『推し活の良いとき悪いとき』 #この瞬間は私だけのもの 100文字コンテスト・参加作
2022年の春、私の推しのいるアイドルグループの人気メンバーが、ある一つの重大な契約違反で即日脱退した。
あまり詳細をここに書きたくないけど、そのメンバーに失望してしまいそうになる理由での脱退だ。
当時の私はいろいろなことが重なって、人生で一番鬱に近い状態でいたから、そのニュースに動揺してめちゃめちゃ凹んだ。
推し活に救われるどころか、トドメを刺されるかと思った。
推しが別のメンバーの私ですらあんなにショックだったのだから、そのメンバーのファンはもっと大変だったはずだ。
その後、私の推しを含む他のメンバーがライブで頑張っている姿を見た瞬間にちょっと復活することができたけど、それはそれ、これはこれで、辛いことに辛いことが重なったあの暗い春の日の気持ちを一生忘れることはない。
ここ数年、推し活は楽しく素晴らしいことだ、みたいな言説が幅を利かせていたけれども、その逆で苦しくて痛いこともある。
メディアはそういう裏の側面を無視して安易に推しを作ることを勧めるべきではなかったし、ここ最近の芸能関係の不穏なニュースは、過去の過剰な推し活礼賛の反動のような気がする。
一足先に冷水を浴びてわかってしまった私は多分、今の推し以外は本当の推しを作れない。
今の推しはもう推しになってしまったから仕方がないけど、楽しさの反動のしんどさのリスクを考えると、新しい人を好きになる気になれない。
だから何かあったときに必要以上に傷つかないように、今まで通りにゆるく浅く、でも末永く、私は彼を応援し続ける。
魔法のiらんどに書いていた活動報告 名瀬口にぼし @poemin
★で称える
この小説が面白かったら★をつけてください。おすすめレビューも書けます。
カクヨムを、もっと楽しもう
カクヨムにユーザー登録すると、この小説を他の読者へ★やレビューでおすすめできます。気になる小説や作者の更新チェックに便利なフォロー機能もお試しください。
新規ユーザー登録(無料)簡単に登録できます
この小説のタグ
参加中のコンテスト・自主企画
同じコレクションの次の小説
関連小説
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます