前夜
nou
バレンタイン前日
私という人間は優柔不断な軽い女といえるイメージだろう。
「いやー失敗失敗」とか言って失敗を軽くし成功しても周りから軽く捉えられる。そんな人間だ。
ここまで重く何かを考える人と言うイメージはそれこそ何時も周りにいる友人達からは考えもつかない私へのイメージ。
それは自分でもわかっていたしそもそもここまで何かに対して深く考えたことがない。そう思えば私自身そういう人間だったのだろう。
軽く捉えて、軽く流して軽くこなすだけの面白みなんて感じない程度の上澄みしか撫でられない。そんな人。
まさかこんな日が来るとは思わず深々と悩む自分があほらしく感じていた。
目の前にはチョコレートの並ぶスーパーの棚。
見たことがあるチョコレートの商品がいくつも鎮座している。
何を悩む。適当に買えばいいだろうこんなもの。
そう思っても私の思考は優柔不断を発揮しあれこれそれと商品を吟味している。
何をそんなにと思うが明日がヴァレンタインと思うとあれをこれをと選んでいた手がぴたりと止まってしまったのだ。
最早面倒くさくなっている私には買わなくてよくない。なんて思考も浮かび上がってくる。
『あんた、最近うざい』
なんてことを宣ったあいつにこれを買うべきなのだろうか。
……いや、買うべきなのだろう。
いやいや、あんな事を言われたのだから買うべきではないだろう。
そんな色々が私の手を鈍らす。
「はぁ」
もういいや。
「これでいいや。いらないと言ったら私が食べよ」
受験でピリピリしていただけだろう。そう思って願掛けに受験に勝つとよく言っているチョコレートを手にレジに向かった。
まあ、仲直りできればそれでいいやと軽く考えながら私はそこを後にした。
今年の義理の本命は妹との仲直りだなといつも通り軽く考えながら私は適当にその場を去った。
前夜 nou @70441212
★で称える
この小説が面白かったら★をつけてください。おすすめレビューも書けます。
カクヨムを、もっと楽しもう
カクヨムにユーザー登録すると、この小説を他の読者へ★やレビューでおすすめできます。気になる小説や作者の更新チェックに便利なフォロー機能もお試しください。
新規ユーザー登録(無料)簡単に登録できます
この小説のタグ
関連小説
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます