#5 仲間候補は謎の魔物だった。

俺は虫が大の苦手だ。

にもかかわらず次の進捗は《新しい仲間》。

達成条件は《仲間》を作り、それに乗って移動することだ。

かみっちによれば、俺らと同じくらいのサイズの虫か魔物に乗らなければいけないらしい。かみっちが言う「魔物」が何かははっきりしないが、好ましい見た目ではないだろう。まぁ虫に乗るよりはマシかもしれないが。

「んじゃあ早速探しに出かけるか!」

かみっちはお構いなしに進み始めた。異世界転生を望んだ俺よりも小人生活を満喫していそうだ。天界は刺激が少なかったのかもしれない。

しかしこの進捗をクリアしなければこのまま遠く移動できないままだ。しぶしぶ彼についていくことにした。

「あ、これなんかいいんじゃないか?」

かみっちの声がした。

そっちの方角を向くと、いかにもさっきの巨大クモの縮小バージョンのような生物が等身大でいて、鳥肌がぞわぞわっと立つのが感じられた。

「どう?俺はかわいいと思うけど」

神様の感性は全く理解できない。天界にはさぞかし化け物が多いに違いない。

「いや、もうちょっとオブラートな見た目のやつがいいなーと…」

自分でも語尾が消えていくのを感じた。絶対かみっちなんか言ってくr...

「あれもしかしてトウマ虫苦手系?やっばwwww情けなwwwww」

「うるせぇなぁ!キモいもんはキモいだろうが!」

「草」

なにが草じゃ。マジで今すぐ逃げたいんだが。

「まぁしょうがないな。魔物で虫っぽくないやつが一匹見当たるんだ。そいつを見つけるか…そもそもこっちの世界に存在するかわかんないけどな。そもそも天界では絶滅危惧種だったからこっちにまともにいるかもわかんないけど。多分いないだろうな。」

勝手に自己完結しやがった。

長老様の力があれば送ってくれることもできそうだけど、長老様もそんな暇じゃないだろうし、下手すりゃ生態系を崩す可能性もあるから了承してくれる可能性はめっちゃ低い気がするけd...

--- おけおけ、ちょっと数匹放っといたぞーw ---

脳内に直接甲高い声が聞こえてきた。まったくふざけたジジィだ。

「長老様がその魔物送り込んでくれたってよ…w」

「お、おうそうか…w」

かみっちもちょっと引いてるの草なんだが。

「あ、あれじゃないか?」

かみっちが指さした方向には非現実的な物体がいた。そもそもあれは動物なのか?

それは真っ白な箱のようなものだった。サイズは大きめの引っ越し段ボールほど。計算アプリを使ったのか?と思うほどきれいな長方形をしている。その生物の正面と思わしき方向には黒い線が縦に二本ひかれている。そもそも動きもしない。ほんとに奇妙である。

こんなのが俺らと意思疎通できるのか?

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ついに転生した!と思ったらただ小人になっただけでした。でもなんか悪くない? @Omo613

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