第3話怪物の正体

第三話怪物の正体



俺が慌てて結城さんの方に駆け寄ると結城さんは取り乱していた。

全く俺に気づかず、黒板の方を指差している。


俺は何回も結城さんの名前を繰り返し呼ぶ。

「結城さん……結城さん…結城雅史さん」


数回呼んだ後、結城さんは気を取り戻し

深く息を吸って結城さんは俺に申し訳なさそうに言う。


「あ……。すまない、えーと傘瀬さん」

結城さん…鎌瀬です。

しかもかさせて誰ですか?傘瀬て


「結城さん、俺は………」

俺が言いかけた時白井が割り込む。


「結城さん違いますよ、鎌谷です。」

そうそう鎌……谷!?だから誰だよ。

しかも俺の中学時のあだ名じゃねか

何で知ってるんだよ!



「ああ。ごめんなさい鎌谷さん」

涙と一緒にこみ上げてくる呼吸を唇を堅く結んで押さえている様な表情になっていた。


「それで結城さん一体何が起きたの?」

白井は低い声の落ち着いた調子で結城さんに尋ねる。


「それは…………」

結城さんは何かを思い出す様にゆっくり喋り出した。



白井さんと鎌谷さんが教室を出た後三十分くらいだったかな?

後ろのドアから凄い物音がして近づいて見たらそこには何も無かった。

僕も最初はただの風が吹いてるだけだと思った。

ですが背中から氷の様な冷たい視線を感じんた。

そしたらその瞬間風が吹いた

まるで風が、木々の葉をさらさらとすりあわせていた様に。

そして風が吹いた方向を向いたら後ろのドアが開いていた。

それで黒板を、見ると今の状況に繋がるっていう事です。


俺は思った、まるで伝説の魔女みたいな犯人だ。


白井は胸ポケットから黒く丸い眼鏡を取り出して

それを目に掛けた。

俺は少し以外だったのか本音がポロリと出ってしまた。

「くそ可愛いじゃねーか!?」

俺はホオズキの様に顔を赤く染める。


幸い白井には聞こえていなかった様だ。

だが気のせいか?白井が耳の根まで赤くなっていた気がするのは?


『バカ…………』

「うん———白井なんか言ったか?」


俺は少し間を空けた後に白井に期待混じりに言った。

「———それで犯人が分かったのか?」

「……ええ」

白井は顔赤くしていたがすぐに冷静になって難しい顔をして言う。

「何か問題があるのか?」

俺はすかさず白井に問いかける。


その瞬間白井は俺の耳を引っ張って何やら他には聞かれない為なのか細く優しく声で俺に言う。

「今から起きる事をすべて忘れると誓って。」

「……なぜだ?」

俺は意味も分からないまま疑問を白井付け返す。

「良いから」

白井は俺の方に顔を寄せながら言う。

……この距離感は色々やばい。


「すみません、白井さん俺一応男の子なんですけど

この距離感さすがにやばくないですか?」

またもや俺は顔赤く染める。


そして白井は前に振り向いて結城さんの方を向いて言った。

「犯人が分かったわ!」

結城さんは思いきり唾を飲み込み深く頷く。

「———うん」


「田中さんの暴力事件そして結城さんに届いた脅迫状

それに黒板にこんな事を書いた犯人………………」


『結城さん貴方よ。』


その瞬間教室は物音一つもなく教室いる俺と結城さんが唖然としていた。


「……いきなり何を言うんだい、白井さん僕が犯人なんておかしいだろ。」

さすがに自分の名前出されたら誰だって焦る物だ。

それはしょうがないが、このあせぷっりはさすがにおかしいと俺でも思うくらいに結城さんは動揺していた。


「白井どういう事だ?結城さんが犯人とかありえないだろそんなの……?」

俺も結城さんと同じく動揺していた。


「鎌瀬くん後ろのドア開けてみて!」

……急に何だ?開ける?ドアをか?

そんなのさっき白井が後ろのドアを開けようとして開かなかっただろ。

———うん開かないドアになぜ開ける事が出来たんだ

犯人はそんなに時間あったか?結城さんの話しが確かなら

時間は……………

いや待てよ。ドアが開くのは結城さんの話しが確かな場合の話しだ。

本当かは分からない。


俺は白井に指示された通りに後ろのドアを開けてみた。

やはり後ろドアはびくともしない。


「白井…………まさか?」

「気づいたかしら?鎌瀬くん」

白井は偉そうな口調で言った。


「結城さん貴方が話した内容は……嘘ですよね。」

「僕が嘘付いた、とういう証拠でもあるんですか?」

白井と結城さんはお互い向き合い自分の意見をぶつけ合う。


「証拠になるかどうか分かりませんが

一つの噂を耳にした事があります」


白井はそういうと噂について語り出した。


「二年B組結城雅史と同じく二年B組の木崎晴美さんは恋人関係だった」


「木崎晴美ってネクレスを盗まれた人だよな……」

「ええそうよ……そして木崎晴美と田中圭は浮気関係でもある」

確かに、田中圭のいい話しはあまり聞いた事ないな、

逆に悪い話しなら俺でも来た事ある?

なぜか納得がいく噂だな。


「その噂がなぜ本当だって言い切れるんですか

白井さん、噂はただの噂人が作ったつくり話かもしれないじゃないですか」

なぜだろうか?結城さんから必死さを感じるのは。

「この噂が本当どうか証明しますよ」

白井は鞄からスマホを取り出し俺と結城さんにあるボイスメモを聞かせる。


(白井•••貴方結城雅史さんを知っていますか?

???•••ええ知ってるわよ、だって元カレだからね

白井•••田中圭と浮気してたとういう噂は本当ですか?

???•••ええほんとよ浮気とか別に良くないでか?元カレとはガチ恋ていうか?遊びみたいな物ですし)


そこには白井らしき声ともう一人女性らしき声が聞こえていた。

その声はまさしく木崎晴美さんだった。


俺ふいに結城さんの方を向くと怒り悔しんだ結城さんの姿がそこにはあった。


「浮気関係?この事は結城さんは知ってるんですか?」


「はははーはーは」

結城さんはその容姿の裏腹に野太く低い声で頭を抱えながら笑うその姿はまるで刑事ドラマの犯人の様だ。

「クソォ……クソォ……クソォ女が!」

結城さんは怒り狂っていた。


俺は無意識に一歩後ろに下がっていた。

「結城さん……」


「そうですよ。あの男は俺の女を奪った、だから殴ってやったんだよ、物凄く重いやつでな」


白井は下がりもせず前に行っていた。

そして結城さんに近づいた白井は……。

その次瞬間俺の長い前髪がふわとなびいた。

そう俺のところまで伝わる勢いで

白井が結城さん頬に重いビンタを喰らわせたのだ。


そこからは早かった結城さんは白井のビンタのおかげなのか自分のやった事悔いていた。


「本当に申し訳ありません。白井さん、鎌谷さん身内に君達を巻き込んでしまって」

俺まだ鎌谷なんだ……。


「……いいわ、後これだけは言っとくわ

貴方が浮気されたのは、貴方の力不足よ、

女て言う生き物は自分が愛されている事を明確にしないと不安になる生き物だわ、

だけど晴美さんがやった事をいいと思わない

だからこれは貴方力の不足と偶然が重なっただけよ」



『恋は偶然よ』



この一件の終止符を打ったのは、

四季崎先生だった。


俺は久しぶりに色々あり過ぎて、

やっと終わって少しホッとしていた。

「白井これで全部終わったな」

「まだ、終わってないわ、鎌瀬くん」

なぜだろうか?

白井が変に真剣な、引きつった様な顔でおれを見つめるのわ。


「貴方でしょう、木崎さんのネックレスを奪って結城さんに脅迫状を出したのは鎌瀬くん貴方よ」

「何を言ってるんだよ、自慢じゃないが俺は省エネで生きてるんだぞそんな面倒くさい事する訳ないだろ」


「はぁしょうがないわねこの話しは私の作り話しだと思って聞いて」


「それはちょうど一週間前くらいだった。ある魔女は結城さんに依頼されるの木崎さんのネックレスを奪って欲しいと」


(なぜですか?)

魔女は理由を問いかけた、


(それは僕が渡したネックレスだから返して欲しい)

とそれで魔女は思ったこのままネックレスを結城さんに返したとしても木崎さんの事をずっと引きずり新しい恋愛が出来ないかもしれないとそこで魔女は考えた

わざと何処かに落としてしまったと嘘をつくを事にした。


だが結城さんはその魔女に思いを組み取らず怒りの方向を木崎ではなく魔女に向けた、そして結城さんは魔女の評判を下げる事にした。


そして結城さんは魔女の姿をして田中圭の前に現れて暴力行為を行ってそれを魔女に罪をなすりつけた。


魔女はそれを見逃す事もなくすぐ行動にする謝罪文を手紙に書き出し結城さんに渡す事にした。

だがその前に手元にあったネックレスを校庭の土の中に隠す事にした。

その時に付いた土が茶色のシミの正体だった。


そして結城さんが話した内容はあながち間違ってはいなかったて事だわ。

時間と手紙の内容以外はね、

結局謝罪の手紙を渡したがそれの思いは届かず

「結城さんはその出来事を使って手紙を脅迫状と

すり替え、それを私に見せてもっと魔女の評判下げようとしたんでしょうね、私の人気を利用してね」


「おいおい……待ってその魔女が俺だと言いたのか、証拠もなく」


「証拠はあるわ貴方の行動のすべてよ」

「一つ目は鎌瀬くんが変だと思うくらい窓側を向いていた事だわクラスにいた時結城さんの教室に入った時

これは私の推測だけど校庭に埋めたネックレスを気にしていたと思うわ。」


「二つ目に関しては鎌瀬くんには言ってはずないのになぜか鎌瀬くんはリア充の揉め事と言った、そしてそれは本当だったこんな偶然あるかしら?鎌瀬くん」


なぜだろうか?その名前の呼び方にやたらに力がこもっているのは。


「三つ目は貴方の発言だわ」

(そんな問題、生徒会はともかく魔女は見逃さないだろ。)


「鎌瀬くんは性格に難があるけど自分の役割には忠実だと少し関わっただけで分かるその貴方がこんな発言するって事は見逃す訳ない魔女の貴方が」

てか聞こえてるのかよ……嬉しいはずなのに少し涙目になっていた。

てかこんなに証拠出されたら

認めざるを得ない様になってるんだが、

いやまだとぼける事は出来るはず。


「いや、そんななの全部偶然だろその話しが本当なら俺以外の魔女も含まれるだろ俺に限った話しじゃないだろ」


「鎌瀬くんが犯人だと思った決め手があるわ

鎌瀬くんは言ったわね省エネで生きてるてなら結城さんの教室に着くまでにあんなに距離があったのに鎌瀬くんは真っ先に前のドアの方に行ったわ、不自然過ぎるわ知っていたんじゃないかしら後ろのドアが開かない事を」


「あーあ降参だ、認めるわ

ネックレスを隠したの俺だ」

俺は認める事にした。


そして俺は白井の話した内容に一つ補足を加えた、

「人の恋が始まるか始まらないかそんなのどうでも良いただ結城さんの性格上、木崎さんの事引きずった場合多分俺のところに毎日の様に来そうだったから

そして単純に俺の消費エネルギーが高過ぎると思ったからだ、だから勘違いするなよ白井……」


白井は満面の笑みを浮かべた、それは人をからかう様な笑みだった。

「まぁーそんなところにしとくわ」


「なんだよ……その人をからかう様な笑い方は」


「なんでもない……」


こうしてこの一件は幕を閉じるのであった、

だがしかし近づく一つ影のが

鎌瀬と白井を覆い隠すであった。

  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

魔女失格 千種霞 @Poisonousmushroom

★で称える

この小説が面白かったら★をつけてください。おすすめレビューも書けます。

フォローしてこの作品の続きを読もう

この小説のおすすめレビューを見る

この小説のタグ