第44話 反省

「ユートさん!」

 急にユートさんが倒れてしまった。見た感じ魔力をすべて使ってしまったようだ。このままでは二人がオークにやられてしまう。私は回復魔法しか使うことしかできない、ならば今までユートさんがやってきたことを考えるんだ。

「クロさん、オークの足止めを!ガーベラさんはそれに合わせて一撃を加えてください!」

「「はい!!」」


 ガーベラさんが一撃を加えるにはオークの動きを完全に止める必要がある。なぜならガーベラは一撃しか使うことができないかつ、動く相手には全く当てることができないためである。

 クロさんがどんな魔法を使うことができるのかわからない。だからユートさんが使っていた魔法を思い出すしかない。


「クロさん!トラップとフラッシュを!」

「トラップ!」

 ミールの指示にすぐに従い、トラップを使用する。オークに魔法を探知する能力はないため引っかかる。これでオークの移動は封じることができたが、それでも動きはある。

「フラッシュ!」

「フゴッ!」

 オークは強い光を直視したため、目を覆いながら体を丸める。

 訓練を受けていなければ強烈な光を浴びると体は硬直してしまうものである。さすがのモンスターであってもそれは同様なためオークの無力化に成功した。

「とどめだよ!」

 ガーベラは大剣でオークを一刀両断する。

 危なかった。ユートさんのありがたさはわかっていたが、今回はより一層それを感じた。



「本当に申し訳なかった!」

 完全にやってしまった。魔力操作で自分は強くなったと錯覚して、むやみに魔力を消費していた。

 魔力操作は確かに強力ではあるが、使い慣れていない人が使えば無駄に魔力が出ているため、枯渇につながってしまう。

「謝るのはこちらの方ですよ、いつもユートさんに頼りっぱなしになっていることを 痛感しました。」

 目を覚ましてから俺を責めるような様子は見られず、どことなく落ち込んでいるようだった。そういう理由だったのか。

「確かに戦うことはあんまりできないけど、ユートの負担が減るように頑張るよ。」

「私も逃げないように頑張ります…」

「みんな…」


 無事にオーク討伐を終わらせ、町に帰ることにした。変異種などが出てこなかったことはうれしいことではあったが、各々反省することが見つかった。

 俺は魔力操作をちゃんとできるように練習しないとな。強いことはわかったから、今のうちはここぞという時だけにしておこう。


 今回の町までの帰路はみんな少し落ち込んでいたが、真剣な表情でもあった。

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異世界に行ってまで平均的な能力で戦っていく ねこげ @nekoge_620

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