もうひとつの、はじまり。

ボクが、

ボクを手放したのは、

ボクの意思ではありません。


の意思によって、

あるいは、

ゆがめられたこの世界によって、


ボクが、

ボクであることを放棄せざるを得ない事態が

どこかで起きていたのかも知れません。


ボクが、

ボクを取り戻すのは、

まだまだ時間がかかります。


だから、

覚えていてくれますか?

ボクがいたことを。

人間界で生まれて、

魔界に連れてこられて、

王子と呼ばれて、

母と過ごしたうるわしの日々を。


ボクの中には、

魔界の王の血が流れています。

だから、

きっと、戻ってきます。


この世界に、安寧を取り戻して……

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

幾星霜 結音(Yuine) @midsummer-violet

★で称える

この小説が面白かったら★をつけてください。おすすめレビューも書けます。

カクヨムを、もっと楽しもう

この小説のおすすめレビューを見る

この小説のタグ