第43話 順調なはず

 脳天に一撃を加えられたオークは力なく倒れる。こんなに簡単に一体は倒すことに成功するとは、転生したての頃から考えると成長したんだ。よし、この調子で1匹ずつ倒していくか。

 残っているオークは2人によって足止めされているので簡単に急所を狙えそうな位置になっていた。

 ガーベラたちによって倒れているオークをどうにかするか。クロの方は落とし穴に落ちてるからまだ大丈夫だろう。起き上がられると面倒だし。


 クロが作り出したスモークの中に入ると起き上がりそうになっているオークがいる。しかし、距離はあまり離れいないのでなんとか倒せると思う。迷っている暇はないので、魔力操作によって強化された身体能力で素早くオークに接近する。

「ほっ!」

 オークの首の位置は俺の身長より若干高い位置にある程度なので、他の魔法を使わずとも首を切断することに成功する。


「ゴォー!」

 身の危険を感じたのか、不完全な姿勢ながらこちらに向かって棍棒を振り回していた。オーガの首を切ることに意識が向いており、勢いがついたままであるため回避は不可能である。しかし、魔力操作で防御も上がっているため、一撃なら大丈夫だろう。

「ぐっ!」

 オークの一撃で少しは後ろに飛んだが多少痛いだけで外傷もなく耐えた。最近、盾を持っているはずなのに一向にちゃんと使えている気がしない。今はそんなこと考えてたらダメか。

 大振りで隙だらけのオークに接近し、心臓のあたりを一突き。素早く後退し失血死を待つのみ。

 あとはトラップにははまった2体のみである。

「ユート君!さすがにもう出てきそうですよ!」

 クロが慌てた声で伝えてくれる。

「足止めありがとう、今そっちに行く!」


 この調子なら残りの2体もすぐに仕留めることができるだろう。なんでこんなことを考えてしまったんだろう。


 オークはトラップから這い上がっており、今にも立ちそうである。しかし、オークは力はあるものの動きは遅く、立ち上がるのにも時間がかかる。

 先ほどと同じ要領でオークの首を切断する。もう一体はすでに立ち上がっているが周りを見渡し、敵を探しているようだった。今のうちに仕留めるか。


 オークを倒すために足に力を入れた瞬間、視界がグニャとなったのだ。どちらが地面なのか理解することができなくなり、吐き気も出てきた。


 なんだ、気持ち悪いし、力も入らない。


 立つことを維持することができず、その場に倒れてしまっている。平衡感覚がおかしくなっているせいで立っているのか認識することができないが、全身に痛みがあり、転んだんだろうと予測することはできた。


 そして、視界が真っ暗になり、意識が飛んだ。

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