最凶祟神・ミーツ・逆境美少女

一度は上皇にまでなりながらも、政争に敗れ流刑に処され、死後は怨霊と化して京の都に二度の大火を齎したとされる「崇徳上皇」――
関東一円を平らげ、朝敵と見做され討たれるも、京の都大路にさらされた首が夜な夜な叫声を発し人々をふるえ上がらせ、ついには首ひとつの姿で東の空に飛び去ったと伝えられる「平将門」――

当時の人としてはたまったもんじゃなかったでしょうが、そのような「大悪霊」とまで称される偉人に現代を生きるわれわれがある種の「ロマン」を感じてしまうのもまた事実。

本作ではそんな「大悪霊」（をモチーフとしたキャラ）が、長年辛酸を舐め尽くさせられた不運な生涯の果てにいまにも落命あわや、というまさに逆境崖っぷちの薄幸美少女にまさかの一目惚れ！？
そこから始まる大逆転劇。
でまーた、この二人のキャラがいいーんだ。
非業の死を遂げ「大悪霊」と化した身の上のクセにメーチャクチャ軽いノリで、でもやっぱり恐いところはしっかりシメる“氷雨”。
不遇な境遇に置かれ続けながらも、けして折れない挫けない、どこか逞しく強かでメッチャ気の強い“月子”。
この二人の掛け合いがじつに小気味良く読ませます。

オチといい、ところどころにフッと挟まるユーモアもイイ抜け感を出していてチャーミングです。
おもしろかったです。