第6話ケーキの想い

ケーキの想い


朝日がのぼっていた街に

家の中で「ワンッ、ワンッ、ワンッ」と

犬が鳴いていた。


「あああ~眠い、朝が来ちゃった。ラムを散歩に連れてから、また嫌な学校に行かなきゃ。」と

ソウタは起き出し、飼っているラムを散歩に連れ出した。


ラムは散歩中やソウタを前足で

よく叩いていた。ソウタは、そんなラムの行動を

「構ってほしいから?なんだろ?」と毎日思っていました。


散歩中に時々クラスメートと会ったりしますが

ソウタを嫌な目で見るだけで「おはよう」もない。

ソウタは勉強やスポーツなんでも出来るので

クラスメートからは浮いていました。

誰も助けてくれない、、、。


そんな時ラムは、何故かソウタの足を自分の前足で

叩きます。なんだろ?と思うだけでした。


パパはソウタが散歩から帰ると同時に

「行ってきます!」と、毎日ソウタの肩を叩きます。

この肩叩きも、ソウタが小学3年生から。

なんだろ?と、パパのことも思うだけでした。


朝御飯をつくるソウタのママ。

ママの足は難病で不自由になりながらも

車椅子生活でも慣れた生活です。


そんな

ママの趣味はお菓子作り。

ソウタが小学4年生になると

毎週土曜日に、いつもケーキ作を作っています。

ソウタの将来やりたいことは

ママの難病をなおすこと。

いつも笑顔いっぱいで

中には変な目で見る人もいたりするので

なんとか治したいからソウタは勉強していました。


ママが土曜日にケーキを毎週だしたのは

小学4年生になり

三者面談でも先生は誉めてくれた後からでした。

ママに何やら先生は耳打ちしていましたが、、、。


変わらずクラスメートからは浮いた存在が

続きました。


変わらない嫌な学校。

土曜日にはケーキばかり。


ソウタには「ママは毎週ケーキばかり。」ただ

そう思っています。


朝ごはんを食べ、嫌な学校に向かいました。

勉強も出来てスポーツも出来るソウタは

なんで学校が嫌なのか?

それは周りの友達からなんでも出来る事で友達が少なくなっていたからということも

分かっていて


勉強なんて出来なかったら

友達はおおかったのかも?


そう思い三者面談からは

わざとテストでは手抜きしたり

体育の時も、わざと手を抜いては

友達の目を気にするようになっていました。


そんな手抜きしたソウタには、だんだん話す友達が増えてきて

これで良かったんだ!誰も助けてくれないから

だから今のままで、いいんだ!


そう思った時

ソウタが見ていた通学路の景色が

ぐるぐる🌀と渦巻きになり

そこに居たのは8つ目の犬が居ました。


ソウタはビックリしながらも

8つ目の犬の

上から2段目を見ています

なぜなら、2段目のところだけが光っていたから。

その犬は驚いたことに話し出しました。

「キミは勉強やスポーツに、手を抜いているよね?それでいいのかい?パパやママやラムの行動からは

何も感じないのかい?」


ソウタは驚きを隠せないままに

「友達が沢山いたほうがいいにきまってるよ。ママとかの行動に意味があるとは思えないよ。」


8つ目の犬は心なしかニヤリとしました。

「ではキミのパパ、ママ、ラムの考えが読めるチカラをあげよう。友達の心さえも。でもキミの今の勉強やスポーツに対する行動が間違っていたと思ったら

キミの体の一部をもらう。間違えていないと思ったら心を読めるチカラを、そのままキミのものになる。

いいかい?」


面白そうだなという気持ちしかなかった

ソウタは

「心を読めるチカラが欲しい!」


犬は「ふんわり約束が結ばれた!」

そう言うと

再び世界は戻りましたが

時間がズレ、三者面談したところからでした。

三者面談での

先生やママの心を読むソウタ。


二人はソウタを笑顔ながら心配していました。

何を心配していたのか?

二人はソウタが周りを気にするあまり

周りに合わせて実力をださない事を心配をしていました。

先生からはソウタのパパやママに

なんとか全力を出してソウタが生きて欲しいという心が読めました。

それを知り

ソウタは

「周りに合わせなきゃ友達も少なくなるのを

先生は知っているの?」と、疑問ばかり。


それから帰宅してから

ラムを散歩に連れ出した時にクラスメートでも

まだソウタを無視する子がソウタを

無視していきました。


そんなソウタをラムが前足で叩きます。

ラムの心を読むと

「叩かれても叩かれても頑張れ」という心がありました。

ソウタにはラムの心の意味が分からずに

叩かれないほうがいい!そう思いました。


散歩から帰ると

パパがまたソウタの肩を叩きます。

その心を覗くと

ラムと同じ心でした。

何をパパやラムは思っているのか

まだ気づかないソウタ。


キッチンではママが

土曜日なのでケーキ作りをしていました。


車椅子を器用にうごかしながら

ママの心を覗いた時でした。

ママからは

「小さい時に全力で何かした思い出がないから

足の難病になり、やっておけば良かった後悔を

ソウタにはさせたくない気持ちが、とめどなく

あふれた気持ちで作っていました。

声かけて言ってもソウタは分からないから

ケーキばかりを作ることに決めたことや

パパにも相談したこともわかりました。

ケーキばかりをする意味合いは


ケーキ作りは、どんなに生地を叩いても

叩いても、叩いても、最後はふくらむ。ソウタにも

ケーキのように叩かれても全力を出して周りを気にしない子どもになって最後はふくらむ生き方をして自分と難病にならない人になって欲しい気持ちが込められていました。」


毎週ケーキばかりでるのは

周りに気を遣って、全力を出さなくなるソウタに

させない為だと知りました。

ケーキや、パパやラムが軽く叩く事にも

理由がありした。

誰も助けてくれないとソウタが思っていたことは

ソウタが気づかないだけのこと。


叩かれても

叩かれても

周りを気にせず

全力疾走するソウタになって欲しいから。

どんなに周りから叩かれても

最後はふくらむ生き方をして欲しいから。


今までの考えは間違っていた、、、

家族が助けてくれないと思っていたのは間違いで

本当は毎日全力疾走ソウタになって欲しい

パパ、ママ、ラムの優しさに

涙が止まりませんでした。


ぽふっ!

という音とともに、またぐるぐる🌀な世界に

ソウタはいました。


8つ目の犬が

「叩かれたことで全力疾走を辞めてしまったキミにも、見えなかった味方はいたんだよ。友達は少なくてもいいんだ。どんなキミでも好きで居てくれる人が

友達なんだから。さあ約束だよ。キミの体の一部をもらうよ?」


8つ目の犬の2段目の目が光だし、ソウタを包みます。それから世界は変わり

目を開けるとケーキが乗った食卓テーブルにいました。体の一部を奪われたことより、みんなの気持ちで

幸せになったソウタは、何を奪われたかさえ忘れていました。


目の前のケーキは

叩かれても叩かれても、最後は、ふくらむ生き方の

意味合い。ママや周りの優しさを知り涙目をしながら

ケーキを大切に食べたソウタ。


小さな優しさに気づけ、明日から周りを気にしないで

全力疾走する生き方をしたソウタ。彼は其の後に大人になり、足が不自由になる難病を治す画期的な薬を作ることになるのです。


薬はソウタが周りを気にせず

全力疾走で勉強やスポーツや友達を大切にしたから。


そう。家族や勉強などを頑張るソウタを全力全身で支えてくれた人を救う

かつての全力疾走少年を続ける大人になりました。


おしまい


これを読んだ君たちは

周りばかりに合わせて、全力を出していない人もいるんじゃないかな?そんな生き方もいいけど

全力疾走して御覧。全力疾走したなら、後悔なんてしない生き方になるから。あの時こうしていれば

なんて考えもしなくなる。


そうそう、8つ目の犬がソウタから奪った

体の一部とは、周りの目を気にして

手抜きする心の一部の余計な部分。


手抜きも時にはいいけど

全力疾走したほうが、同じことをするにしても

とっても気持ちいい。


そんなキミを見て周りも全力疾走しだすから。

周りが全力疾走したら、その周りも

全力疾走しだすから。


出来る人は周りから叩かれることもあるかもしれない。


でもケーキと同じなんだよ。

周りから

幾ら叩かれても叩かれても、ケーキスポンジは最後は

ふくらむんだよ。


人はケーキ。

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えほんおとな短編集 めぐみかなえ @keikana27616

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