学校での戯言!2羽目
「『いく』という言葉は凄いよな。この言葉一つに生と死が詰まっている」
「?」
「えっとだから逝去っていう意味の『逝く』と下ネタ的な『イク』とで」
「あぁ!!生と死で精子ってことか!!?」
「ははっ!そうだねアホ杉!もうそれでいいや!!」
僕とアホ杉は放課後の教室でべらべら雑談をしていた。というのも例の女、佐藤鈴から『放課後教室に残ってなさい』と給食後の5限目、眠い目こする僕に連絡があったのだ。正直めんどい事この上無しだがあのバカタレ暴力女に逆らっては僕の命は空前の灯である。
「でも用事って何なんだろうな?」
「さぁな、でもきっとロクな事じゃないぞ」
「それは話を聞くまで分からないでしょ?」
「うわっ出た」と眉をギュッとしかめてドアの方を向く。そこには僕より若干背が高い女、佐藤鈴が見下ろすようにしてズンと立っていた。その存在たるや万引き見つけた万引きGメン、いや店員、いや店長
「全く僕らの有意義な放課後を予定で埋め立ててまで何用だい?」
「黙れ、どうせ暇だろ」
「ウグッ、会話に毒を盛られたようだアホ杉」
「おッ!大丈夫か!!?」
「はぁ~」とわざとらしいタメ息が教室に充満する。佐藤鈴はあきれた様子で机を持ち上げるとその端と端を手で掴んでクシャ!っとした。
「コントは終わった?」
「はい終わりました。すぐハケます」
「ハケんで結構。今回はお願いがあって来たの」
「お願いだぁ!?」「おーー!!?」
僕とアホ杉は即座にアイコンタクトを取った、この間実に6秒(アホ杉が目に入ったごみをこするのに4秒)。相手の方からのお願いである以上は優位はこちらに有り、すなわち向こうはヘコヘコと下に出ざるを得ないってワケだねぇ!?よってここは僕とアホ杉コンビで日ごろのうっぷん晴らすチャンス
「今度何かおごるから、お願い」
「えッ、俺ザルそば食いたい!!ザルそばァ!」
コンビ解消、いやぁ早かった。
「いや待てい!僕はまだ聞かないぞ」
「それでね、そのお願いなんだけど」
まるで顔色一つ変えずに佐藤鈴はサラッと話を続けた。
「2人には隣町の廃病院に行って欲しいの」
「廃病院?噂の?」
「ええそうよ」と佐藤鈴はそこらの机に尻を下ろして腕組みをした。
廃病院、それは最近学校じゃもっぱらの噂であるいわば幽霊出ちゃう系のスポットだ。何でもかなりの確率で出るんだとさ。常に学校の日陰で実質心霊スポットみたいな自分空間を広げる僕にとって、そんなものは青春のスパイスに過ぎない縁遠いものと思っていたが。
「あのスポットね、最近ウチの生徒が大分出入りしてるみたいで。でも一応潰れて時間たってるでしょ?だから崩落の危険性が無いか見てきて欲しいわけ」
「い、や、だ、ね」
僕はプイッと窓を向いた。
「何?まさか幽霊怖いの?」
「あぁ!怖いね。凄く怖いさ!」
立ち上がって振り向き威風堂々と言い放つ。「ビビりめ」佐藤鈴はそう吐き捨てる。
「怖いものは怖い!僕は自分の弱さを曲げない!」
「えぇ~、行こうぜキラシタ!どうせ暇だろ!?」
アホ杉は多分空っぽの頭でからからと笑う。クッ、僕に力があればコイツぶっ飛ばして今すぐここを心霊スポットに変えれるのに。
「行かん、行かんぞ僕は。第一僕は君たちが思ってる以上に忙しいんだ。そんなオカルトに付き合ってる暇はないね。そもそも態度が良くない、人にものを頼むときは」
ヒュッ!その時僕の頬を丸まった机がかすめた。
「キラシタ、お願い」
「うむ、行こう」
こうして僕とアホ杉は喜んで心霊スポットへと足を運んだ。
学校での戯言! ポロポロ五月雨 @PURUPURUCHAGAMA
★で称える
この小説が面白かったら★をつけてください。おすすめレビューも書けます。
フォローしてこの作品の続きを読もう
ユーザー登録すれば作品や作者をフォローして、更新や新作情報を受け取れます。学校での戯言!の最新話を見逃さないよう今すぐカクヨムにユーザー登録しましょう。
新規ユーザー登録(無料)簡単に登録できます
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます