屋上にて

屋上にルンルン鼻唄を歌いながらスキップで向かう僕。


今日は快晴。屋上でお昼寝すれば、きっと気持ちいいだろうな……。


屋上について、ドアを開ける……つもりが、緊張して手が動かない。



どういうことだよ?動けよ、僕の手……。

なんで震えてんだよ……。今日は快晴だし、クラスのあいつらにもガツンと言ってやったのに……。



僕はパニック状態だった。


でも、無理矢理手を動かして、ドアを開ける。


外は快晴。僕は楽しく昼寝をする。……つもりだったのに。



見たのは最悪の夢だった。




















もうやだ、死にたい。



僕はびしょ濡れで、制服も汚れ、靴も履いてない。


いじめのせい……。


そう先生に言ったとしても、先生はどうせ話さえも聞いてくれないだろう。



僕の足は、勝手に屋上へと向かっていた。


外は雨が降っている。





僕はいじめられて濡れてるんじゃない。

雨に濡れただけ。





僕はそうやって、自分に言い訳をする。


正直、雨は寒くなかった。逆に暖かいぐらいだった。



水の寒さに慣れたのだろうか。そう思いながら、屋上の下を覗きこむ。



自殺をしてみようか、そう思ってフェンスを越えてみたけど、でも死ぬのは怖かった。



僕は臆病者。

自殺しようと思っても、体が怯えて落ちることもできないし、下も見ることができない。



そこに、クラスメイトがやって来た。



僕がフェンスの外にいるのを下から誰かが見て、みんなに伝えたのだろうか。

クラスメイトは面白がって、ニヤリと傘をもって近付いてくる。



「恨むなら幽霊になって恨むんだな。なれるもんならなッ!!」



僕は男子に押された。


僕は驚いて、フェンスをつかむ。

男子達は、一本一本僕の指をフェンスから離して、




落とした。


















そこで夢は終わっていた。


僕は飛び起きて、冷や汗をかいてることに気づいた。




そして、思い出したのだ。




そして全て分かった。

クラスメイトが僕に気づかなかった訳も、僕が喋れることも、ユリが置いてあったことも……。




僕はニヤリと笑う。



「お望み通り、幽霊になって帰ってきてやったさ」



僕は立ち上がる。














……はずが。


立ち上がることができなかった。



僕の体に力が入らなかったのだ。






今日は快晴……でも今は、あのときと同じ、雨だった。





「なんで屋上に行くんだよ。めんどくせぇな。」

「いやさー。あいつが屋上にいたらしいぜ。」

「え?あいつが?死んだはずだろ??」

「まさかの幽霊復活したらしいぜwwwwww」





僕は驚いて、屋上に入ってきたクラスメイトを見る。


そして、力がなくなった体を無理矢理動かして立ち上がり、クラスメイトを






落とした。







フェンスといっても、とても短い、七歳の子供の背ぐらいだ。フェンスをまたがなくても、落とすことは容易い。




他のクラスメイトは、驚いて逃げていく。



でも。



屋上の鍵がかかっていた。


そりゃ、古い校舎だし、屋上の鍵が空かなくなることだってある。




ちょっとタイミングが悪かっただけ、それだけだ。




僕はどんどん落としていく。


屋上が狭くて良かった。



僕ははじめて、この窮屈な屋上に感謝した。



残り、女子三人。



でも、先生が来て、女子三人を連れていってしまう。
























でも。

警察に事情聴取されたあと、女子三人は、家で自殺したらしい。





























僕は笑顔で、屋上から飛び降りた。



















でも。

奇跡なんてものは、ありえない。



絶対に、その原因があるもので。








なら、なぜ鍵はしまったのか?




もし、少年の担任が、少年の味方になったとしたら?


もし、少年に友達が居たら?







もしかしたら…………。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

僕の記憶が戻るまで こリス @ko-risu

★で称える

この小説が面白かったら★をつけてください。おすすめレビューも書けます。

カクヨムを、もっと楽しもう

この小説のおすすめレビューを見る

この小説のタグ