第7話 今日も始まる日常 

 次の朝、慈代やすよが朝食を作ってくれた。トーストにホットコーヒー。コーヒーは何も聞かずにミルクと砂糖を入れてくれる。なんでもない、ありふれた、その朝食は素直にすごくおいしかった。

「おいしい」

思わず口に出る。

「ええ? ただのパンとコーヒーよ」

「でも、おいしい」

「それでいいなら、ずっと作ってあげられるよ」

微笑みながら言う。


慈代がスッと顔を近づけ、もう一度言う。

「ずっとだよ」

にこっと微笑む。

「今日はお昼から大学でうらら晴美はるみに会うの。恵人君も来る?」

「え、そんなところに僕行っていいんですか?」

「いいよ」

うららさんとは一緒に行くんですか?」

「まさか、学校で会うのよ。あんまり人とスケジュール合わせるとしんどくなるのよ。この世界どうしても練習とかで一緒にいる時間長くなるから……」

「え、僕は?」

昨日からずっと二人で一緒にいた恵人。慈代は恵人の方をちらっと見て、

「ずっと一緒にいてくれないと、しんどくなっちゃうかも」

そう言って微笑んだ。


マンションを出て大学に向かう。


第四章へ続く

子羊たちは眠らない 第四章

https://kakuyomu.jp/works/16817330653725973697


「子羊たちは眠らない」

*これまでのすべての章*

子羊たちは眠らない 第一章

https://kakuyomu.jp/works/16817330653285764251

子羊たちは眠らない 第二章

https://kakuyomu.jp/works/16817330653547462349

子羊たちは眠らない 第三章

https://kakuyomu.jp/works/16817330653673113286

子羊たちは眠らない 第四章

https://kakuyomu.jp/works/16817330653725973697

子羊たちは眠らない 第五章

https://kakuyomu.jp/works/16817330654724546879

子羊たちは眠らない 第六章

https://kakuyomu.jp/works/16817330655276716924

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子羊たちは眠らない 第三章 瑞葉と朱里 KKモントレイユ @kkworld1983

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