第4話 赤ちゃん準備と覚悟と疑惑
「よし!これでひと通り揃ったし。大丈夫でしょ!!」
蒼は、買ってきた道具を綺麗に並べてそう言った。
「何から何まで、頼っちまってすまなかった、正直かなり助かった。」
「良いって!まさか、ミルクの作り方もあげ方も知らないとは思わなかったし、買い出しはこっちでなんとかなるしね!」
ミルクをあげながら話しかける紅は、マジでなにもわかっていなかった。蒼がいなければ、どうなっていたか不安しか残らない。
「知らないとはいえ、僕も姉貴に子どもがいなかったら紅と同じくらいなにも知らなかっただろうし、偉そうなことは言えないんだけどね!それよりも・・・」
少し間をおいて言葉を紡ぐ蒼の様子に、ミルクをあげているため、耳しか傾けていなかった紅も空気の変化を感じ取れた。
「これからはどうする?正直、今この瞬間にも出動要請がでてもおかしくはない。赤ちゃんを、連れて行くってわけにもいかないし、そもそも隠し通せるものではないでしょ?」
「それについては、できる限り隠し通していきたいと思っている・・・」
「できるの?」
子育てについて、この場の2人とも未知の領域であり、できるかできないかの判断がつかないのはわかっていたが、それでも蒼は聞かずにはいれなかった。
「やってみせるさ・・・やらなくちゃいけないんだよ、理由とかは説明できないけど、なにか運命のようなものを感じるんだ。」
「運命か・・・ブフッ!うん!!良いんじゃないかな!どっちにしろ紅がやるって言うなら、僕は最大限の協力をするつもりだったし!!」
大真面目な顔で運命なんて言う紅に思わず吹き出した蒼だったが、最初から協力はするつもりだった。
「なに、笑ってやがる!!ていうか、いつの間にか寝てたな、蒼!布団を敷いてくれ。」
「はいは~い、ところで、名前はどうするの??」
「名前は、実はもー決めてある。」
「ほうほう!それで?」
「真央だ、」
「マオちゃんか!紅にしたら良いんじゃない?」
布団にマオを寝かせながら紅は小さな命を感じていた。そして、これから先の事を考えると、不安と期待を感じていた。
「じゃあ、僕はとりあえずこれで帰るよ、赤ちゃんメモは書いておいたから、わからなかったら読んでおいて。
それじゃ、待ったね〜」
マオの寝顔を覗きながら小さい声で声をかけ、蒼は帰っていた。
その姿を見送った紅は、親友の頼もしさに感謝しながら、赤ちゃんメモに目を通すのだった。
ーーーーーーーーーー
時間は少し遡り、王食が全てを巻き込んだ爆破をし、紅が赤ん坊と共に現場を立ち去った後の、現場にて。
「あ?レッドのやつどこへ行きやがった??
もしかして・・・ショックすぎて逃げ出したかぁ!?ハッ!!腰抜け野郎が。」
今までも人質を巻き込んだ王食の攻撃は何度がある。それはないなと、王食自身もわかっていたが、高揚からか言わずにはいられなかった。
「?ちょっと僕が様子を見てくるよ!みんなお先にー!」
蒼はそのまま紅を追いかけることに。現場には桃、王食、縁六が残される。
「おい、おっさん!おっさんの仇をうってやったんだ、お礼くらいあってもいいだろ!」
未だに立ち尽くしている縁六に王食が話しかけるが。
「・・・まだだ。」
「あ?聞こえねーよ!!」
「まだ、奴は倒されてない・・・あんな簡単に倒されるヤツじゃないんだよ、王食くん。」
「テメー!!先越されたからってイチャモンつけてんじゃねーよ!!」
掴みかかろうとする王食を桃が、止めた。
「おやめない、何にでも噛みつく獣が。」
「これはお嬢様ぁ!とめんな!コイツが!」
「私も、爆風と共に離脱する影を見ましたわ、あれがおそらく敵だったのでしょう。」
「あ?じゃあアレか?テメェは敵が逃げるのを見たくせにそのまま放置しやがったのか!?」
「けが人の救護を優先したまでですわ。」
「連絡くらい入れやがれや!!」
「でくの坊に教えたところで取り逃がすのがオチ、わかっているのにわざわざするわけないでしょ?」
「は!?あー、もおいい、だか次同じ事しやがったらタダじゃおかねーからな。」
怒気を強めて王食は言うが、桃は気にもとめず聞き流していた。
そして、逃げ出していたクモ怪人は。
「クックック、まさか味方も人質も巻き込んで爆破するとは・・・このスーツ気にいっていたのですが、仕方ない。
とっておきを卸ますか、喜んでくれると良いですね〜元レッドの縁六くんは・・・」
不敵な笑みを浮かべ去っていった。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます