コメディでは、まず何を考えれば良いのか
コメディとはどうすれば面白くなるのか?
ネタはどう選べば良いのか?
まず第一に、読み手の年齢設定から行う。
それは年代によって持つ知識、世界への興味が違うからだ。
まず子供であればどうだろう?
就学してまもなく、文字に触れて小説を読めるかもしれないギリギリの年代の子供達。彼らが興味を持つものは、食べ物、変な友達、世界のヘンなモノ全般になる。
少しややこしくなってきた。
子供が興味を持つモノを、一言でいえばなんだろうか?
ソレはズバリ、「モノ」だ。
欲求を解決する、モノ単体が、子供の興味の中心になっている。
そして社会性、メタ認知から起きる自虐ネタは通用しない。
逆に、自分と比較して相手がおかしいと、他虐するネタは通じやすい。
これが子供の笑いの特徴だ。
そしてこの笑いは全世代に通用する。
次に思春期から青年まで、就職前までの年代の年齢の場合はどうか?
この年代では、ネタに恋愛つまりラブコメ、そして自虐、おれってだめだなぁというネタが使えるようになってくる。
部活で出会う変な先輩など、上下関係を前提としたネタも使えるようになってくるだろう。クラスにおけるヒエラルキーなど、ほのかに社会性を感じるネタが使えるようになってくるのが、思春期から就職前における年代のコメディだ。
そして少しこの年代が上がると、就職という未知に対する恐怖がある。
このシチュエーションは非常にコメディに使いやすい。
就職における面接というのは、「緊張」を伴い、ギャップを作りやすい。
それにくわえて、不特定多数の人と人が衝突するシチュエーションというのは、非常にコメディの舞台装置として使いやすいのだ。
そして就職して働き出し、老後を意識するまでの年代はどうだろう?
ここでは会社、バイトという舞台設定が非常に使える。
会社から要求される変なサービス、上司、客、彼らの興味はここに向いているので、これが使いやすい。
会社というのはそれ自体が緊張状態のある環境であり、そこで奇妙なことがおきたり、変な人がはいってくるだけで笑いが生まれる。
このシチュエーションでの笑いを取り扱った、泉家喬太郎の「みどりの窓口」は、現代落語における名作なので、ぜひ視聴して欲しい。
これを見たとき、きっとあなたにも心当たり、経験があるのではないだろうか?
さて、次に仕事を退職し、老いや死を意識に置き始めた人たちの話をしよう。
この年代においては、死や老いが興味の中心だ。
だからこれが、笑いのネタになる。自虐ネタが非常に多いのがこの世代の特徴だ。
食べられたものが、食べられなくなる。できたことができなくなる。
自分の存在が社会にとって段々と透明なものになってくる。
これがこの世代における笑いのフックだ。そして、周囲は自分に対して介護しなければならないもの、もしくは邪険に扱うといった緊張がある。ここから老年期における笑いというものが生まれるのだ。
まずコメディを作るにあたって、読み手になる人たちの年代を考えただけでも、ここまで使うネタに幅があることに驚くだろう。
届けようとしている相手はどれなのか?
それを決めることが、まずコメディ作品を作る始まりになる。
もちろん、子供の笑いで説明した、世界にあるヘンなモノをイジるという笑いは、すべての年代に通用するものだが、ある欠点がある。
それは子供のコメディには、メタ認知がないということだ。
一体どういうことか説明しよう。
子供の笑いには、「自分がどういった世界にいるのか?」という、彼らより上の年代に当然のように存在する、環境から生まれる緊張がないのだ。
これはシチュエーションコメディを作れないということを意味している。
もちろん学校、家庭などは作れるが、だいぶ制限される。
コロコロコミックなど、小学生を対象としたマンガ雑誌で連載されているお話を思い出して欲しい。
そこでは、舞台が学校のほか、ゲームやファンタジーを舞台にしてなかっただろうか?それはこの制約を打破して、なんでもありにするためなのだ。
さて、決まったかな?
自分のコメディにおける対象年齢の設定は、絶対に決めよう。
君が苦しみに喜びを見出すマゾヒストでないならば、これは必ずやるべきだ。
実際にめちゃくちゃ苦しんだ私が言うのだから、間違いない。
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