第45話 そして俺たちは復活を目指す。

 忙しくしていると、北側へ行った明智達が、わずか二ヶ月で帰ってきた。

 

「お疲れ早かったな」

「ああ途中で、隠れ里的な所を見つけた」

「隠れ里?」

「ああ基本は、虫系。管理者は動物系。山の中に点在していて、自分たちで自給自足していた」


 明智から話を聞くと、田んぼや畑を細々守り、現れたイノシシや鹿を狩っているようだ。


 酒も造っていて、もてなしとして夜伽(よとぎ)歓待があったと明智が喜んでいた。一応、この町の方向を教えてきたという事だ。

 興味があればくるだろう。


 それから遅れること、三ヶ月。やっともう一つのチームが帰ってきた。

 東へ向かったチームだ。

「何も無かった。都市は廃墟で光が暴れたのか、至る所にぽっかりと謎の池が出来ていた」

 疲れた感じで、チームリーダーの白石さんが答えてくれた。

「それでまあ、もっと行こうかと思ったが、寒くて雪が降ると帰ってこれない気がして諦めた。すまない」

「いや、東北の豪雪は無理だろう」

 俺と、里村のじいさんもねぎらう。



 七彩たちは、帰ってこず、調査隊を出そうかとしていた春先。

 ぽっかりと帰ってきた。

「無事だったのか。良かった」

「えへ。ただいま。色々収穫があったよ」

 そう言って抱きついてくる。


 その晩、報告を詳しく聞く。

 各地方の集落では、動物系の村長がいて集落を守っている。

 村に入ったよそ者は、攻撃されるのがおちだが、闇でドーピングされている七彩達には効かず向こうが降参したようだ。


 そんな集落が、点在していて平和に生活をしている。

 どこに行っても、戦国武将よろしく戦争状態だった光たちは共倒れをしたようだ。

 もしくは、年を経るたび消えたので、冬が越せなかった可能性があると言うことらしい。


「まあそれなら、将来的に交流していっても良いか」

「そうね。今度は一緒に行かない?」

「どちらにしろ、冷媒その他諸々。欲しいものはあるからな。関西や中国地方に向けて行かなきゃならん。道は使えそうだったか?」

「使えそうだけれど、高速は危ないよ。光の馬鹿だと思うけれど、切り取られたところがどこにあるか分からない」

「そうか、それにもう十数年メンテナンスも、されていないだろう。避けた方が良さそうだな」


 そんな話をしていると、久しぶりにくみがやってくる。

「なあに? 楽しそうな話し?」

「ああ色々探しに、関西方面へ行こうかという話だ」

「行く。うどん食べたい。お好み焼きとかたこ焼きも」

「さすがに店は無いだろうが、鉄板を見つけたら作れそうだな。ソースさえ何とかなれば作れそうだが」

「そんなことを言っていたら、食べたくなってきた。なんだかそういうものを普通に食べていた10年前が、凄く懐かしい」

 そう言って、くみがよだれを垂らす。


「そうだな世の中が、安全で平和。良い時代だったな。なるべくそれに近いところまで戻したいが、世の中で色々な仕事に従事していた人が消えた以上。すべてが手探りだ」

「そうねぇ。ソースだけでも復活は難しいし」

「違いない」


 そう言って語るくみと俺の横で、七彩が首をひねっている。


「お好み焼きとか、たこ焼きって何?」

 そう言って、きょとんとしている。

「七彩は食べたことが無いのか? お祭りの縁日とかでも出ていたと思うが?」

 ぶんぶんと、首を振る。


「じゃあやはり、作るか。じいさん達と相談して再現しよう」

「そうだね、キャベツもあるし。お祭りだね」

「鉄板を探せば、たこ焼きも作れるが、どこかにあるかな?」

「ちょっと待って、どこかに店があった気がする」

 わいわいと、話が盛り上がり、翌日には、祭りをしようという事になった。


「春と、秋二回どうじゃ」

「えらく張り切っているな」

「そりゃそうじゃ。報告を聞いた感じ、平和になったようだし、これからは文明を復活させる。そのための第一歩。ソースを作るぞ」

 里村のじいさんもその連れ連中。無論年寄りだが、盛り上がり始める。


「ソースは野菜と果物、そして香辛料。ううむ難しい。輸入が無いと栽培できん物もはいっとるな」

 里村のじいさん達が、書庫から本を探し出してきたようだ。

「ナツメグ、シナモン、クローブが無い」

「今ならまだ、どこかに無いか?」

「よおし、探してくる」

 年寄り達が、走り始める。


「やっぱり能力のせいか、みんな元気だよな」

「そうね」


 その後、妥協に妥協重ねたソースだったが、マヨネーズや鰹節が良い仕事をして、そんなに悪くなかった。七彩達も喜んでいたし、これからの世代は、これがスタンダードの味になっていくのだろう。



 今だ、日本以外はどうなっているのか知らないが、ここから俺たちは文明の復活に向け、努力することをみんなの前で宣言。


 決意も新たに、自分たちが出来ることをやっていく。


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地球上で、密かに最強決定戦の幕が上がる。 久遠 れんり @recmiya

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