3−9

「あー、あー、マレニアさん応答お願いします」

「はい、メルト様何のようでございますか」


 満月がてっぺんを過ぎた頃久しぶりにマレニアさんに念話を飛ばしていた


「今どこにいます?」

「今はロンドで出国許可が降りるのを待っている状態ですね…」

「以前は、そんなのありませんでしたよね?」

「えぇ、平時ならありませんが国をあげて挑んだ討伐軍が全滅し、国全体で武器と食料品が足りていないため商人や地主が物資を持って国外に出ないように簡易の関所が設けられているのです」


 おっと私たちのせいでしたか

 それにしてもそこまでしなくてはいけないほど帝国は落ち込んでいる状態のようですね


「ロンドからどちらに?」

「魔術公国を経由して法国の方に向かおうかと、帝国で仕入れられる最後の機会になるのでね調度品や芸術品などとことん安く買い集めさせてもらいました」


 さすがマレニアさん商機を逃さない


「お主も悪よの〜」

「メルト様ほどでは」

「ふふふふふ」

「はっはっは」


 互いを褒めあったり世間話をしていると空が明るくなってきていた


「ロンドにまだ滞在するようでしたら一つ頼まれごとをお願いしたいのですが」

「どのようなことでしょう?」

「街の四方にある各教会と中央にある神像の噴水にとあるものを運んでいただきたいのです」


 さて、マレニアさんにお願い事を聞いてもらって、ついでに最新の世界情勢も聞けましたし準備は大詰めといったところでしょうかね


『それでマスター、オレたちとBOSSとコルデーを呼んで話し合いってなんだ?ダイアとテレスコとスパロは呼ばなくていいのか?』

「ちゃんと答えるから待ってて」


 マレニアさんに頼み事をした日の昼すぎに何人かを会議室に呼んだ


「えーっと、まずここにみんなを呼んだ理由は今回の侵攻で私は神罰の対策ととある仕掛けのために参戦できないことを伝えるために呼びました」

『『『え?』』』

「はい⁉︎」


 私のそんな発言にみんな驚きの声を上げる

 BOSSだけ驚いていないのはBOSSにだけ事前に伝えていたからである


「あぁ、でも絶対に参戦できないってわけじゃないよ、流石に全滅の危機になった時とかは仕掛けとかよりみんなを守ることを優先するからそこは安心して」

『そこは疑ったりはしねぇけどよ、どんな仕掛けをするとかは教えてもらえんだよな?』

「それは最後に話すから待ってね。フォスは知ってると思うけどロンドの街の外壁から南西に50mあたりに私の転移の魔法陣が設置してあるんだよね」

「今回はそこに転移して侵攻するのね」


 コルデーがそういう重要なことは先に言っておいて欲しいとでも言いたそうな目で睨んでくるが無視無視


「今回は使わないよ。まだ来訪者や帝国は私が空間魔術で転移できることを知ってないからここぞと言う時のために転移は使いたくないんだよね」

『それではロンドまではアインゼから行くのですか?』

「普通ならミネルスの案でいいんだけど今回は少し面白いことをしようと考えているの」


 私がそう笑顔で言うのを見てみんなはなぜかため息をついたり楽しそうに笑うのだった


「その面白いことって何?」

「ふふ、よく聞いてくれました」

「聞かれるの待ってたでしょ」


 何のことかな〜、私聞いて欲しそうな目でコルデーのことなんて見てないよ〜


「その名も神様に邪魔されないようにロンドをずらそう作戦」

「相変わらず幼稚な作戦名ね。ネーミングセンスがないわけじゃないのにどうしてこうも壊滅的なのかしら」


コルデーそこシャラップ!

地名とか比喩とか提案者の名前とか内容が分かりづらいのよりはいいでしょ


「それで作戦の内容としては神殿と来訪者の復活地点の神像だけおいて他を別の場所に一時的にずらそうってこと」

『移動させると言うことは街ごと転移させると言うことでしょうか、それでは空間魔術が来訪者たちにばれてしまうのではないのですか?』

「いい質問だね、フォス君」

『君?』

「それでは説明いたしましょう。私プレゼンツ“ world of myths”初のについて!!」


 事前に準備しておいた資料をシャドーハンドを使って会議室の黒板に貼り出していく


「まず第1段階として都市はそのまんまに来訪者と住民だけ私が魔術でロンドを複製した領域に移ってもらいます」


 全員が何言ってんだこいつみたいな顔をしているが質問は最後に受け付けます


「で複製した領域の座標を異空間にずらします」


 ますます理解できないって顔してるけど気にしなーい気にしなーい


「そしたら領域内に最初からいたダイアとテレスコ、スパロちゃんたちが襲い掛かります」


 ここまでくると全員がツッコもうとするのを諦めて私の説明を真面目に聴き始めた


「領域内で来訪者と住民が戦っているうちに別働隊が神殿と神像を破壊して神罰の対処をします」


 全員が私がしたいことを理解してくれたのか納得の顔を浮かべてくれている


「それじゃぁ、みんなが何処の神殿を攻めるのかの分担を発表します」

『主よその前に一つ質問してもいいですか』

「何だいミール」

『その分担なのですがキングダムアント《私たち》に一つ任せてもらえないでしょうか』


 驚いたミールは今までこおいう時に自分から戦いたいとは申し出ないタイプだったのに


「いいよ、でも言うからには神罰を君たちだけで対処できる自信があるってことでいいのかい?」

『はい、そのために一つお願い事が』

「さらに何かあるのかい」

『はい、以前頂戴した賢者の石を使う許可をいただけるとありがたいです』


 そういえば前賢者の石が欲しいて言われてあげた時に使う時は呼んでねって言った気がしたな


「使っちゃっていいよ。いつやるの?」

『今日の夜にでも行えます』

「それじゃ、準備できたら呼んでね」


 ミールは頷いて給仕をしていたメイドアントの1人に何かを伝えていた


「さて、話を戻して分担を発表しよう」


新しく黒板に張り出したロンドの地図には各神殿の位置にデフォルメされた皆の駒を置いていく


「まずは北の巡りの神の神殿にはミネルス率いるアンデット軍が、南の神秘の神の神殿にはミール率いるキングダムアント軍が、西の善の神の神殿にはBOSSとコルデー、スーちゃんが、東の威光の神の神殿にはフォスとアンバーが対処する方向でよろしく」

『前回のような私たちで対処できないほどの事態に陥ったらどうすればよろしいでしょうか?』

「今回は神殿の周りにいる神を信仰している住民や加護を持つ来訪者が異空間に囚われていなくなることで神殿を起点に神罰を起こすリソースを削るからアインゼほどにはならない予想」


コルでーがあまり理解できていないようなのでさらに説明する


「神様まがこの世界に干渉するにはある程度この世界に認識されている必要があるのはちょっと前にも説明したわよね?」

「えぇ」

「それでね、認識というのは場所によってばらつきがある訳で濃ければ濃いほど干渉できるんだよ」

「神への認識にばらつきがあるのは現実こちらも同じだし何となく分かるわ」

「で、この世界ではその認識の濃さ、まぁ神の解像度とも言えるけどそれが場所にも人にも隠しステータスとしてあってリアルタイムで変わる訳で」


 ここまでの説明で予想がついたのかコルデーが言った


「なるほどね、その場所に解像度が高い人が多く居るほど認識が濃くなって神様が色々できるというわけね」

「そういうこと、そしてその場所の解像度の値が私たちで言うMPやHPみたいなリソースだから信仰しる人がいなくなると一気に神罰も弱くなるってこと」

「でも待って、その説明じゃわざわざ異空間に移動させなくても遠くに転移させれば十分じゃないの?それに、誰も侵攻する人がいなくなったのならリソースも0になって神罰が起きないんじゃないの?」


あ〜、やっぱりそこ気になるよね〜


「解像度が高い場所に人々がこれが神の姿だとかこれは神から戴いた物だとか、何て言うんだろう十字架とか仏像とかそういう信仰のシンボルがあるとそれらに人々の神の認識が蓄積されるらしくてね、0にはならないみたいなんだよ」

「やっかいね」

「さらにやっかいなのはね、それらシンボルを破壊してもシンボルそれを信仰していた人たちが壊れたことを認識というか信じない限りシンボルへの解像度は消えないみたいなんだよね」

「それじゃぁ、住民を飛ばしたらダメじゃない…って、飛ばさないと」

「そう、神殿と言う場所の解像度が減らない訳。さらに人は死ぬ時や恐怖に陥った時神に縋るでしょう?そしたら解像度が一気に上がってしまうのよ」


 そうなのだ、神殿の攻略が難しい理由が住民がいると神罰は住民の数だけ強くなるし死の間際になるとさらに強化してしまうのだ

 アインゼでは私の即死禁術のせいで数まんの人が死の恐怖に怯えて神に縋りながら死んだのに加えて神殿内のシンボルも神殿という場所も破壊しなかったせいで雷霆と威光の神なんていう大御所の分体が出てきてしまったのだ


「納得したは、それじゃあ私たちは住民と来訪者があなたの領域に移ったら転移魔法で本物のロンド付近に転移して神殿を破壊、シンボルを破壊して神罰が起こればそれに対処すればいいってことね」

「他のみんなもやること分かったかな?」

『『『はい!(はーい)』』』

「「Yes ma’am!」」

「それじゃぁ解散!」


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 初めましての方は初めまして、前から読んでくださっている方は続けて読んでくださりありがとうございます。作者のH2ゾンビと申します。

 遅れてしまい申し訳ございません。投稿予約し忘れていました

 今まで隠していたメルトの作戦?はこのようなものでした

 ロンド侵攻が楽しみになってくだされば嬉しいです

 それでは3−10でまたお会いしましょう

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