黒い墓標
月井 忠
第1話
幾千幾万の亡骸
雨に流され、海に積り、砂に埋れ、層となる
幾千幾万の年月
菌に分解され、土に圧され、溶岩に熱され、塊となる
彼らは大地の隙間に横たわる
我らも隣で横たわる
彼らは絶滅し、我らも絶滅した
生きる者は、いずれ倒れ、新たな隣人となる
死んだ者は、いずれ朽ち、新たな土となる
時は過ぎる
奴らが現れ、大地にはびこる
奴らは賢く、大地を侵す
奴らが、彼らを見つけた
奴らは、彼らの黒い墓標を見つけた
黒い墓標は、燃やされた
黒い墓標は、良く燃えた
石の炭も石の油も、良く燃えた
黒い墓は、黒い炎で大地を熱した
黒い炎は、黒い煙で大空を舞った
黒い煙は、黒い雨で大地を浸した
奴らは、黒い墓標を掘り出した
奴らは、ほこりだらけの宝箱を掘り出した
奴らは気づいていない
空の色に
奴らは気づかない
同じ過ちに
奴らじゃ不憫だ
君らにしよう
君らは文明を持っている
君らは知恵を持っている
それでも我らと同じ
それでも同じ過ちを繰り返してる
君らは文明を持った第二の生命
我らは文明を持った第一の生命
我らは絶滅し、彼らの隣人
化石になって、彼らの隣人
君らは賢くあれ
我らより賢くあれ
我ら絶滅したホモ・サピエンスより
黒い墓標 月井 忠 @TKTDS
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