ただ、ちょっとウフフなシーンは過激すぎて生々しくて、脳内のエロゲージ振り切っていたけど。

 お陰で次の日はすっきり目が覚めた。


 教訓☆本は元あった場所に戻しましょう。

 


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