第5話 桜井、平和の一端を担う!?

紅の子育て開始から、はや1週間が経っていた。


だが、幸いなことにその間の出動は1度もなく、世間は平和な時を過ごしていたが、紅だけはそうでもなかった。


ーー子育て1日目ーー


蒼が帰り、メモをひと通り読んだ紅は、眠っているマオの寝顔を見つつ、その傍らで筋トレをしていた。


案外、やることもなく手持ちぶたさを感じ体を動かすことにしたのだ。


「まぁ、寝ちゃってたらやることも何もないもんなー・・・」


特注の鉄アレイをなんの気もなしに、床に置いた時だった、ガシャン!!っと何時もの調子で置いてしまった為に、かなり大きな音がなり、マオが飛ぶように起き、泣き出してしまった。


「ぎゃあーーーーぉ!!!!!」


「うぇ!?今ので起きんのかよ!!おーヨシヨシ!!


えっと、抱っこはこうで・・そーーっと」


赤ちゃんの敏感さに戸惑いながら、ぎこちなく抱っこをするが、泣き止まない。


「泣かれるのはいいけど、なんかこー暇だな・・・


このままスクワットでもしながらやるか・・・


1・2・3・・・」


スクワット抱っこが功を奏したかはわからないが、108回目に再びマオは眠りに落ちていた。


そんなこんなで悪戦苦闘しながらも、1日目は終わる。


ーー子育て2日目ーー


「まじか、ぜんっっっぜん寝れなかった・・・」


(ぶっちゃけ、子育て舐めてた・・・夜こんなにも寝れないもん!?今後やばくねーか!?)


(やばいな、今からでも受け入れ先をさがすべきか・・・?)


2、3時間おきにミルクをあげ、ミルク以外の理由でも泣く。メモにはそう書いてあったが、紅はそんなバカなくらいの気持ちで読んでいたが、現実だったのだと思い知った。


そして、早くも心が折れかけ、俺じゃない人が育てたほうがこの子のタメになるのではと言い訳を探しはじめていた。


今は「あー」とか、「うー」と言いながら自分の手を見つめているマオを、眺めながら紅は自身の身の危険を感じていた。


「とりあえず、マオが寝たら俺も寝るか・・・親ってスゲェ・・・」


世界の親ってスゴいと思いながら、行動を開始する。


身支度を済ませ、抱っこ紐をとりだす。


「よし!マオ!!散歩に行こう!!」


「あー。」


おそらく、戦隊レッド史上初であろう瞬間だった・・・


こんな調子で大丈夫なのか、怪人がでたらどうしようかと思いもしたが、眠たい頭では何も考えられず問題を先送りにした。


そして子育て8日目、平穏は終わる。


ーー子育て8日目ーー


ついに、その日がきてしまった・・・怪人が、出現したのだ。


昼食を終え、マオが昼寝をしはじめた時に紅に連絡が入った。


「怪人出現!!現場へ急行してください!!」


骨伝導で伝わる連絡ゆえに周囲に聞こえないが、マオが起きていないかすぐ確認してしまう紅、寝息を確認しホッとする。


「すぐに向かいます。」


短く返答し、あるところへ連絡をする。


「ご連絡ありがとうございまーす!!赤ちゃんのことならなんでもお任せ、アカチャンベビーの桜井でーすってあれ・・・?」


玄関先で元気よく挨拶してくれた桜井と名乗る女性は、紅を見るなり様子がかわったが、紅は気づかず、矢継ぎ早に引き継ぎ事項を伝える。


「1時間のコースでお願いします。オムツはあそこ、粉ミルクは、、、」


「ちょっ!!ちょっとお待ち下さい!!もしかして!!」


「え?」


「もしかして、もしかしなくても・・・赤井 紅さんですよね??ヒーローの・・・」


「あ、ッス。」


「えぇー!!!!本物!?ヤバ!!え、子持ちだったんですか!?」


「あ、これには事情が・・・今は緊急事態なので、」


「そうですよね!!怪人出てますもんね!!」


「はい、では。よろしくお願いします。それでは。」


「あ、はーい!」


颯爽と走り去っていく(ように見えている)紅を見送りながら桜井は思っていた。


「日本の・・・イヤ、世界の平和を守る一端を私が背負ったね」と。同僚に語っていたらしいがそれらまた別のお話。


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戦隊レッド、赤ちゃんを拾う!? @kumakuma0000

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