大戦最後の希望〜素でチートだけど、まだ足りない〜

@ru-ra

第一章 創まり

第一章:一節 ガチャ

プロローグ

 漆黒に近い暗闇にただ染まりし"そこ"は何も感じることも見ることも出来ない空間


 誰もが見た事のある空間であり知り得ることのできない世界


 夢、見たとしても感じたとしても忘れることなく記憶に残ることなくただあったという証拠


 歩く当てもなく、1歩1歩確実に歩を進める世界を踏みしめる。ここに生まれたことを感じるために、決して忘れ去ることがないよう奪われない様に強烈な印象を残すかの如く歩く

 あるかすら分からない視覚・聴覚・触覚・味覚・嗅覚の五感全てを使い景色を騒音を匂いを空間の味を風を感じる


 数秒か数分かはたまた数時間、数年がたった今頃

 初めからこの世界を知っていたかの如く、手に取るように全てを感じる事が出来る


 そう認識することができたとき歩を止めるこれから起こる現象に身を任せる


 周りを残し、暗闇が染まる空間がキャンパスに絵を描き色を塗るように風景が描かれていく変わっていく

 それは世界の終わりで世紀末


 もともとあったのかすら分からない音それが、スピーカーから流れ出るように音量が徐々に大きくなり世界に響き渡る

 ただそれは音楽のように心地よい物ではなく、心に響く負の感情が阿鼻叫喚が旋律を奏でる不快で気持ち悪い音楽を演奏する


 パチパチと木の燃える音を出しながら燃え盛る民家や炎に包まれたビル、倒壊していく建造物の騒音や何かが燃えた異臭が漂う場所で、象ほどの大きさの足跡を残しながら追いかけてくる"モノ"逃げ惑い強大な何かに必死に叫び拒絶する音――声


 火の手が迫る部屋の中で現実から逃れようと目を背け、これから燃え死ぬであろう運命でありながら『死にたくない』と譫言のように呟く

 振動と共に強大な何かに突然途中で鈍い音と共に途切れる音――声


 夢のように感じる非現実的な光景や音

 だが、あまりにも現実的リアルで世界線が違えばこのような世界が広がっていたかもしれない


 夢というものは、脳内に溜まった過去の記憶や、直近の記憶を処理するときに表れる現象である。一見して非科学的な現象だと思われがちだが、これも側頭葉とニューロンの働きで説明できる物理現象だ


 現在、見えてる――見ているこの光景は見て記憶したものをどう処理してもこの光景になることはなく、ここで暗闇が無限にも思える空間で意味も分からず風景を見て音を聴いて感じ取っている


 風景は変わり、また暗闇の世界の色が変わる宿る


 それは小学校や中学校、高校となどの学び舎や鉄筋コンクリートで作られた頑丈な建造物に、大勢の人が所狭しと入っている


 一つ前の風景と繋がっているのであれば、緊急的な避難所の指定となっている丈夫で分かりやすい場所へ人々が詰め寄せ、一時的か長期的か避難しているように見える


 それを守るようにして銃や盾といった"ボロボロ"の装備を身に付け武装している20代〜50代の集団が、これまで幾度となくして来たのだろう連携の取れた動きで車や資材などで避難所へのバリケードを展開しある"モノら"から防いでいる


 ここが日本なのであれば、この終末的な世界でも民間団体や自衛隊などの組織が機能しているのだろう


 しかし、"ソレら"には多少の武力では太刀打ち出来ない程の差があった


 ましてや、ボロボロの装備で武装している大半の者たちは長い期間戦ってきている為か疲弊し、元々着いていた血の滲む包帯からは既に意味をなさない程に血を流し生傷だらけ身なのだ


 それが更に"ソレら"と武装集団側の戦力や武力をの差を広げている要因でもあった


 それから、数分か数十分が経過したが"ソレら"からの猛攻は止まる事を知らないのか止むことは無くずっと続いていた


 もっと詳しく見るために歩を進める今度は止めることなく進める

 風景に近づけば近づくほど歩の進む速度は遅くなれど、止まらない


 世界いっぱいに風景が広がれば、一部分だけだった世界そのものが風景となる


 そんな変化が終わると同時


 誰が聴いても苦しげ、悲痛、諦めなどの負の感情が確かに感じ取れる会話、それとも独り言だったのかもしれない


 そんな中の一人だったかその場の全員から出た――零れた言葉だったのかもしれない


 周りにいる"ソレ"よりも強大な存在感が現れた


 誰でも今までの"ソレ"よりも強大な存在を感じる事が出来た為か避難所にいた人々が逃げ出し、鉄筋コンクリートでできているであろう避難所が轟音を周辺へと響き渡らせながら崩れる

 逃げ遅れた避難者は避難所だった瓦礫の下敷きになり押し潰される


 己が守っていたものが呆気なく壊れた瞬間を見た武装集団は突然の事態に誰一人として動くことか出来ず立ち尽くす


 そんな中から避難者の中に友人、恋人、家族などの大切な人たちが居たで者たちは、膝から崩れ落ち胸の服を掴み浅い呼吸を繰り返す


 圧倒的な武力に対しどうする事も出来ず、脳が情報を処理し切れず呆然と立ち尽くしている間も事態は無慈悲に急速に動き続ける


 そして、その大勢の人が一瞬で死んだ原因である瓦礫の上に悠然と立っているその惨状を起こした化け物が雄叫びを上げる


 自分がここに確かに存在する事を周りに知らしめる為に空間を震わせるほどの雄叫びを上げる

 その雄叫びに呼応するかの如く周りにいた怪物たちも雄叫びを上げる


 魂に響くような声はその場に居た怪物以外を絶望に叩き落とす


 『絶望』その言葉を体現したような存在


 その存在感な当てられ、立っていられるのは極わずかであり意識を保っていられる者の方が少ないほどだ


 そして、化け物は邪魔な羽虫を払う様に動き出しその巨木の如き巨腕を水平に振り――






『万雷』






 切れなかった――切る事が出来なかった


 その決して大きくはない声量の呟きが怪物を含めたその場に居た全員に静かに、しかし鮮明に耳に届いた瞬間――


 怪物たちに蹂躙されようとしていた領域

 怪物たちの雄叫びの声量が大きすぎ聞こえるはずのない領域


 その決して大きくのない声量で紡がれた呟きが、化け物や怪物らを含めたその場に居た生物全てに静かに、しかし鮮明に届き脳が言語の処理を完了たせた瞬間――



 都会であるにも関わらずあらゆる色の満点の星が輝く夜空

 雲ひとつ無いそら


 地上で悲惨な惨状を嘲笑うかの如く爛々と美しく輝く星空から、神が天罰を落とすように、万を悠々と超える落雷が『絶望』を残し周辺に一帯にいる怪物たちに吸い込まれる様に降り注ぐ


 怪物たちが居なかったと錯覚するほど一瞬の間に、つい先程まで目の前まで迫っていた怪物や襲いかかっている怪物たちは、一欠片の肉片すら残さず塵へと変えられる


 今まで自分たちを蹂躙していた怪物たちが、誰にやられたのかすら認識する前に逆に蹂躙される光景が目の前で起こる




『想定より弱いな』




 美しい夜空からそう呟く声が聞こえ、残っていた化け物と意識を保っていた武装集団、極わずかに生存していた避難者が空を見上げる


 万を超える落雷を落としたであろう白髪赤眼の人物は、暗い夜空のキャンパスに一滴の白の絵の具を零した様に異様な異様な雰囲気を纏いながら『絶望』がいる場所へ’’空,,から軽い足取りで落下していく


 化け物は動くことなく警戒の色を示し、羽虫如きに出すと思わなかった殺気を溢れ出させながらただ一点を見つめ続ける


 周りに撒き散らされている殺気によって幾度となく戦ってきたであろう武装集団の大半が卒倒しかけているほど


 そんな殺気を正面からまともに受けている白髪赤眼の人物は、何も無かったように化け物に近づく為に歩を進める


 足場が瓦礫だらけで歩きづらいにも関わらず平地を歩くかのように平然と歩を進める


 数秒の後、化け物の正面に常人が喰らえば正気を保てないであろう殺気を受けながら佇む白髪赤眼の人物は嘲笑う様に口元を歪める


 それに何を思ったのか化け物はその巨腕を振り上げ正面にいる敵に叩き付ける


 しかし、避難所を崩落させたであろう威力で放たれた化け物の一撃は、片腕で軽く受け止められる、それも周りに被害がないように威力を逃がしながら


 次はこちらの番だと言わんばかりに、もう片腕で拳を握りしめ化け物の腹部に軽く当てる


 たったそれだけで掴まれていた化け物の片腕だけを残し、残り全てを弾け飛ばす


 それだけでは白髪赤眼の拳の威力は収まらず化け物の後ろにあった山の上部を消し飛ばす


 それから思った以上に相手が弱く、威力が出たからか僅かに目を見開きつつも残心を解いた白髪赤眼は化け物の片腕をどこかへ仕舞い


 近くに居る目の前で繰り広げられた光景に脳が処理を終えていない武装者に、何事も無かったように『状況はどうだ』と問う


 しかし、続きが紡がれることは無く見ていたこの世界が崩れるように徐々に綻びを受け、亀裂を生じ光が漏れ出す


 これは夢なのか何なのか

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