極限東京
eLe(エル)
収束
タイムラプスという撮影機能がある。写真をコマ送りのようにして、時間経過を早送りで見せる手法だ。
高層ビルからの眺め。あっという間に陽が落ち、テールライトの残光が規則的に轍を作る。毎日繰り返される眺めと同化して、人生が擦り減っていくことを痛感させられる。美しいと言われる夜景も、私には酸でしかない。
拍手を浴びた日、自分は必要な部品であることに咽ぶ。だのに、地上に降りれば紛れてしまう。医者も弁護士もエンジニアも、ビルの窓から見下ろしていた単なる点の集合体。私は一瞬でも浮かれていた事を嘆く。
もし期待に応えられなければ、不要な存在だ。周りが犯罪者や浮浪者であろうとも、ビルから眺めた姿は一つだけ醜く歪んで見える。目紛しく駆け回る点を漠然と目に映し続けている私は、一体何者だろう。
そんなつまらない問いはもう辞めにしよう、と呟く。暗くなった画面を閉じ、窓の外を暫く眺めるも、何も変わらない。私は一人、小さく頷いた。
極限東京 eLe(エル) @gray_trans
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