白い心臓の音が聞こえる
たから聖
第1話 白い心臓の音が聞こえる
朝からずっと貴方を感じる……
今日は…ホワイトデー。
ちょうど一ヶ月前にチョコレート渡したんだっけ。
朝日が差し込むカーテンを開けると、八重桜が今か今かと、
ツボミがみずみずしく風に揺られている。
わたしは…ふぅと浅くため息をついた。
(さくら咲く?それとも散る?)
陽くんに返事をもらう日を迎えたわたしは…
真っ白な心臓を隠すように、
制服のブレザーを着込む……。
(どうか、私の願い叶えて。)
お返しが渡される。
そんな小さな期待へ胸を踊らせながらも朝のホットココアを
1杯口につけた。
『ツバサ?今日は…ココアだけ?』
『うっ ……うん。(照)』
『まっ。今日はホワイトデーだもんね。』
『!!!』
『顔が赤いわよ?』
『〜〜〜〜!!ッッ行ってきます!!』
外の空気がとても新鮮な今日は、
陽くんも、ドキドキしながら校門をくぐるのかしら?
それとも……
◇◇◇
教室に入ると、陽くんと目が合った。次の瞬間、陽くんは
私からふいっと顔をそらす。
《ズキッッ!!》
わたしの真っ白な心臓はバクバクと脈を打つ。
またため息が出る。
机の中の教科書を取り出そうとした時に、手紙が見つかった。
(へ?誰。 ??)
カサカサッ。開くと名前も書いてない。ただ
《屋上で待ってる》としか書いてなかった。
わたしは…瞬間的に耳まで真っ赤になった。
(もしかして、、、もしかして、陽くんかな?)
ドキドキな午前中の授業がとても早く感じた。
午後の授業も心ここにあらずだった。
待ちに待った放課後、わたしは
屋上へと走った。
「「「ドクンッドクンッ」」」
大人っぽい顔立ちした陽くんが、1人で待っていた。
わたしは息を切らせながら、陽くんの顔もまともに見られなかった。
陽くんは……
私の方へ向き直すと…
緊張した空気を、切り裂くように話し始めた。
『俺さ、お前の事。正直分かんね。だけど…チョコレートは嬉しかったから。』
ガサっっ。
『ほい。やるよ。』
「「「ドクンッドクンッ」」」
それは……かすみ草があしらってある可愛らしい花束だった。
『い…… 良いの??』
『だから、今度遊びに行くか?』
『へ?』
拍子抜けしそうに明るい陽くんに対して、わたしは驚きを隠せなかった。
わたしの真っ白な心臓の音は、
陽くんによって、幸せな鐘の
緊張がほぐれると、
陽くんは私の彼氏となり、
『今日から一緒に帰ろな?』
と、ぽんぽんっと頭を撫でて来た。
あの待ちわびた一ヶ月間。
陽くんに気に入られる為に磨きに磨いた事も、陽くんは気が付いていた。
『お前、可愛くなったな…』
挨拶でも、するかの様にあっさりと話す陽くん。
わたしは…花束に顔を寄せて、
知らず知らずのウチに顔が笑顔に変わっていた。
そして陽くんの右側は…いつしか
わたしの指定席になった。
~完~
白い心臓の音が聞こえる たから聖 @08061012
★で称える
この小説が面白かったら★をつけてください。おすすめレビューも書けます。
カクヨムを、もっと楽しもう
カクヨムにユーザー登録すると、この小説を他の読者へ★やレビューでおすすめできます。気になる小説や作者の更新チェックに便利なフォロー機能もお試しください。
新規ユーザー登録(無料)簡単に登録できます
この小説のタグ
関連小説
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます