少女で暖を取る

高黄森哉

手をかざす


 皆手を取り合って、


 僕達の輪は雪上に現れた。


 僕と仲間の輪の内側は、


 雪が解けて地面が見えている。


 僕達の円の中では、


 火が真っすぐ立ち上っている。


 風が吹かないからだ。


 炎の中に少女がいて、


 恨むでもなくじっと僕を見つめていた。


 謝るつもりは毛頭ない。


 これは仕方がないことなのだ。


 少女を薪にして火をくべるのは、


 生きるためには仕方がない。


 そうでもしなければ、


 僕達は凍え死んでしまうだろう。


 少女は意外なほど良く燃えた。


 少女というのは実際、良く燃えるのだ。


 暖を取るには最も適している。


 だけど一向に温まらなくて、


 気が付くと僕達は手を取り合ったまま、


 凍っていた。


 仲間たちの死骸が火に照らされて影を伸ばす。


 仲間に向けて手を伸ばしているから、


 黒い†字架みたいだ。


 

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

少女で暖を取る 高黄森哉 @kamikawa2001

★で称える

この小説が面白かったら★をつけてください。おすすめレビューも書けます。

カクヨムを、もっと楽しもう

この小説のおすすめレビューを見る