王子

『あなたは、魔界の王となるべき御方。

 いまは、まだ、目覚める時ではない。

 だから、お眠りなさい』


眠れば、いいの。


甘い、

甘い、

夢を見ていて。


王子の体は、ここにある。

王子の魂も、つなぎ留められる。

だから、

眠っていいよ。


−−−−−−甘言に身を委ねると、

それは、それは、

心地良くって。


ボクは、

ボクを見失いました。


ボクは、

ボクの記憶をなくしました。


ボクは、

王子であることを

失念してしまったようです。



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