時の折り方

葦沢かもめ

時の折り方

 私は繊細な紙を慎重に広げて、複雑な折り方によって手の中で折り鶴が生み出されていく様を感心しながら眺めている。私は「きれいだね」とささやいて、窓辺にある化石のコレクションの隣に一緒に飾った。


 それを見ていた友人は、思わず訊いてきた。


「なんでそんな古いものを持っているの? ただの骨でしょ?」


 でも、私にとっては、それ以上のものだった。ひとつひとつに物語があって、歴史の断片を手に取るように感じることができた。折り紙もそんなに変わらないと思う。丁寧に折り目がつけられたものには物語があり、創造の瞬間が閉じ込められている。


 私の化石と折り紙のコレクションは、古いものと新しいもの、過去と現在、そして私たちをつなぐ物語の美しさを思い出させてくれるのだった。

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時の折り方 葦沢かもめ @seagulloid

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