第6話
ある国で、勇者召喚をしていた。
召喚された者の名前は一条茜という名だった。
僕はレティスの街のギルドで、その話を聞いた。
まさかとは思う。
しかし、運命とも思う。
二日待って彼女達が現れないなら、僕はこの国に一人で向かうコトにしよう。
ギルドで伝言をお願いして、僕は宿屋に入る。
部屋に入り、僕はため息をつく。
まだ、行ってはダメだ。
茜かはわからない。
それでも、もし茜だったらと考えたら、僕は走りだしてしまいたくなる。
今日は疲れが僕を睡眠へと誘う。
僕はいつの間にか、白い空間にいた。
「ここは…?」
「来たかね。偽りの勇者、アスカ・サイジョウ殿。」
老人が白い空間の中に座っていた。
「貴方は?ここはどこですか?」
老人は笑う。
「ここは精神世界じゃ。お主がこちらに来てしまったのは、わしの制御が一瞬とはいえ、手を離れてしまったからじゃ。」
「僕はやはり間違いで来てしまったのですね。」
「そうだ。君は勇者ではない。偽物だ。そして、本物への可能性を開いてしまった。勇者は召喚されてしまった。勇者は刀を持っている。その刀を使えば、君は勇者となれる。」
刀…聖剣か?
「君の思っている通り、一条茜は君の友人だよ。彼女が勇者として、魔王と戦いをすれば、彼女は命を落とす。判断をするのは君だ。フェリティアにはわしから伝える。今すぐ行かねば、一条茜は命を落とすコトになるぞ。」
「僕は偽物ではなかったんですか?僕は茜を救いたい。そのために、僕の命が必要なら、命だってベットに賭けます。」
「君は勇者ではない。正確には勇者ではなかったのじゃがな。しかし、君は勇者の道を歩んだ。勇者の全てを味わい終えた君ならば、勇者になれる。勇者に仲間が必要なのは、そうしてなければ、勇者としての資格を得られないからじゃ。街に裏切られるのも、資格を得るために必要だからじゃ。そして、守るべきものを得る必要がある。心から守りたいと思うものが必要じゃ。君は一条茜やフェリティア、エリカ・レオリー、イリス・マーティー、他の街にも沢山おるじゃろ?君は勇者としての資格を得てしまった。後は力と聖剣じゃ。そして、君は聖剣を得るコトで、力を得るコトができる。故に、お主に言っておる。あの子は宝じゃ。世界の宝じゃ。故にわしはお主に言うのじゃ。勇者になれ。そして、一条茜を救ってくれ。」
老人が僕に頭を下げる。
「顔をあげて下さい。僕は僕の人生をこの世界と茜にあげましょう。代わりに、茜を戻してあげて下さい。僕が魔王を倒せたらで構いません。予備は必要でしょ?」
白い世界が薄れていく。
精神世界からぬけるようだ。
「世界を頼む。」
僕は茜とやっと並べるようだ。
その代償が命だと言うならば、くれてやろう。
僕はその為にここまで来たんだ。
偽勇者の冒険譚 完成された欠陥品 @kanseisaretakekkanhin
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