ステップ2 首都高並みに渋滞する感情

「大丈夫ですか?!?! 」

思いっきりやってしまった。ナギくんの事ばかり考えていたせいで他の人にぶつかってしまうなんて・・・・・・

まずは顔を見てしっかり謝らないと。そう思いながら目を開けるとそこには・・・・


上にずれた丸メガネにぼっさぼさの髪の毛、そして透き通るくらいきれいな青い目と、髪の毛からは見当もつかないほどきっちり着こなされた制服。

ぶつかってしまった相手はまさか・・・・・・ ナギくん?!


どうしようどうしようと頭の中であたふたしながらつい視線を横にそらすと、そこになぜか彼の腕が・・・・

よく見たらナギくんが私に覆いかぶさるように抱き着いてるじゃないですか!!! なんでなんでと困惑しながら私ができたことは一つ。その場で目をつぶる事だけだった。


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僕は今とても困惑している。体育に間に合いそうもなく全力ダッシュをしていたら誰かにぶつかってしまったのまでは覚えている。

その時のぶつかり具合が凄く強くて思いっきり倒れてしまったのも覚えている。


しかし・・・・・・なぜ僕はメグに抱き着きかけているんだ?!

その場でゆっくり考えようとしたがそんなことしてる暇はない。メグの容態が心配すぎる。


もちろんぶつかった相手がメグなわけないと思っていた。でもふわっとした髪質の黒髪に琥珀のように透き通った茶色の瞳。そしていつも「寒いから」という理由で羽織っている蝶の柄が印刷されたグレーのカーディガン・・・・・・ 間違いなくメグだ。


さっきから目を瞑ったままで少し声をかけただけじゃ起きそうもない。それなら保健室へ連れていく? 幸いこの高校の保健室は廊下のつきあたりすぐだ。ぶつかった衝撃でまだふらふらしながらメグを担ぐ。


「メグ、少し待ってて いま保健室連れていくから」


そう一言言って僕は保健室を目指した。


歩きながら少しずつ冷静さを取り戻してくるとどうしてメグに抱き着いていたのかを思い出した。

ぶつかる瞬間、頭はマズいと思い自分の顔の前にジャージの袋を突き出したんだ。だがそんなやわなものでは止まらずジャージは吹き飛び、伸びていた腕はすっぽりメグの顔の横へ・・・・これが真相だ。


そんな少年探偵並みの推理をしたと同時にとんでもない罪悪感を感じながらメグの様子を見る。目立った外傷はないがまだ目を瞑っている。


「あんな状況になって寝てるわけないよな・・・・ 気を失ってるのかもしれないし早く保健室行かねえと」


そうボソッとつぶやき保健室への道のりを急いだ。


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ごめんなさい寝ていました!!!!・・・・・・

ぶつかってからその相手がナギ君だと知り、どうしたらいいかわからず目を瞑っていたら昨日の徹夜がこたえて寝てしまってました!!


昨日ナギくんに別れを告げるための文章考えていたら、普段より4時間も寝る時間が遅くなってしまっていた。だって大好きな人と別れるための理由を考えるなんて初めてだったから・・・・


そんな風に反省の言葉を心の中で唱えているとようやく自分の立場を確認することとなる。


え?! 私いまナギくんにお姫様抱っこされてる?!?! 

彼女が大好きな人にしてほしいことランキング堂々の2位じゃないですかちょっと、え?!

頭の中が混乱して足をパタパタ振ってしまう。さすがのナギくんも困惑した声を出していたがすぐ 「悪夢でも見てる・・・・ のか?」 と言いすぐ何事もなかったかのように歩き始めた。天然すぎるよナギくん!!!! そんなんだったらすぐに悪い人に騙されちゃうんだよ!!! とまるで母親のような気持ちになってしまった。


そんなこんなで悶々としながらナギくんに運ばれているともう保健室についてしまった。内心「もっとナギくんに抱っこされていたかったな」と思いながら保健室のベッドに寝かされる。



いつまで寝ていただろう。起きると枕元にはなぜかレーナ先生がいた。


「レーナせんせ・・・・んぐっ」


レーナ先生は私の口を優しくふさぐ。


「隣の部屋に秋津君寝てるからもー少し静かにね 具合はよくなった?」


「はい おかげさまですっかり レーナ先生はどうしてここに?」


するとレーナ先生は子供が駄々をこねるように愚痴り始めた。


「私がちょっと足をくじいたからここ来たら保健室のおばちゃんがさ! 2時間ほどここを任せてもいいですか? だって! 信じられなくない? 私のお昼ご飯タイムがぁ~」


そんな風に文句を言うレーナ先生を見ながら私は気になっている疑問を投げかける。


「なんでナギく・・・・秋津君が寝ているんですか?」


するとレーナ先生は少し笑いながら

「私の前ではナギくんでいいんだよ? だってあの子、あなたのこと運んできたと思ったらベッドの上で思いっきりぶっ倒れたんだもん。よく見てみたら鼻血も出てたしすぐに寝かせたの」


ナギくんそんな状態でも私を運んできてくれたんだと思うとなんかすごくうれしくなった。そんな風に安堵の表情をしているとレーナ先生がいたずらな笑みを浮かべながら


「それで~とメグさんはどうしたの? 運ばれてきたあなたも運んできたも顔真っ赤だったよ~?」


と一言。わたしは「この人に隠し事するのは無理だ」と悟り先生に起こったことをすべて話した。


「なーる程ね ところでそのお話1つ気になるんだけどさ。どうしてメグちゃんは秋津くんをフっちゃったの?」


先生も流石にやりすぎたと思ったのか秋津君呼びに戻ってる。私が口に出すのをためらっていると先生は「言いたくないなら無理することないからね?」と言ってくれる。でも私は他の人に話したかった。私のふがいない失敗談を相談したかった。


「・・・・ちょっと長くなるかもですけど、1から話しても良いですか・・・・?」


私がそう聞くとレーナ先生は笑顔で答えてくれる。


「もちろん 私に話してくれてありがとう! 5限目もどうせ始まっちゃってるし、何時間でも聞くよ! というか聞かせて! 」


と笑顔で言ってくれた。先生ありがとう、私は先生の笑顔に救われてます!


そう伝えた後1度大きく深呼吸し、私の1つ目の秘密を話し始める。

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タラタラしててもいーんじゃない?! @harurudao

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