第9話 六峰鬼神会 九州支部

 九州に着いた。福岡に来るのは初めてだった。正男まさおは想像していたよりはるかに都会だと思った。初めて見る街の景色が何かとても新鮮に思えた。

 美登里みどりも急に東京から福岡に来ることになり戸惑いはあったが、初めて来た街に興味津々という感じだった。

 安住あずみは初めてではない様子だったが、明美の方はやはり正男たちと同じで初めて来た街をあちら、こちらと物珍しそうに眺めていた。安住は明美に申し訳なさそうに何かを話しかけていた。明美は「気にしないでいい」というような仕草で笑顔で安住に返していた。


 九州支部に着くと副支部長の矢田部やたべが出迎えてくれた。矢田部は五十代ぐらいの気前のいい男性だった。

「お疲れ様です。安住さん。太田さん」

矢田部は正男と美登里の方にも丁寧に頭を下げ、

「どうぞ、どうぞ」

と会館の中へ案内してくれた。


「今、奥に京都からの来られている方がいるのですが、支部長から、あなた方が来られたら案内するように言われてましてね」

奥の応接に案内された。

矢田部がドアをノックすると、

「どうぞ」

という声が聞こえてきた。


 広い応接室には美しい風景を描いた絵が飾られていた。テーブルの周りを大きなソファーが囲んでいる。おそらく十人以上の人数でもテーブルを囲めるような大きいテーブルとソファーがあり、ゆったりとした部屋で話をしている四人の姿が見えた。

 そのうちの二人は安住たちが部屋に入ると立ち上がり挨拶をした。

「私は支部長の斉藤です」

「副支部長の中山です」

六十代ぐらいだろうか支部長という白髪交じりの優しそうな男性と、三十代ぐらいの若い女性が安住たち四人にソファーに座るよう促した。


 安住たち四人がテーブルの方に進むと、四人に背を向けるように座っていた黒いスーツを着た男と着物を着た女性が顔をあげた。



黒田郡探偵事務所 第六章 へ続く

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黒田郡探偵事務所 第五章 裕美との出会い東京 KKモントレイユ @kkworld1983

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