第8話 おっぱいの感触を直に感じてしまう!
彩音の命令により、俺は湯船の中で正座する。
そして、ひたすら壁を見続けている。
「わー!やっぱり、氷室さんと草野さんの胸は大きいですね!」
「そ、そうかな?」
「はい!羨ましいです!」
胸の小さい水野さんが氷室さんと彩音に対して羨ましそうに話しているのが聞こえる。
「胸が大きくても良いことないですよ」
「そうだね。踊る時に邪魔になるんだよね」
「ウチ、一度でいいからそんな言葉言ってみたいです」
「アタシもだ」
「いやいや!佐倉さんも大きいじゃないですか!」
「2人と比べると小さいだろ」
「2人と比べたらダメです!佐倉さんの大きさで小さかったら、ウチの胸はどうなるんですか!壁ですか!?まな板ですか!?」
そして、唐突に自虐ネタを披露する。
「みなさんはどうやって大きくしたんですか!?」
「どうやってって言われても……」
「そうですね。大きくするための努力をした覚えはありませんので、アドバイスすることなどないのですが……」
「羨ましいです!ウチは毎日牛乳飲んだり、バストアップのマッサージまでしてるのにっ!」
どうやら水野さんは大きくするために、ものすごく努力をしてるようだ。
結果はついてきていないが。
「あれですか!?やっぱり男の子に揉んでもらってるんですか!?」
「そっ!そんなことしてないよ!」
「わ、私もそんなことしてませんっ!」
「えー、ホントですかー?」
水野さんから疑いの声が聞こえてくる。
「確か、草野さんには幼馴染の男の子がいるんですよね?ものすごくカッコ良くて……もごっ!」
「ちょっ!それ以上は言っちゃダメだよ!」
(え、彩音ってみんなに俺のこと話してるの?なんて言ってるか、めっちゃ気になるんだけど)
そう思うが、俺が続きを催促するわけにはいかないので、そのままみんなの会話を聞く。
「えーっと、なぜ続きを言ってはダメなのかはわかりませんが、ウチはその幼馴染の男の子に胸を揉んでもらってると思ってます!」
「「はぁ!?」」
俺と彩音の声が被る。
「そっ!そんなこと、まだされてないよ!」
「そうだぞ!俺はそんなことしてない!」
彩音の言葉に壁を向いた状態で同意する。
「あれ?なぜ立花さんが?」
「…………」
(しまったー!今の俺は女の子だった!)
俺が同意したことで疑念を抱かれる。
「そういえば、立花さんも草野さんの幼馴染だな」
「しかも、草野さんって立花さんのこと葵くんって呼んでますね」
氷室さんが何かに気づいたような声を出す。
(ヤベっ!そういえば、俺のことは彩音の幼馴染ってみんなに説明してるんだ!彩音は男の幼馴染がいることをみんなに伝えてるんだったら、俺=男の幼馴染ってなるんじゃ……)
そう思ったため、俺は誤魔化そうとするが…
「いや、流石に立花さんがいつも話してる男の幼馴染じゃないだろ」
「そうですね。立花さんのほかに、男の幼馴染もいるってことですよね」
なんか都合のいい解釈をしてくれる。
「そっ!そうなんだよ!」
「あ、あぁ。俺たちにはもう1人、男の幼馴染がいるんだ」
それに俺たちは便乗する。
「ですよね。立花さんがいつも話に聞いてる幼馴染ってことはないですよね」
俺たちの言葉に3人が納得する。
(あっぶねー!こんなことで俺を疑われるわけにはいかない!)
無事に疑念を晴らすことができ、俺は安堵する。
「やっぱり、男の子に揉んでもらって大きくしてるわけじゃないんですね」
そして話が元に戻る。
「そ、そうだね。だから、なんで大きくなったのか、わからないんだ」
「そうですね。水野さんに良いアドバイスができれば良かったのですが……」
2人が申し訳なさそうに言う。
「大丈夫です!ウチには立花さんがいますから!私と同じで胸の小さい立花さんが!」
そう言って、水野さんが湯船に入り…
「そうですよねっ!立花さんっ!」
俺の背中に抱きつく。
(ふぁっ!)
突然、“むにゅ”とした感触を背中に感じる。
(うぉぉぉぉ!こ、これがおっぱい!柔らかい!全然ないと思ったけど、貧乳にも柔らかさが存在するんだっ!)
そんなことを思ってしまう。
「ウチらが団結して、女の魅力は胸じゃないことを伝えていきましょう!」
「あ、あぁ」
俺は心ここに在らずの返事をする。
なぜなら…
(ヤバいっ!裸同士で抱きついているから、水野さんのおっぱいの感触を直に感じてしまう!)
背中で水野さんの貧乳を堪能していたから。
そのため…
(抑えろ!ここで興奮したらダメだ!俺の息子が大変なことになるっ!)
脳内では全力で性欲と戦うこととなった。
すると…
「あれ?立花さんって体がゴツゴツしてますね」
水野さんからそんな言葉が出る。
(ヤベっ!抱きつかれるとは思わなかったから、こんな時の対応を考えてない!)
俺は必死に頭を回転させる。
すると…
「ダ、ダメだよ!抱きついちゃ!」
そんな彩音の言葉と一緒に背中に感じていた柔らかい感触がなくなる。
「ど、どうしたんですか?女同士のスキンシップのつもりだったんですが……」
水野さんが当たり前の反応をする。
「そっ、それは………そう!お風呂に入る前にも言ったけど、葵くんは裸を見られるのが苦手なの!だから、触られるのも苦手なんだよ!」
「な、なるほど?」
水野さんが疑問に思いつつも納得したようで、俺から離れる。
「ふぅ、助かった。ありがと、彩音」
「うん。これくらいはいいけど……水野さんの胸の感触を味わってたね?」
(ギクっ!)
俺の体が跳ねる。
「そ、そんなことないぞ?」
「へー。じゃあ、なんですぐに水野さんを振り払おうとしなかったの?」
「えーっと……振り払うとおかしいかなーって」
「そうだね。たしかに振り払うのはおかしいね」
彩音が納得する。
(ふぅ、なんとか誤魔化せた)
俺は安堵するが…
「そういえば、水野さんって自分は貧乳って言うけど、全然そんなことないよね?」
「そうだな。しっかりと膨らみを感じた………あっ」
またもや自分で墓穴を掘る。
「ねぇ、最後に言い残した言葉はある?」
「…………すみません」
「そこで土下座しててね」
「はい………って溺死するわ!」
俺は壁に向かって叫ぶ。
(いや、彩音の質問悪くね?「柔らかさなんかなくて壁だったよ」って言っても感触味わってることになってアウトだったろ……)
そんなことを思った。
女装した俺が国民的アイドルになった件〜なぜ俺は女装して美少女4人と共同生活をしてるんだ?〜 昼寝部 @hirunebu
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