名誉守護隊 ~The mission of The Honor Guard~(第2回空色杯審査員特別賞受賞作品)

江葉内斗

名誉守護隊 ~The mission of The Honor Guard~

 今日、アメリカ大統領が日本にやってくる。

 日本の総理との首脳会談のためだ。


 我々特別儀仗隊は、来日した国家元首や高官を歓迎するために存在する。

 「栄誉礼」と言って、それはまさしく、自衛隊任務の中でも特に難しいといってもよい。

 儀仗の最中、我々は文字通り「一糸乱れぬ」状態でなければならない。

 足音、ひじの角度、銃底を鳴らす音、全てがそろわなければ意味がない。

 そしてその間、我々は一切動じてはいけない。

 瞬き一つもしてはいけない。

 それが栄誉礼。

 なぜそこまでするのか……

 その答えはただ一つ、来賓たちの「名誉」を守るためだ。

 儀仗隊とは、英語で"honor guard"と訳す。

 直訳すると、「名誉守護隊」という意味。

 我々は、遥々日本まで来たアメリカ大統領に、最高の敬意を表すと同時に、大統領の「名誉」を守らなければいけない。

 それが、自衛隊の顔として選ばれた我々、特別儀仗隊の務めなのだから。


 さあ、儀仗の時間だ。



 ……と思ったが、まずい。鼻がむずむずする。

 朝ちゃんと花粉症の薬飲んだっけ?

 あ、駄目だくしゃみ出る!

 「捧げ—————————————、つつ「ヘップシュ!!!」

 ああ、終わった……



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