3−10

『主よ、お忙しいところお呼びしてしまい申し訳ございません』

「ミール、私の方から見せて欲しいって言ったんだから謝らなくていいよ」

『そうですか』

「そういえば何個の賢者の石に経験値溜まったの?」

『3つ全てです。我が子たちが集め主に納められた後の残った経験値を子供達の育成をしながら少しづつ石に貯めていましたがコルデー様たちがここに来た頃にやっと溜まりました』


 …よく貯められたね

 私はみんなから集まった経験値をミールたち蟻軍とフォスたちアンデットに振り分けたりしてるけどそれだけでカツカツになっちゃてるんだよ


「それで誰を進化させるの?」

『私自身です』

「へ」


 マジ!?ミールが進化するの

 てっきりロイヤルガードアントとかソーサリーナイトアントとかだと思ってた


「何でいきなり⁉︎」

『主が一度死に戻ってきた時や雷霆と以降の神の青雷を主が防いだ時に我が子たちが主を守れなく私がその場で主を守れなかったことが不甲斐なく』

「そんな気負わなくてもいいのに」

『そういう訳にはいけません!私は主の最初の眷属です。ですがいつも主の危機にその場にいなく私の子達がその場にいたのに何もできなかったということは眷属としても蟲女王の娘として許され難きことなのです!!』


 そう言うミールの目には後悔と屈辱と自分への怒りが溢れていた


「うん分かった、ミールの好きのようにしなよ、そもそもそれはミールにあげた物何だから。その代わり、後悔はしないようにね」

『はい』


 そう言うとミールの後ろに控えていたメイドアントがストレージから小さな宝石箱を取り出しミールの前で開けた


「すごいね、本当にあげた賢者の石全部満タンまで経験値貯めたんだ」


 淡く光る賢者の石を見て私は驚いた

 私が作る賢者の石には経験値が1万ほど貯められるはずなのでミールはこの1ヶ月半近くで3万も経験値を貯めたことになる

 新しく生まれた蟻が生まれてからの1週間で大体経験値を5〜7獲得して次の1週間からは多くて3少なくて1しか経験値は集まらないから単純計算で蟻約4000匹分の頑張りがこの3個の石に詰まってるのか

 いや、ミールは私の眷属だから私にアリたちが集めた経験値の8割が納められるているはずだから2万匹以上の頑張りの結晶なのか、この賢者の石は


『えぇ、文字通り我が子の血と涙の結晶です』


 それはそれは愛おしそうになでてからミールは賢者の石を宝石箱から取り出した


「さて、賢者の石の使い方は分かるかい?」

『はい、渡される時に教えてもらいましたから』


 ミールは前足で抱えていた3つの賢者の石を口に運ぶと噛み砕かずに飲み込んだ


『グッ!』


 ミールが苦しんでいるあ仕方がない賢者の石自体が激毒なのにその中に経験値というエネルギーが詰まっているのだ、そんなものを飲み込んで苦しくないはずがない


“・眷属:ミールの累計取得経験値が規定値を突破しました

 ・配下の数が規定値を突破しました

 ・支配した土地の面積が規定値を突破しました

 進化させますか”


 進化の許可って私に来るのね

 それになんかアナウンスが私の進化の時と変わって少し丁寧になってない?

 アップデートで変わったのかな?

 そんなどうでもいいことよりも


「進化先ミールが好きに選んでよ。私はミールが選んだ進化先ものなら何でも受け止めるから」


 私のところにも進化先を選択するウィンドウが出ているが私は進化先をミールに選んでもらいたい

 私の願いを聞いてくれたのかウィンドウに“眷属ミールが進化先を選択しましたよろしいですか”と出ているのでその下にあるYES/NOのYESを押す


 ミールの体表が曇り背中に生じた日々から光が溢れ中から新たな姿のミールが生まれる


「エンプレスビーアント、ミール改めて主に忠誠を」


 キェェェェェェアァァァァァァシャァベッタァァァァァァァ!!


 ボケは置いといて女帝エンプレスかミールはそれを選んだんだね

 進化したミールの姿は他の脚より太くなった後ろ2本の足で人のように立っており残り4本の脚はものを持ちやすいように爪が伸びて手のようになっているうえ外骨格も流線型のラインをとっているためシルエットは鎧を着込んだ4腕の女騎士のようにに見える

 顔も小さくなったうえ輪郭が丸みを帯び人に近くなったように見えるが変わらず逆三角形の形と頭から生える2本の触覚に顔の左右にある大きな複眼、額にある小さな4つの複眼さらに鼻がなく人間で言う口から顎にかけてが縦に割れ大顎になっているため到底人には見えない

 肩から生える羽根は進化前の身長よりも2倍近い大きさから小さくなり膝上までになったがハリがあり堅くしなやかになったように感じる

 体を支える2本の脚の後ろには上半身と同じほどの長さと上半身よりも1.5倍ほど太い腹が生えていた

 ちなみに上半身にはとても立派な胸部装甲をお持ちだった

 なんでみんな私より大きいの⁉︎

 私への当て付けか!このやろー‼︎


「主よ何惚けているのです」

「いや、何でもないよ。改めてミール進化おめでとう」


 跪いたミールの頭をゆっくり撫でる


「それとそこで見てる人たち覗き見はいいけどミールにちゃんとおめでとう言ってね」


 すると部屋の入り口からフォスとアンバー、ミネルスにスーちゃんの眷属たちが静かに入ってきた


『ミール様進化おめでとうございます』

『ミール進化おめでとさん』

『ミールおめでとう』


 フォスは心からお祝いしアンバーはお祝いするのに慣れていないのかそっけなく、スーは自分のことかのように喜んでいた


「何アンバー、王族なのにこう言うの慣れてないの?」

『自分より上のやつか下のやつしか祝ってこなかったから自分と同格のやつを祝うのは慣れてねえんだよ』


 こう言うのも王族の定めなのかね〜


「進化して新しく習得できるようになったスキルと強化できるようになったスキルがあるから強化していい?」

「どうぞ、主の好きなようにしてもらって構いません」


 ミール

 年齢 8

 身長 360cm

 称号 蟲女王候補

 種族 エンプレスビーアント

 種族特性 女帝蜂蟻 子孫統治・眷属化(蜂・蟻・下級昆虫)

     翅翼 一部スキル解放

     針槍 一部スキル解放

     外殻 一部スキル解放

     変体 器官収納

 スキル 槍術・土魔術・風魔術・毒魔術・強化魔術・採掘・魔力感知・魔力視・気配察知・高速飛行・ホバリング・猛毒針・針射出・針再生・猛毒生成・麻痺毒性性・蟻酸生成・外殻再生・外殻強化・卵産み・念話・調教・召喚・軍団指揮・眷属化


 女王蟻は女帝蜂蟻に強化されて子孫従順は子孫統治になったことでミールが卵産みで産み出される蟻のステータスが1段階高い状態生まれるようになり、経験値徴収がなくなって眷属化を新しく手に入れていた

 翅は翅翼になって飛行の強化版である高速飛行が取得可能になった

 針が針槍になったことで細めの馬上槍のような取り外し可能な針を新しく作り出せるようになり槍術を取得可能になった

 外殻によって習得可能になったスキルの中から外殻再生と外殻強化の2つを取得し、効果はスキル名の通り外殻が傷ついたりしても再生できるのと外殻が堅くなるそうだ

 元の硬さを確認する前に取得してしまったためどれほど硬くなったのかは分からなかい

 スキルは毒関係を軒並み強化したり新規取得して、指揮も軍団指揮と言う指揮よりも多人数に効果が発動するスキルに強化した


「戦闘系によってるけど順当に強化されたように感じるね」

「そのようですね今までよりも早く思い通りに体を動かせているように感じます」


 クイーンビーアントは魔術士よりのステータスのようだったけどエンプレスビーアントは近接戦闘職よりのステータスのようだ


「ミールはエンプレスビーアント以外にも進化先あったと思うけど何でそれにしたの?」


 女帝エンプレスビーアント以外にも私に表示された進化先には女教皇プリーストビーアント、聖女セイントビーアント、聖母ホーリーマザービーアントの4種類あったはずだ


「アラクネーの種族がインセクトマザーだったと聞いてたから蟲女王になりたがってるミールはホーリーマザービーアントになるものとばかりと考えていたんだけれど」

「蟲女王を目指すのならばそれを選ぶのが最善でしょう。ですが今の私は主の一眷属、私1人の我儘で皆で決めた目標を壊すわけにはいけません」

『ミール様』

『ミール、いや、ミール姉』

「何も今回ホーリーマザービーアントを選ばなかっただけでもう蟲女王に成れなくなったわけではないので、次進化する機会にインセクトマザー蟲女王を目指せばいいのです」


 ミール本当に真面目でいい子( ; ; )

 フォスがさらっと流していたけどアンバーの中でミールが姉貴分になってしまったが実の姉として何か思わないのだろうか


「さてこれで残りは私の仕掛けの準備だけかね。ミールが頑張ったんだから私も頑張りましょう」

「主よ私はただ進化しただけなのですが、そこまで気負わなくても」


 いいの私の気分の問題なの


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 初めましての方は初めまして、前から読んでくださっている方は続けて読んでくださりありがとうございます。作者のH2ゾンビと申します。

 遅れてしまい申し訳ございません。投稿予約し忘れていました

 ミールの決意の進化でした。今度はメルトを守れるようにと言う思いでエンプレスビーアントに進化したミールはロンド侵攻でどのような活躍をしてくれるのでしょうかね

 それでは3−11でまたお会いしましょう

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