第5話 ブランコと祖父

ブランコ


とある小学校で学級対抗の

ドッチボールがありました


白熱した決勝戦

最後は3年2組が優勝しました

クラス中の みんなが笑顔です


そこに下を向くヒロトがいました

心では『時々話すだけの知り合い』

というクラスメイトへの冷めた気持ち


小さな頃は明るかったヒロトでしたが

両親が交通事故でなくなり

それからは話す相手は祖父のみ


クラスメイトにはパパやママがいる

自分にはいない

そのうらやましい気持ちから

友達と距離をとるようになっていました


自分には パパたちの事故で話せなくなった じいちゃんがいるから

友達なんかいらない

そんなヒロトです

ヒロトが暗いし、話しかけられても

ほぼ話さない

だから友達も出来ません


じいちゃんには帰宅後に

その日の話をする毎日

パパやママの話をすると

決まって じいちゃんは公園のブランコで

ヒロトの話を聞いていました


いつもブランコ

隣のブランコに座る じいちゃんが話している時も上の空


そんな日々を過ごしていた

ある日にブランコ前の見える世界が

変わりました


ヒロト『な、なに?じいちゃんっ!』

じいちゃんに話しかけても

人形のような じいちゃん

そこに首輪にブランコをした虹色の犬が

いつの間にかヒロトに話しかけました


ブランコ犬は話し出します

ヒロトは、びっくりして動けない


ブランコ犬『きみは、お爺さんの心が分からないのかい?パパやママがいない。それは悲しいことだけど、いつまでもそれでいいのかい?


ヒロトは、おどおどしながら答えました

『犬に何がわかるの?じいちゃんの気持ち?

わかったところでパパやママはかえらない。』


ブランコ犬『では提案しないかい?事故で字を書いたり話せなくなったお爺さんの気持ちが分かり、君は幸せと感じたら僕は

君の心の一つをもらう。どう?』


『別に構わない。パパやママは戻らないんだから。僕が勝ったら?』

『君のパパやママを戻す。それならいいかい?』

あまりの話にびっくりしながらも

夢?と感じたのでヒロトは

『ワンちゃん提案にのるっ!』


再び世界は変わりました

隣のじいちゃんも動いています

時間がとまった?

夢?

そう思っていた矢先でした


じいちゃんの心が透けて見えてきます

じいちゃんの心の中は

ヒロトのパパやママが交通事故の場面です

小さなヒロトの周りには

パパやママや口下手じいちゃんが。

それを見ていた時でした


大きなトラックが横から

ヒロトの乗る車と事故を起こします

ヒロトは口下手じいちゃんの見たものを垣間見ました


パパやママは

ヒロトや じいちゃんを

かばう体制で亡くなっていました


パパやママの かばう体制あり

ヒロトたちは命を助けられた事を初めて知り

涙がとまりません


パパの小さな思い出探しに

またヒロトは口下手じいちゃんの心の中を

どんどん見ることにしました


口下手じいちゃんの見た

小さなパパは、ヒロトの座る同じブランコに

いました。その時の口下手じいちゃんは

お仕事の悩みを抱えていました。


小さなパパ『ブランコって、下がってから前に

前に行ったら下がる。幸せと不幸の繰り返しみたいだね。でもパパさぁ(ヒロトの口下手じいちゃん)

ブランコを降りたら、いつも前に向いてる!

降りたら下がることは失くなり、前を向いてるってことは、歩ける、前へ進める。ブランコ考えた人は天才だね!』


その一言に口下手じいちゃんも びっくりです。

パパの一言

それで口下手じいちゃんの悩みも

失くなっていました。


ヒロトは再度涙を流しました

口下手じいちゃんは、どうしてブランコで

話すのかもわかりました。


パパやママはいなくなりましたが

その心を口下手じいちゃんは

ヒロトに伝えたかった


だからブランコへ行っていました

そう思い始めたら

クラスのみんなが自分を気に掛けてくれた

優しさ

その気持ち

暖かい心

も、思い出すと涙が溢れます

自分は幸せだった

それに気づかなかった自分が

みんなに申し訳なくもおもいました


また世界が変わりました

ブランコ犬『きみは幸せなんだよ。今までのきみは後ろから前へ行けないブランコ。今ならキミは

前へ行ける。キミは幸せを理解した。約束のキミの心の一つをもらうよ。』


また元の世界


隣の じいちゃんに涙こぼしながら

『ブランコに、いつも一緒に来てもらえた理由は

パパの一言を教えたかったからだよね?』


じいちゃんは

それを聞き泣いて頷いてました。

パパやママの残した気持ち

それを じいちゃんは伝えたかった。

その優しい気持ちにヒロトは


『じいちゃん。ありがとう。今からでもブランコをおりたら前へ進めるよね?』


じいちゃんは泣きながら

頷いてました。何回も。何回も。


翌日から友達に話しかけ、笑顔のヒロトがいました。


大人になるまで、大人になってからも

多くの友達に囲まれたヒロト。

やがてヒロトも結婚し、子供ができ

ブランコ話を聞かせます。


ふとした気付きで変わる幸せか不幸かの天秤


そうそう

ブランコ犬がヒロトから取った心の一つとは

物事の間違えたとりかただったんだよ。


この話を読んだ君たちも

みんな同じ


生きていく中で

幸せや不幸と思う時は多いのかもしれない。


でもね、、、


ヒロトのパパが残した言葉どおり

生きていくことは

ブランコと同じ


後ろへ下がるなら不幸

前へ進めるなら幸せ


それを繰り返しているだけ。

繰り返しても最後は前を向き降りる


そう思ってくれたなら

いつでもいい

歳をとってもいい

ブランコに乗ってごらん


降りたら前へ向いてる自分がいるから。


おしまい

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