何故自ら死を選ぶのか。
死の律たる存在の問いを受けるのは、切腹をしようとした侍である。
この作品の主人公は「侍」たる十兵衛であり、当然十兵衛の側からだけ見ても物語としては大変深いものがある。
だがしかし。
本作品のタイトルは「冥王と侍」なのである。
この作品の本質を読み解こうと思うのならば、「冥王」の側からもきっと見つめなければならないものがあるのだ。
侍の側から見つめる命と、冥王の側から見つめる命と、ぜひ双方を読み解いて欲しい。
そうすればきっと、よりこの作品を深く楽しむことができるだろう。
ぜひご一読ください。