3−11
スワロside
「さて、懐かしいな。作戦の重要な部分を俺らに教えずおおよその敵の数と武装のレベルだけ教えて戦地にほっぽり出すこと、そう思わないかテレスコ?」
「オレッチたちは相手に捕まる可能性があるから敵に情報が渡らないにようにしてるって前から言われてたじゃん、まあ細かい作戦を全部覚えられる自信ないけど」
「あっはっはっは、そうだな。俺たちは頭使うより動く方が向いてる」
「突撃バカのアンタよりかは断然頭使ってるけどね、オレッチは」
「お!なんだ、
「ふっ、強くなったオレッチに勝てるかな?」
1週間前にメルトさんに「1週間後に都市を攻めることが決まったから準備しといて」と言われて準備していたのですが、いざ始まると思っていたら転移で人っこ1人いない街に連れてこられメルトさんの古い友人らしい男の方2人と一緒にこれから
それに何だか先にいたお二方は言動が幼稚で頼りなさそうに感じますし
「あのーすみません。お二人がメルトさんが言っていた方ですか?」
「うん?あぁ君がスワロちゃんだね、オレッチはイービルアイのテレスコ、こっちは狼の獣人のダイア。早速なんだけど君はメルトから何か聞いてない?」
「ずっと気になってんだがその一人称なんだよ」
「今それについてはいいだろ、オレッチはスワロちゃんに話しかけてんの!」
私とテレスコさんの間に突っ込んできたダイアさんをテレスコさんが触手で簀巻きにしている
「ごめんね、そこのバカが話遮って」
「い、いえ。それでウチがメルトさんから伝えられたことですか?」
「うん、そう。今回の作戦についてメルトはオレッチたちに全然教えてくれなくてさ〜」
「ウチも全部を教えられたわけじゃないですけど、今私たちがいる街がどんなところかは知っています」
「そう言うのも全然知らないから教えてくれない?」
「そうですか、ウチたちが今いるこの無人の街はメルトさんたちがこれから攻める街の建物だけを魔術で模倣したコピーだそうです」
「どうりで人どころかネズミの気配もしないのか」
この人たち本当にメルトさんから何も伝えられてないんだ、信頼されていないのかな?
「そしてこのコピーの街と本物の街にいる来訪者と住民の位置を入れ替えるんだそうです」
「ってことは建物の中にいた人はそのままコピーの建物の中に現れるってことでいいのかな」
「おそらくは、それとわざと空き地にしている場所が東西南北それぞれあるからそこで思いっきり暴れてきなとも言ってました」
私の眷属のワイバーンたちは空を飛べるとはいえ羽を閉じたとしても5m以上の幅がないと思うように戦えない、ましてや相手の人数が圧倒的に多い状況で戦闘する場合は場所が広いに越したことはないから空き地があるのはとてもありがたい
狭い樹海の中で角兎さんたちとの
「空き地についてなんですけど、ウチとウチの子たちに譲ってくれませんか?」
「メルトから君の部下は大きい奴しかいないって聞いてるからいいよ、そしたらオレッチは中央の鐘楼にいるからそこに近付こうとするのを止めてくれない?オレッチ見ての通りか弱いから」
ワイバーンたちについては教えてもらってるんですね
しかし目の前で成人男性を簀巻きにして逆さ吊りにしている人にか弱いと言われても説得力が感じられません
「フガッ!フガフッッガ」
「はいはい何?」
「プハッ、俺は走り回れるならどこでもいいぜ」
とてもいい笑顔でダイアさんはそう言いましたが上下逆さまのせいでネタか一種のフラグのように感じます
あっ、テレスコさんがイラついてダイアさんをシェイクし始めた
やっぱりテレスコさんがか弱いって絶対に嘘ですね
「屋外のやつらはいいとして屋内のやつはどうする?」
「あっ、
「それじゃぁ、建物から出てきたやつと元から外にいる奴らはオレッチとダイアが対処するよ、ダイア何すればいいかわかったな」
「要するにいつも通り走りながら暴れればいいんだろ。任せとけ」
その後もテレスコさんと詳しいところを詰めていきウチのワイバーンの半分を外周から追い立てるのにともう半分を空き地周辺で暴れることになった
そしてワイバーンのみんなを召喚し撫でながらメルトさんからの連絡を待っていた
『そっちのバカ2人とお利口なスワロちゃん準備はできてるかい?』
「何だオメェ、喧嘩売ってんのか」
「喧嘩ならこれが終わったら格安でなら買い取るぞ」
この人たち本当に大丈夫かな、知能が中学生男子レベルに感じるんだけど
特にテレスコさんはさっきまで真面目にウチと話してたよね⁉︎
『元気が有り余っているようで何より、あと5分ほどでこちらの準備が終わるから何か準備が必要なら初めておくといいよ。それとスワロちゃんこれから君は罪もない人々を虐殺することになるそして君はこの先ずっと住民とプレイヤーの敵になるその覚悟はいいかい?』
いつものどこかおどけたようなメルトさんの声色とは真逆な凄みのあるそれでいて優しい声色で覚悟を問われた
本当のことを言うとウチも今回の話を聞かされた時は悩んだ
人を殺す、ゲームの中だけど現実の人が動かすPCと現実の人間とほとんど変わらない思考と感情を持つAIが動かすNPC、どちらも現実の人とほとんど変わらない存在をウチは殺すことができるのだろうか、殺した後ウチは後悔しないでいられるだろうか、と
メルトさんは殺すのが嫌ならワイバーンたちを少しの間貸してくれるだけでいいとも言ってくれた
けど、メルトさんが所謂
「はい、ウチの意思でメルトさんの仲間に入った時点で覚悟は決めています!」
『…その覚悟確かに受け取ったわ。スワロちゃん、自分にとって意味のない殺しをしちゃだめ、殺しに意味を感じなくなるようになるのも絶対にだめ。だから、だからね、辛いことを言うようだけれど相手の事情を聞いても共感せず、自分のやるべきことのためその先にある自分が思い描くもののために殺すようにして』
「本当に辛いことを言いなさる。オレッチからもスワロちゃんにアドバイスだ、初めての殺人はゲームだろうが何だろうが怖がって当然、だからこそ殺人の恐怖に飲まれないように気を強く持つことが大事!」
「俺からは敵を殺すことより自分を殺しにきている脅威を殺すことを優先しろと言うことか。敵を殺す前に自分が生きるために脅威を排除しろって言っとく」
メルトさんとダイアさん、テレスコさんそれぞれからこれから初めて人を殺すウチにアドバイスをくれた
どこか怖くて不安だった気持ちが少し晴れたように感じたけどそんなことよりも、ダイアさんとテレスコさんの知能指数が急激に上がったことに笑いそうになってしまった
「どうした⁉︎」
「オレッチなんか変なこと言ったか」
「い、いえ、お二人の語彙のレベルがいきなり上がったもので」
『あっはっはっは、あんなシリアスな話の後にそんなことで笑えるのか。スワロちゃん君なかなか大物だね〜』
は、恥ずかしい、笑われてしまった
『思ってたより緊張はしてなさそうだね。スワロちゃん私たちが言ったことは忘れるなとは言わないけど言われたことに囚われるてたら今度は自分が殺されちゃうから頭の片隅にでも置いて置いてとにかく君とワイバーンたちが生き残ることを第一目標にするように。おっと、話しているうちに残り2分だ、準備も覚悟はもうできているようだし私から言うことは一つ、魔術王メルトが命じる敵を蹂躙しろ』
「はい!!」
「「Yes ma’am!」」
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初めましての方は初めまして、前から読んでくださっている方は続けて読んでくださりありがとうございます。作者のH2ゾンビと申します。
今回はスワロちゃん視点でロンド侵攻の直前のプレイヤー・住民殲滅班の様子を書かせていただきました
本当は今回でロンド侵攻に入ろうかなと思っていたんですがメルトたち神殿破壊班の方ばかり描いていたのでこちら側も書くことにしました
今回からしばらくはスワロちゃん視点で進みます
それでは3−12でまたお会いしましょう
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アルス・マグナ 魔術を極めたらVRMMOで災厄となっていた H2ゾンビ @H2haruto
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