3−8

 会議の次の日


「強くなるつってもどうすりゃいいんだ?」


 私の錬金術研究室にダイアが突撃してきた


「あんなに大見え切っといて次の日にはこれか、ダイアらしいけどもう少し後先考えようね」

「悪りぃ悪りぃ。それでどうしたらいいと思う?」

「この世界での近接については私は門外漢なので昨日私の右どなりに座ってたアンバーっていう鎧の子に聞いてみて」

「なんだ強いのか?」

「剣に限って言えば技術はこの世界上位だろうね。あなたみたいないかれた戦い方をするやつに何か教えられるかは知らないけどね」

「サンキュー、そいつに模擬戦頼んでみるわ。あ、後で魔術の弾幕の回避練習したいからそんときゃよろしく」


 そう言って突撃してきた時よりも断然ウキウキした顔で部屋を出て行った

 ダイアあいつの戦い方とネジが外れたやつとの戦いの経験はアンバーにとってもきっといいものになるでしょう

 私はどうかって?訓練や模擬戦じゃない限りあいつと戦うのはごめんだね



「ねえメルト、私って他の奴らと比べたらなんというか無難なスキル構成してると思わない?」


 今日はやけに邪魔が入るね


「なんですか?あのキチたちと同じがいいんですか?」

「あなたも十分あいつらと同族よ」


 むっ、私が突撃バカダイアチャラ陰キャテレスコと同列とはひどい言い草ですね


「私がキチかどうかは置いておいて、確かにあなたのスキル構成はそこら辺のプレイヤーと言ってもいいものばかりなのは確かだね」

「でしょ、だから何か良いスキル知らないかしら」

「えー、種族的に火や光、聖、治癒属性のスキルは基本的に新規取得できないんでしょう。ならいっそのことゾンビなんだし〜死霊魔術でもとったら良いんじゃない?」

「なんか投げやりのように感じるのだけど」

「あなた自身内蔵を他の死体から拝借したりしているのでしょう?ならいっその事死体を切り貼りしてキメラゾンビとか作れたりしないかな〜と思っただだけです」


 ついでに地下の冷凍部屋に溜まってるアインゼで集めた死体の処理もしてくれればありがたいな〜とも思っていますが


「キメラを作るのってあなたのお得意の錬金術の分野じゃないの?」

「うーんキメラの種類によるけど確かに錬金術の分野ではあるね。ならあなたも取ればいいんじゃないの錬金術、私の専売特許っていうわけじゃないんだし」

「そう言われればそうね。なら死霊魔術と錬金術、ついでにアンデットでキメラといえば継ぎ接のイメージだし裁縫もとっておこうかしら」

「いいんじゃない、それなら裁縫スキルの刺繍ツリーを魔術陣スキルと合わせて………」

「なら………」


「珍しくあなたに相談してよかったわ」

「一言余計だよ。死霊魔術と錬金術についてないか質問あったら遠慮なく聞きにきてもいいよ、教えてあげるから」

「上から目線なのが気に食わないけどその時は頼りにさせてもうわ」


 そう言ってコルデーは部屋を出ていった



「メルトさーん、邪眼魔術ってどうやって鍛えればいいの?」


 今までの感じここへの到着順で相談に来るものかと思っていたがそうではないらしい


「そんなの私にもわからないよ。それ種族特性でついてきたスキルでしょ?経験値払って覚えられるかすらわからない特別なスキルの鍛え方なんて知らないわよ」

「え〜、そう言わずに助けてよ〜」

「とりあえず使いまくったり経験値で強化してみたら?」

「経験値使って強化しても射程や効果時間は伸びるのに一向に新しい魔眼が解放されないんだよ〜〜〜」


 あーうるさい

 これだからこいつはのことは嫌いなんだよ

 こう、喋り始めると相手のことを考えずにマシンガントークしてくる陰キャ?あがり症?コミュ障?だから嫌なんだよ


「で、今どんな邪眼が使えんの?」

「睨みつけた格下の相手を怯ませる“蛇の魔眼”だけ」


 かっこよく言ってるけど蛇に睨まれた蛙ってことじゃん

 えっ!何、雑魚にしか効かない上に攻撃性能皆無なの?


「よくここまで来れたね」

「1番弱い兵隊アリには効いたから遠くから怯ませて近くに敵がいると思わせてなんとかここまできたって感じ」


 最下級昆虫種(歩兵蟻ソルジャーアント)<テレスコ≦下級昆虫種(剣兵蟻セイバーアント)ってことか強さ終わってるな

 ちなみに下級昆虫種≦最下級獣種(魔獣じゃない狼や猪)

 すなわちテレスコはそこら辺の野生動物以下…証明完了、QED


「攻撃手段はないわけ」

「体当たりと触手で叩いたり、噛みついたり?」

「真面目に言ってる?」

「マジマジ、大マジ」

「じゃぁぁこれ飲んでみて?」

「え、これ何えげつない色なんだけど」

「うん?見ての通り毒薬だよ」

「だよね。なんでこれを飲まなきゃいけないの?」

「いつか自分が使うかもしれない邪眼の状態異常を事前に体験してみよう?」

「何で疑問形」


 テレスコはこちらを一度見てから覚悟を決めたように栓を抜いて瓶の中の“世界樹の希釈

 毒薬”を一気飲みした


「うぎゃ………」


 お、運いいね全部の効果が発動してるよ


 世界樹の希釈毒薬

 世界樹が老廃物を溜めた落ち葉から抽出した液体を1000倍に希釈した物

 全属性脆弱化 状態異常脆弱化 麻痺 猛毒 壊毒 火傷 中毒 幻覚 混乱 高揚 出血 結晶化(低確率) 溶解(低確率)


 今の所これ一つしか作れなかった偶然の産物だけど最後の結晶化と溶解は確率で発動するのにどっちも発動してる


「上級治癒魔術“リジェネーション”」


 HPはとりあえずこれでいいとして結晶化して溶けて壊毒で少しずつ細胞が壊れていってるのはどうしようか?

 結晶化しててもちゃんと壊毒で細胞は壊れていくんだね………くすんでいるし結晶というよりも爪とかそんな物なのかな?サイぷるを採取して後でコルデーと一緒に研究してみるか


「物思いに耽ってないで助けて〜」

「どうやって声出してんのそれ?」

「表面は固まって溶けてるけど喉とか舌とか内側は無事っぽい」

「麻痺もかかっているはずなのに話せるんだね」

「麻痺とか幻覚とかは割と効果時間短かったよ」


 1000倍に薄めたぶん効果時間自体は短いようだ

 体感1分かそこらかな


「なんか新しく覚えられた?」

「え〜っとね、ちょっとログ辿ってみる」


 スワイプに合わせて巨大な単眼が空中を上下しているのがみていて面白い


「あ!麻痺と弱毒の邪眼覚えてる」

「なんか習得の条件とか書いてない?」

「麻痺に適合しました。とか毒に適合しました。とかでてる」


 なるほどね


「状態異常を自分が経験するか死なずに克服することが条件かな?」

「そうっぽい?」

「それじゃぁ、世界樹の希釈毒薬これ上級再生薬これを1週間毎日飲んで頑張ってね♪」

「へ?」


 嫌だー‼︎って叫び続けてたけど空間魔術で強制退出させた


 コンコンッ!

 この流れに則れば今来たのは


「どうぞ〜」

「やぁ、今ちょっといいかな?」

「さっきまでうるさいのがいてとっ散らかっていますがどうぞ」

「さっき嫌だ嫌だと文句言いながらここから離れていくテレスコとすれ違ったが何かあったのかい?」

「強くなりたいとのことでしたのでアドバイスを少々しただけですよ」

「はっはっは、君に相談した結果なら嫌々言いながらちゃんとやるだろう」

「なぜ断言できるのです?」

「実行しなかった時の君が怖いから」


 自分から相談した結果なのですからやらないというのはあり得ません


「それでBOSSは何のようですか?」

「いや、君には確実に今月中に一つ町を落とせるプランがあるのか確認したくてね」


 そう言うBOSSの目は真剣そのものだった


「そういうことでしたら、と答えさせてもらいます」

「ほう、君が断言するのなら心配はいらないな」

「あら、もうよろしいのですか」

「君の答えが聞けただけで十分だよ」


 かっこよく部屋を出て行きましたがBOSSは自己強化大丈夫なのでしょうか?

 遠くからスキルについて聞いとけばよかったな〜と小さく聞こえてきましたが多分大丈夫でしょう

 さて此度の侵攻は少し遊んでみましょうか


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 初めましての方は初めまして、前から読んでくださっている方は続けて読んでくださりありがとうございます。作者のH2ゾンビと申します。

 新キャラクターの強化?回でした

 2回目の侵攻が着々と近づいてきてますがもう少しお待ちください

 それでは3−9でまたお会いしましょう

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