本屋と薬局

京極 道真  

第1話 本屋と薬局 KAC20231 完結

「ミンミンミンー。」セミの鳴声がうるさかったが期末テストがようやく終わった。今日は最終日。帰宅部の僕は4時間で下校だ。テスト期間中、全くできなかったゲームの続きをしたい。帰りに本屋で最新ゲーム攻略本もチェックしたいし。「おーい、タク帰ろぜ。」モブ友のジュンが僕を呼ぶ。カイも一緒だ。「ジュン、テストどうだった?」「俺?全く。最後の英語なんか撃沈だよ。科学と実験なら得意なんだけどな」カイが「ジュン、お前小学生か。」で、そういうカイは、どうだった?」「俺も英語は、はあ?で、数学はまあまかな。」カイは数字に強いからな。「タクはどうだった?」「えっ僕?ゲーム以外は興味無いからな。全撃沈。」ジュンが僕の肩に手をまわし「そうか。そうか。」とニヤニヤと僕の頭をたたく。「ジュン、お前やっぱり性格悪いよな。」「ところで帰り駅前本屋に寄るけどみんなどうする?」「俺行く。」「俺も。」僕らは駅前のいつもの本屋に入った。入り口の自動ドアで”ビリビリビリー”三人とも青い電気が体を走った。次の瞬間。目の前に本棚がずらり。「ここ本屋だよね。いつもの?」「いつもの本屋とレイアウトも違うし、読めない文字の本が?」「えっ?まさか」真っ先にジュンが「もしかして僕ら変な異世界に入っちゃった?」カイが「テスト勉強し過ぎで幻覚を見ているとか?」思わず僕は指をさした「あっ。あれ、耳、耳みてエルクだ。あっちのお兄さんもこっちのきれいなお姉さんもみんなエルクだ。本棚の横を走っているこどももエルク。」ジュンが「俺ら大丈夫かな?まずくない。人間だよ。食べられないかな。」僕らはびくついていた。本屋の店員さんのエルクのお姉さんが「君たち、何を探しているの?処方箋は持ってる?」「処方箋?」「君たち本屋は初めて。」僕らはハモって「はい。」店員さんは優しく「みんな本屋には処方箋も持ってくるの。症状にあった最適な本をお薬として出しているのよ」そう言いながらお姉さんは、カイに「君は算数好きそうだからこの公式一覧の本ね。」ジュンに「君は?はい。少し早いけど。アダルト?なんて冗談よ。君は科学が好きそうだから科学者になるための本。そして君、君にはピータパン。えっ?なぜ僕だけ童話なの?君はゲーム得意でしょう。特にサバゲー。君が小さいときに大好きだったピータパンが原点よ。フック船長をやっつけるんでしょう。」僕は戸惑ったが思いあたることがあった。「お姉さん、僕、この本買います。」「お買い上げ有難うございます。」声が響く。僕らは気づくといつもの本屋のレジに並んでいた。完結

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