すがら/ながら 12月
冬泉 12月3日
・薬掘昔不老の願あり(漱石)
③と次を接木して、
薬掘り卉根洗ふ手凛として
としましょうか(卉は草の意)。次は雑で。
り(PN)
駒牽歌も賑はふ木曽路
薬掘り卉根洗ふ手凛として
名残り/裏/二/雑
①珈琲二客くるくる回り
②キナの樹皮にて青の冴ゑ冴ゑ
③一冊欠けし雑誌は何処
④膚(はだえ)の裡に隠して想へ
⑤埋めて隠せど在処の忘り
り(PN)
①手 → 昔デパートの屋上にあったコーヒーカップの乗り物は中心部のハンドルを手で回すと早くなりました。
単なる連想。
②薬 → キナ抽出物(トニックウォーターの成分)
もう一回光らせてみました。
キナは機那でも良い。
り(PN)
③手/凛 → 医療雑誌を抜き出す手が見えて……。
④薬 → 医療 → 美容整形
⑤掘る → 埋める
ところで冬泉さん的には卉根の読みは、きこん、ですか、きのね、ですか。
冬泉
きこんのつもりでしたがきのねもいいですね。ルビは付けないことにしましょう。
機那葡萄酒は小説などに出てきますが飲んだことはないですね。
今回は即決で①に。次も雑で願います。
り(PN)
薬掘り卉根洗ふ手凛として
珈琲二客くるくる回り
名残り/裏/三/雑
①スカートの中の世界は吾知らず
②チョコレート飲めば涙も退きゆきて
③南北の逆転残すチバニアン
④立つ人も立たるる人も遺恨なく
⑤星のなき光なき空ただ怖く
り(PN)
①くるくる回る → 所謂、お皿のスカートを連想。
スカートは半截裙でも……。
②珈琲 → ドリンクのチョコ
③回り → 回転 → ポールチェンジ
最近の話題で……。
④客 → 飛行機の乗客
⑤珈琲 → 真っ暗な空。
今朝の体験の交え……。
冬泉
③にしましょう。残すより証すの方がいいかもしれません。
次の次が匂の花の座。ここまで見ると有季は全て三句続けていますので、次は植物を避けて春で。
り(PN)
確かに「証す」の方が、今回の件にしっくりしますね。
変えましょう。
冬泉 12月4日
あと「ただ一人禁域に迷ひ込み」ですが、前後に独裁者と鬼一口があるので(どっちも私が出した語で恐縮ですが…)上五を「廃都より」「異装して」あるいは逆に「異装解いて」などに変えたらどうかと思うのですが、いかがでしょう?
り(PN)
わかりました。
「異装解き」でいかがですか。
細かい拘りがいいですね。
り(PN)12月5日
珈琲二客くるくる回り
南北の逆転証すチバニアン
名残り/裏/四春/春
①貌鳥の鳴く日の緯遠き
②二月礼者に重き腰上げ
③西に東に荻の焼原
④猫も身寄する磯竈なり
⑤賑やかに笑ひ始むる山となり
り(PN)
①南北 → 西
②東京と千葉の関係を、そんなふうに……。
③南北 → 東西
④チバニアン → 海底の隆起 → 海 → 海女
⑤チバニアン → 海底の隆起 → 海 → 山
冬泉 12月6日
もうあまり凝らずに⑤を短句にして、
笑ひそめたる山の賑やか
くらいでいかがでしょう。
それで良ければ次は花の句で。
⑤だけ575になっていましたか。
笑ひそめたる山の賑やか
でOKです。
り(PN)12月7日
南北の逆転証すチバニアン
笑ひそめたる山の賑やか
名残り/裏/五/春/花
①川挟みはないちもんめと並木揺れ
②花吹雪吾も娘もにっこりと
③夢に咲く花を求めて旅すれば
④花ゆれて藍き空まで朱に変はり
⑤花捲きて覗く彼方も花盛り
り(PN)
①山 → 川
②賑やかなイメージ。
③山で寝てみた夢。
④そめる → 空を桜の花弁が染める
⑤賑やかなイメージ2。
隣のおばさんちょっと来ておくれ
鬼が怖くて行かれない
……調べると、やはり地方でいろいろ違いがあるようです。
り(PN
前に、
どれにしようかな
天の神様の言う通り
……を調べたときもいろいろとありました。
面白いのは「柿の種」の出現率が高かったことです。
冬泉
花いちもんめ面白くて採りたいのですが、打越とその前にペア(二客と南北)があり、一が前述の通り、川も既出と難しいですね。初め〜染めの線から向付でこんなの考えてみましたが、案から離れすぎでしょうか。
笑ひそめたる山の賑やか
花は幽かに匂ひて空の甕のぞき
り(PN)
わたしの思考が対称に走るのでペア的なものが多くなるのですかね。
離れるといえば、今回の花はゴージャスにしたかったので「幽か」の部分を捻って少し考えてみます。
また、そのまま戴くことになるかもしれませんが……。
り(PN)
花潤み匂ひて空の甕のぞき
または
花は潤み匂ひて空の甕のぞき
とかはどうでしょうか。
「甕」というチョイスが好いです。
冬泉 12月10日
動詞が多すぎなので、
花衣潤みて空の甕のぞき
では如何。ちなみに幽かに…はこの玉川上水周辺を舞台にした漫画の連想でした^^;
り(PN)
冬泉さんマジックですね。
それで行きましょう。
ぶーけ、で1985年頃ですか。
玉川上水は笹塚から井の頭公園までは暗渠の上を歩きましたが、立川の方は試していません。
逆方向は新宿までは簡単に追えますが、その先、四谷までが割と謎。
り(PN)12月15日
笑ひそめたる山の賑やか
花衣潤みて空の甕のぞき
名残り/裏/挙句/春
①穀雨振り染め明日は何処に
②もぐら鶉に変わりてイロハ
③畔塗終わりピカピカ光り
④万良かりて甘茶も美味し
⑤急きて荷解き聞茶愉しみ
り(PN)12月15日
①甕 → 水 → 雨。
虚空でもあります。
②空 → 土。
終わった。
さあまた、ここから始めよう
③これも、空 → 土。
④覗き返すとお釈迦様がいて……。
良かりて → よしなに でも……。
⑤甕 → 壺 → 小壺 → 聞茶。
中々あっさりになりません。
冬泉 12月17日
④⑤の線で穏やかに「聞茶愉しむ猫足の卓」など考えましたが今ひとつなので、急いてを貰って少し変え、
しづごころあれ聞茶の烟(けぶり)
は如何(杜牧「茶烟軽颺落花風」)。
少し前に珈琲が出てますが遊具でもあると見て(まあ茶も遊戯ではありますが)良しとして。烟(湯気)が大仰なら香りでも…
り(PN) 12月18日
しづごころあれ聞茶の烟(けぶり)
素敵ですね。
わたしにしては風流過ぎという感じもしますが、いただきます。
聞茶愉しむ猫足の卓
も捨てがたいので、聞茶愉しむ猫舌の爺(じじ) とかにして……。
り(PN)
歌仙:朧月の巻(流出子/捌き:冬泉)2017/04~12月
一枚目の表
発句【春】(初折)(月)朧月共に眺めむ人もがな
脇 【春】おとなひあるや春の暁闇(かはたれ/かたわれ)
第三【春】草餅を食みて頬までふくよかに
四 【雑】汽車の窓辺に広がる大地
五 【雑】(月↑)緞帳の降りても拍手鳴り止まず
六 【秋】(折端)高きに登り突風に乗る
一枚目の裏
一 【秋】(折立)竜田姫歩む先より紅映えて
二 【秋】砧を打ちて涙はらはら
三 【雑】怪獣の寝息恋しき貸倉庫
四 【雑】時のまにまにバリシカも揺れ
五 【雑】ひからびた豹のかばねは謎のまま
六 【雑】硬貨投ぐれば卦は沢火革(たくかかく)
七 【夏】チェレンコフゼリーにたかる電気蟻
八 【夏】(月)葦簀洩れくる月は涼しく
九 【夏】幼少時汗疹攻略天瓜粉
十 【雑】吟遊詩人の喉も枯れたり
十一【春】(花)石の夢春の嵐に花の雨
十二【春】(折端)川面たゆたふ初筏かな
名残り(二枚目)の表
一 【春】(折立)鐘霞む脚のきれいな独裁者
二 【雑】天使も学ぶ修道院へ
三 【雑】異装解き禁域(クラウズーラ)に迷ひ込み
四 【雑】我があらましの成就せらるや
五 【雑】白金の未来飛ぶ船軽やかに
六 【雑】鳥の渡りのトラクトグラフィー
七 【冬】折紙をこすつてうつす冬椿
八 【冬】ハグは熱めに燗はぬるめに
九 【冬】風呂吹きを鬼一口に食ひければ
十 【雑】寄り目で睨む若き亡妻
十一【秋】(月)ひさかたの月面基地(ムーンベース)をつつむ靄
十二【秋】駒牽歌も賑はふ木曽路
名残り(二枚目)の裏
一 【秋】薬掘り卉根洗ふ手凛として
二 【雑】珈琲二客くるくる回り
三 【雑】南北の逆転証すチバニアン
四 【春】笑ひそめたる山の賑やか
五 【春】(花)花衣潤みて空の甕のぞき
挙句【春】しづごころあれ聞茶の烟(けぶり)
り(PN)
書き取り間違いがあるかもしれませんので、ご確認を……。
冬泉 12月20日
満尾、お疲れさまです。発句の朧月、途中の霞靄に合わせて烟を、聞香の徳ですが「静中成友」をやはり発句に合わせたというところ。
かなり強引に直してきましたが、流出子さんでないとここまでできなかったと思います。むしろ自分の句で応える方が楽だったかも。
り(PN)
こちらこそ、ありがとうございます。
ここまで真剣に合わせていただいて、実際大変だったと思います。
わたしとしては好いトコ取りな感じです。
打ち上げをしたいところですが、冬泉さんは土日に出かけられる方だし、季節も師走でバタバタしていますし、どうしましょうかね。
り(PN)12月20日
繰り返しになりますが、長い期間お付き合いくださいまして、本当にありがとうございました。
今後、ボツ作からの落ち葉拾いもしてみます。
冬泉 12月20日
では打ち上げも連句で(^_^;)
年末わりと空いてますが、一月末のあの会なら行くつもりです。そこで朗読してみるとか…
り(PN)
連句会があれば、また誘ってください。
あそこは15席なので、わたしが行って占領するのも他のお客様に申し訳なくて……。
冬泉 2017年12月22日
忘れてました。こちらでも別にツイートして、モーメントに入れてもいいでしょうか?
り(PN)
もちろん構いません。
小説サイトには画を描いてからUPします。
カクヨムは画がないから、先にそっちかも……。
終わり
歌仙「朧月の巻」 り(PN) @ritsune_hayasuki
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