独特な物語で目が離せませんでした。描写や感情の表現が素晴らしく、面白い作品でした。

　思わず、おお、と声を上げてしまった、意外性のあるお話です。
　カラクリ人形の「わたし」の恋ごころ。
　恋ごころを抱かれた人間の彼のほうは、気づいていたのか、どう想っていたのか、とても想像をかきたてられます。
　見習いを卒業する彼が、恋するカラクリ人形の「わたし」のほうに手をのばし……
　ここから先は、ぜひこの作品を読んでくださいね。
　心をこめた人形には魂が宿る、ことを信じたくなってしまいます。

絵本に添えられるような文章でつづられる。
最良の人との別れの後の出会いにやってくる最悪の出会い。
でも、そう悪くもない。
人生というのも、そんな感じかもしれません。

深夜、人形と目が合って、「ハッ！」としたことが何度があります。
丹精込めて作られた人形って、何かが宿っている気がします。

真夜中にこの作品に目がとまってレビューを書いていますが、
決して眠れなくなるような怖い話ではありません。

寒い夜でも心は温まりました。

6話で構成されたこの作品ですが、
人形の気持ちが揺れ動き、変化する様子が一話ごとにとても上手く描けています。
まるでそこに人形が居て、喋り掛けているような気さえしました。

いいえ、喋っているというより、聴こえたのは恋の曲でしょうか？

最初に想像した結末とは違いましたが、終わり方もとても良かったです。

クスッとしながら、心を温かくして今夜は楽しく眠れそうです。