第二話 トップアイドル#1
「か弱い乙女を襲うなんてアンチの風上にも置けないっての!」
花音と名乗った美少女は黒い何かに向かって怒鳴りつけると、背後の空間にバスケットボールサイズの光の球が三つ出現した。光の球は花音の身体の周りを白い軌跡を残しながら不規則に飛び回る。
うめき声を発しながら黒い何かは立ち上がった。光の球を警戒している様子で黒い何かは臨戦態勢をとる。
「ギイイイイイイアアアアアアアア‼︎‼︎‼︎」
静寂を切り裂く様な絶叫を上げ、黒い何かは花音に向かって突進する。対照的に花音は微動だにせず、身体の周りを旋回していた光の球が黒い何かに向かって高速で飛び出していった。一発目はみぞおちを、二発目は右足に直撃し、三発目は黒い何かの顔面を穿ち、悲鳴を上げる間もなく黒い何かは塵の様に霧散してしまった。
「す、すごい……」
黒い何かを消し去った光の球は再び花音の周りを不規則に飛び回る。黒い何かが完全に霧散したのを確認すると、花音は踵を返して少女の元に駆け寄る。
「怪我はない? 遅くなってごめんね」
「ありがとうございます。あの、今のは一体何なんですか? 私、気が付いたらここにいて、急にさっきの黒いのに襲われて、それで……」
捲し立てる様に少女は花音に疑問をぶつけた。言葉が溢れ口籠る少女を、花音は優しく抱きしめ幼い子供をあやすように語りかける。
「落ち着いて。大丈夫、もう大丈夫だよ。ごめんね、色々分からないことだらけで不安だと思うけど、今はゆっくり説明出来そうにないみたい」
建物の影から先ほど霧散した筈の黒い何かが次々と音も無く現れる。少女と花音を取り囲む様に現れた黒い何かは、甲高い不気味な声を発しながら鉤爪を仕切りに擦り合わせる。
「やっぱり今ので集まってきたか。ちょっとごめんね」
「え? あ、きゃっ!」
花音が軽々と少女を抱え立ち上がると、両足に楽譜の様な光を纏った。徐々に両足の光が放つ輝きが増していく。
「口閉じててよ、舌噛んじゃうかもしれないから!」
花音は言い切る前に地面を思い切り蹴り上げる。黒い何かが反応出来ないほどの速度で飛び上がり、建物の外壁を蹴り高速で街を疾走した。
Idea ひのきそら @sorahinoki4
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